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5年生の今月の本


町かどのジム タイトル 町かどのジム
著者 エリノア・ファージョン
出版社 童話館出版
 

 みなさんの友だちはいま何才ですか? え? 自分と同じくらいの年か、離れていても2つ3つくらいしか違わないって? さて、このお話に出てくる8才の男の子デリーの友だちは79歳(さい)です。名前をジムといいます。ジムはうんと若いときそれはそれは立派な船乗りでした。立派といっても、ただ体つきが大きかったとか船を操る(あやつる)のが得意だったとか、そういうことではありません。ジムには、ほかの人にはとうていまねのできない経験がたくさんたくさんあったのです。そして、ジムはいつでも町のみんなから愛されていました。

★ ジムのいる通り …… デリーがいる通りにあるポストのそば。その脇におかれたミカンばこの上。ジムはきっとデリーが生まれたときから、そこにすわっていたにちがいありません。

★ ジムのこと …… 絹のようにつやのあるしらが。顔はみがきあげた家具のようにつやつや。目はきらきらして、青いガラス玉のよう。

★ ジムの身の回り …… いつもくわえているお気に入りのパイプと茶色のジャケットは、近くに住むトランペット少佐のおくりもの。海のようなみどり色のワイシャツはパターンさんのおくさんからもらったもの。ねずみ色のフランネルのズボンとツイードのぼうしはデリーのお父さんから。その他もろもろ、町の人から……。

★ ジムがデリーに聞かせてくれたとっておきのお話

……わしがまだ子どものころのことだ。わしは海の魅力にとっつかれて、じぶんの生まれたケントのいなかからにげだした。

  いなかを逃げ出したジムは運よく 「ゆり木馬号」 の船長に 「キャビンボーイ」 としてやとわれました。 

「ところでジム。われわれはあすまで出航しない。で、今夜は、エビって気分だな。」 
と船長は言った。 
「エビですって?」 
「そうだ、エビだ。」 
と、ポッツ船長はいった。船長が、エビて気分だな、といったとき、わしは、かなしいとか、気分がわるいとか、そういうことをいっているのだろうと思った。ところが、船長のいうのはそうではなくて、まったく、ことばどおりのことだったのさ。というのは、船長は、わしに大きなエビとりあみをわたして、
「いってとってこい。」 
と、いったのだからな。

  ジムはさっそくあみをもって浜辺の水たまりへエビをさがしに出かけます。そしてあみいっぱいエビをつかまえて、コックのところへもって行きました。〈「あのう、ぼく、ジムです。こんどきたキャビンボーイです。あのう、どうか……あのう、ポッツ船長が、このエビ、お茶の時間にゆでてくださいって。」 
「エビだと!」 
と、コックはいった。 
「おまえ、これがエビだってのか?」

  わなわなふるえながらコックがあみからつかみ出したのは、なんとみどり色の子猫だったのです……。

(はい、お話はここまで。え? 短すぎて何のことかわからないって?つづきはデリーと一緒に、ジムからたっぷり聞いてくださいね。)

【 海でつかまえたみどりの子猫。人間よりかしこいペンギンのフリッツ。頭をなでてもらいたくて涙をながす巨大な海ヘビ。なんでもありあまるほどある 「ありあまり島」……ジムの話にはまだまだたくさんのふしぎがいっぱい。あたたかいユーモアと思いもつかない発想でわたしたちを驚かせてくれるジムのことが、きっとあなたも大好きになるはずです。自分ひとりで読んでもいいけれど、誰かと一緒に読むともっとすてきな感動が味わえる、そんなお話です。お父さんに読んでもらったり、弟や妹に読んであげるのもおすすめです。】

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