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4年生の今月の本


画用紙の中のぼくの馬 タイトル 画用紙の中のぼくの馬
著者 ウィリアム・ハーディング
出版社 文研出版
 

 月曜日の朝、ケイシー先生は、色とりどりのマーカーをとり出しながら言いました。
「金曜日の夜、絵のてんらん会を開きたいと思います。」
 絵のにがてなアルビンにとって、生まれて以来最大のピンチがおとずれました。アルビンがかいたのは、黒いオスの馬の絵です。自分がほしいと思っていた馬を、想像してかいてみたのでした。しかし、紙の上にあったのは、馬というよりも、茶色のゼリーみたいなぐしゃぐしゃのかたまりでした。

 次の日、ケイシー先生は、子どもたちの絵を1まいずつ手にとって、ほめてくれます。(ぼくの絵には、なんて言うんだろう。) アルビンは、にげ出したい気持ちでした。最後の1まい、先生はそれをロレッタにわたすと、
「さあ、また絵の時間ですよ。」
と言いました。
(先生は、ぼくの絵のことをわすれてしまったのだろうか。)

  アルビンがそう思った時、先生がアルビンの横に立ちました。
「今日は、これをお使いなさい。」

  先生がわたしてくれたのは、しんのやわらかい、絵をかくための特別のえんぴつでした。アルビンは、それを使ってかいてみました。しかし、できあがったのは、頭が紙ぶくろのような馬でした。
(ごめんなさい。)

  アルビンはそうつぶやき、絵の上にジグザグに線を引きました。

 次の日、先生はアルビンのために水彩絵の具をもってきてくれました。それは、本物の画家が使うためのものでした。これでは、特別あつかいです。もはや、うまく絵がかけないのを道具のせいになんかできません。アルビンは、紙の上に筆をすべらせてみます。しかし、目の前にあるのは、どう見ても太くてつぶれたキリンです。

 アルビンが絵をぐしゃぐしゃにしようとしたその時、ブレンドがその絵をとって言いました。
「おーい、みんな。これがアルビンのへんな馬さ。」

 アルビンが、ブレンドのほうへ行くよりもはやく、ケイシー先生がブレンドのうでをつかんでいました。そして、アルビンの絵やきたなくなった絵の具、こぼれた水を見ました。

  ケイシー先生は、水彩絵の具のはこを手にし、自分のつくえにもどっていきました。そして先生は顔を上げ、アルビンを見ました。
(あとでいらっしゃい。)

 その冷たいはい色の目は、アルビンにそう言っているようでした。

 放課後、先生はつくえの中から小さな写真をとり出し、アルビンに見せてくれました。それは、馬の写真でした。はい色がかった白い馬で、あちこちに白いはん点がついています。それから先生は、その馬にまつわる思い出を話してくれました。

【 今まで、自分にはできないと思っていたことを、どうしてもやらなくてはならなくなった時、だれでも初めは不安になるでしょう。しかし、そこであきらめてしまって本当にいいのでしょうか。自分に自信がなくなった時、この本はきっと勇気をあたえてくれるでしょう。】

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