親愛なるわが兄弟オオワルへ

これまで何通もの手紙をだしたが、なぜか返事が来ない。そこで、やむをえず、この手紙は、おれの長男、チビ太の前足にたくし、じかにとどけさせることにする。

　どうか、こいつの先生になってくれ。

　 チビ太は、もちろんほんとうは、わるい子のはずだが、いまのところ、あまりにもいい子なので、おれは心配でたまらない。弟のマメ太に対してもやさしい兄ちゃんだし、きのうなど、まだ一度もほえられないうちから、さっさとベッドに入ってねてしまった。

　そこで、カミさんとも相談して、そろそろチビ太をあなから追い出し、ぼうけんをさせることに決めた。ずるがしこ大学でも、わるもののおきて九か条をならい、わるものバッジをもらってきてほしいと思っている。ちょうど、むかし、おまえとおれとが、やばん大学で学んだように。おれはもう、どうすればチビ太をわるい子にできるのか、わからなくなってしまった。おまえだけが、たよりなのだ。たのむ、なんとかして、あの子をりっぱなわるものに育てておくれ。

　こまりはてる、おまえの兄弟　スゴワルより