小学３年生の利里はおにいちゃんとけんかをし、おとうさんならきっとわたしにやさしくしてくれると思い、単身赴任（たんしんふにん）をしているおとうさんのもとへ遊びにきました。
　ある朝、「きょうはね、午前十時から市民会館で、『子どものにがお絵大会』があるんだ。」とおとうさんがいいました。しかし、利里はあまり気がすすみません。なぜなら、利里は絵が得意ではありません。絵をかいていると、いつもうまくいかなくなって、とちゅうでいやになってしまうからです。「利里のために、新しい絵の具とクレヨンとマジックのセットも買っておいたんだよ。な、行ってみよう」とおとうさんはさらにいいました。利里は、行きたくないといってはいけない気持ちになり、「うん」とむりしてうなずきました。