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5年生の今月の本


魔女がいっぱい タイトル 魔女がいっぱい
著者 ロアルド・ダール
出版社 評論社
 

 おとぎ話のなかで、魔女はいつもへんな黒い帽子(ぼうし)に黒マント姿で、ほうきの柄に乗って飛んでいる。でも、ほんものの魔女はちがうんだ。ほんものの魔女は、ごくあたりまえの服を着て、そのへんの女の人とぜんぜんかわらない。ふつうの家に住み、ひとなみに仕事をしている。そして、ほんものの魔女は、子どもをもうれつに憎んでいる。君たちには想像もつかないくらいに。魔女は、どんなときにも自分の縄張り(なわばり)のなかの子どもを消してしまおうとたくらんでいるんだ。

 ぼくのおばあちゃんは、ノルウェ―に住んでいたが、交通事故でぼくの両親が死んでから、イギリスのぼくの家でいっしょにくらすことになった。そのおばあちゃんは、魔女のことになると実にくわしくて、一流の専門家だった。おばあちゃんはぼくにはっきり言った。
「魔女はまだこの世にいる」
と。

 ある晩、おばあちゃんは、魔女に出会ったとき、どうやって見やぶるか、その見分け方を教えてくれた。

 まず、第一に、ほんものの魔女は、いつも手ぶくろをはめている。第二に、ほんものの魔女は、みんなはげ頭で、いつもはかつらをかぶっている。第三に、魔女の鼻のあなは、ふつうの人よりもちょっと大きくて、鼻のあなのふちが、ピンク色で曲がっている。子どものにおいをかぎ出すだめなんだ。

  第四に、ほんものの魔女の目は、ふつうの人間とちがって、目のまんなかにある黒い点がいろいろな色に変わる。第五に、魔女は、ほんとうはふつうの女の人なんかじゃない。別の生き物なんだ。第六に、魔女には足の指がない。ただ足があるだけで、四角く、平らなんだ。

  ある日、そのほんものの魔女にぼくはつかまってしまった。ほんとうだよ。イギリス中の魔女がホテルで集会をしているところに、うっかりはいりこんでしまい、とらえられてネズミに変えられてしまった。あいつら、英国児童愛護(あいご)協会の定例会なんてうそをついて、魔女の集会を開いていたんだ。

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