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4年生の今月の本


ざしきわらし一郎太の修学旅行 タイトル ざしきわらし一郎太の修学旅行
著者 柏葉 幸子
出版社 あかね書房
 

 ここは、新幹線の中。4年生の資(もと)は、家出をしたところです。どうして家出をしたかって? それは、おとといの帰り道。3年生のともひろが5年生の一雄(かずお)につかまっていたのを、資がたすけたのがきっかけでした。その時、一雄をなぐってしまったのです。

 一雄はいじめっ子でした。それでお母さんは、今度は資がいじめられるんじゃないかと、しんぱいしはじめました。お母さんの話を聞いていると、資もだんだんふあんになってきました。お父さんならこんな時、
「ぼう力をふるったのは悪い。でも、いじめられてる子をたすけたのはえらかった」
と言ってくれるだろう。そんなふうに考えているうちに、東京のお父さんのところへにげよう! 資は、そう決心したのです。

  新幹線の中で、資はバッグの上にすわりこみました。ふと気づくと、となりに男の子がすわっています。(へんなやつだなぁ。)その子は、着物を着て、ふろしきづつみを持っています。
「親とはぐれたのか?」
 資はたずねました。その子は、ちがうと首をふります。
「そんなかっこじゃ、ざしきわらしみたいだぞ」
 資は、じょうだんで言いました。すると、その子がうなずいたのです。
「ほんとかよ?」
 資は、しんじられません。
「ざしきわらしは、子どものそばにいると、まわりからははっきりすがたが見えないんだ」
と、その子は言いました。たしかに、こんなへんなかっこうをしているのに、さっきからだれ一人おかしな顔をする人はいません。資は、しんじることにしました。

  その子の名前は一郎太。一郎太は、東京に一人で住むというばつをあたえられていました。ざしきわらしは、住んでいた家に幸せをあたえるのが役目。しかし、前の家で一郎太はその役目をはたせなかったのです。
「それなら、父さんのところにオレと住めよ」
 資がそう言うと、一郎太は
「それなら、オラも安心だ」
とぺこりと頭を下げました。

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