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2年生の今月の本


へいきの平太郎 稲生物怪物語 タイトル へいきの平太郎 稲生物怪物語
著者 寮 美千子(文)クロガネジンザ(絵)
出版社 ロクリン社
 

 稲生(いのう)平(へい)太郎(たろう)は、備後(びんごの)国(くに)のお侍(さむらい)の子。小さいときから肝(きも)がすわっていて、なにを見ても、おどろきません。ですから、「へいきの平太郎」と呼ばれていました。おとうさんとおかあさんが早くに亡くなり、まだ子どもでしたが、三次のお屋敷(やしき)に、一人で住んでおりました。
 ある日のこと、なかよしの力じまんの相撲(すもう)取(と)りの権(ごん)八(ぱち)と、どちらが村でいちばん肝がすわっているかといいあいになり、二人は肝だめしをすることになりました。どんな肝だめしかというと、嵐の日のまよなかに、ひぐま山のてっぺんにあるたたり石(いし)まで行こうというとんでもない話です。さらに、それをなんなくこなした二人は、日を改めて、こんどは、たたり石の前で百物語をしようということに。
 百物語の晩、二人はかわりばんこに、こわーい話をして、とうとう百本のロウソクのさいごの一本を消し、化け物が出るのをまちました。ところが、いくらまっても、化け物は出ず、二人はがっかりして、山をおりました。
 それからひと月の後、旧暦(きゅうれき)の七月一日のことです。その夜、ひどく蒸し暑くなり、権八はなかなか寝つけませんでした。ふと頭の上を見ると、一つ目小僧がいるではありませんか。どなりつけようとしましたが、指一本動かせません。ちょうどそのころ、平太郎の家でも、ふしぎなことがおこっていました。

●この日から昼夜を問わず、平太郎の家にはいろんな化け物が出るようになります。一つ目小僧に逆さ生首、ぶらぶらヒョウタン…あの手この手をつかって、平太郎をおどろかせようと挑んできて、それは30日間も続きました。この話は江戸時代に本当にあった怪談話とされていて、平太郎も実在の人物です。三次市に伝わる「稲生物怪録絵巻」といえば、耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょうか。「三次もののけミュージアム」という妖怪をテーマにした博物館がオープンしたことでも話題にもなりましたね。それも踏まえると、より興味がわくかもしれません。

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