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6年生の今月の本


ぼくたちが犬をころさなくちゃならない日 少年NPO「WAN PEACE」 タイトル ぼくたちが犬をころさなくちゃならない日 少年NPO「WAN PEACE」
著者 今西 乃子(作)東野 さとる(絵)
出版社 新日本出版社
 

小学六年生になったぼく、山口元気(もとき)は、その朝、愛犬ユリ丸といっしょに父さんの動物病院の診察室にいた。季節は五月の初め、この時期はぼくのお父さんだけでなく、動物病院全体が最も忙しくなる時期だ。犬のフィラリア予防のための血液検査と薬をもらいにくる患者が集中するからだ。フィラリアとは、蚊を媒介(ばいかい)して寄生虫が犬の心臓にすみつく病気で、放っておくとひどい場合には死に至る病だ。
一匹のトイプードルが診察室に入った。父さんは手際よく処置を行った後、飼い主の川田さんに声をかけた。
「ポポロちゃん、今年の狂犬病の予防接種は?」
ポポロは子犬のころからずっと父さんの病院にかかっていたが、狂犬病の予防接種はまったく受けていなかった。その理由は、「もう今の日本では必要ない」という飼い主の解釈だ。
 日本には狂犬病予防法という法律がある。犬を飼っている者は、その所在地を市町村に届け、狂犬病予防注射を一年に一度はうけなくてはならない。しかし、狂犬病予防注射数は、わずか四割。もちろん、犬が自分で「ぼくは注射嫌いだから受けないよ!」というはずもなく、飼い主が受けさせていない、というのが実態だった。父さんはこの事実に非常に頭を悩ませていた。

●狂犬病という名前を聞いたことがありますか?狂犬病は日本に今は存在しない過去の伝染病です。この物語は「万が一、狂犬病が日本に再侵入したら」をテーマに描かれたお話です。この本を読むと、日本という国が、どのようにしてその伝染病を海外から持ち込ませないようにしているのか、どうして今はもう存在しない伝染病なのに、年1回予防の注射を義務づけているのかがよくわかります。また、もしも狂犬病が発生したときには、どれほどの被害が出てしまうのかということもわかります。犬をお家で飼っている人にはぜひ読んでもらいたいですね。

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