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6年生の今月の本


サムライでござる タイトル サムライでござる
著者 広瀬 寿子
出版社 あかね書房
 

 遠くから、たいこの音が聞こえてきた。武者(むしゃ)行列(ぎょうれつ)のざわめきが近づいてくる。亀岡市では、毎年5月3日に、明智(あけち)日向(ひゅうがの)守光(かみみつ)秀(ひで)をまつる武者行列を行う。光秀は織田信長を本能寺で討(う)った武将(ぶしょう)として有名だ。

 中学一年の哲也と小学五年の健二の兄弟は今年もこの武者行列の見物にやってきた。あいにく、天気はだんだん悪くなり、空はしだいに暗さをましていく。すると、とつぜんパーッと稲妻(いなずま)があたりをてらし、空がわれそうな音が走った。にぎやかにひびいていたたいこも、突然(とつぜん)の雷(かみなり)に鳴りをひそめ、あたりがシーンと静(しず)まりかえったそのとき、どこからともなく一頭の馬が現れた。その馬には白っぽい服を着て、はかまをはき、腰に刀をさした、りりしい少年武士がのっている。

 少年武士は武者行列の面々の見て驚(おどろ)き、さらにまわりの観光客や自転車にのった子どもを見て目をむいた。
「こ、これは……。ここは、いったい……。」
  少年武士は馬に乗って走り出したが、大通りを出たすぐ先の三差(さんさ)路(ろ)で自動車とぶつかってしまう。市の商工(しょうこう)観光課(かんこうか)につとめている哲也たちのお父さんはとりあえず、この少年につきそって救急車で病院に行くことに。

 お父さんのようすを見るために病院に出かけた哲也と健二。あの少年は目を閉じてベッドに横たわっていた。目をさました少年は、それがし(自分)は逃(に)げだした若君(わかぎみ)の馬を追って走っていたところ、落雷にあい、意識がもどってみると、なにやら見なれぬ場所におり、奇妙(きみょう)な人びとの行列に出会った、という。

 夕方、病院を出て、だまって歩いていた哲也は思いきったように自分の考えていることを健二に話した。健二は立ちどまって、かすれた声でいった。
「タイムスリップや、いうのか。」
哲也は強くうなずいた。
「それ以外、考えられんやないか。ほんまに戦国時代からきたんやで、あいつは。」

【 戦国時代からタイムスリップしてきたサムライの少年は、現代の生活になんとかなじもうと努力します。しかし、ある日、歴史の事実を知ってしまってから、少年の苦悩(くのう)がはじまります。 亀岡市は京都市の西となりにあります。京都よりも古い歴史をもつ町なんだそうですよ。 この本は校舎によっては貸し出し用図書として備えています。】

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