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   ―またたびトラベル物語

4年生の今月の本


招福堂のまねきねこ<br>
                     ―またたびトラベル物語 タイトル 招福堂のまねきねこ
   ―またたびトラベル物語
著者 茂市 久美子
出版社 学習研究社
 

 住宅街(じゅうたくがい)の路地(ろじ)のつきあたりに、古い二階(にかい)建(だ)てのアパートがあります。またたび荘(そう)です。

 この一階には、またたびトラベルという、小さな旅行会社(りょこうがいしゃ)が入っています。そこはちょっと不思議(ふしぎ)な旅行会社です。心に一生残るすてきな旅を演出(えんしゅつ)してくれるのですが、そこにいけるのは本当に幸運な人だけだそうです。

 梅雨が明けてまもない、ある晩のこと。白いネコを追(お)いかけて、またたび荘にやってきた年配(ねんぱい)の男の人がいました。

 男の人は福山さんというカメラマンでした。福山さんは若いころまたたび荘に住んでいたことがありました。
  福山さんがまたたび荘をなつかしんでながめていると、一階に『またたびトラベル』という旅行会社ができていることに気づきました。福山さんが『またたびトラベル』をのぞいてみると、店内には一人の若者がいました。その若者は福山さんに気づくと、『路地裏(ろじうら)ツアー。名店(めいてん)でのお食事、キャットグラファーによる記念写真付き』というツアーをすすめてきました。

 福山さんはネコ専門(せんもん)のカメラマン、キャットグラファーに会ってみたくなって、そのツアーに申(もう)し込みました。

 次の日、ツアーに出かけた福山さんは、ツアーで路地裏を歩くうちに、またたび荘にいた時に飼(か)っていた子ネコのメイのことを思い出しました。福山さんが撮(と)ったメイの写真のおかげで、福山さんはカメラマンとしてお金をもうけることができました。ところが、福山さんが山の中の村に家を買い、そこに引っ越(ひっこ)そうとしたその日、メイは福山さんのうでの中から逃(に)げてしまったのです。

 メイの思い出にひたっていた福山さんがツアーの最後にめぐったのは、キャットグラファーによる写真撮影でした。スタジオは、福山さんが昔住んでいた部屋でした。その部屋にはかべじゅうにネコの写真が額(がく)に入れてかざってありました。その中に、メイにそっくりなねこの写真があったのです。

【 以前ご紹介した「またたびトラベル」の続編です。ネコと人間の、不思議で心温まる短いお話が7つ入っています。】

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