トップページ > 読書案内 >  6年生の今月の本 > 6年生におすすめの本
 > 「流域地図」の作り方 川から地球を考える

6年生の今月の本


「流域地図」の作り方 川から地球を考える タイトル 「流域地図」の作り方 川から地球を考える
著者 岸 由二
出版社 ちくまプリマー新書
 

 あなたが普段使っている「地図」はどのような地図だろうか。地名があり、鉄道の路線があり、道路があり、目印になりそうな建物があり、番地がある。そうしたものが、ペタッとした平らな画面に記されている地図なのではないだろうか。これは、県や市区町村といった行政区分で分けられた地図。今回、この本では、それとはまったく異なる地図を取り上げる。それが「流域地図」だ。
 私のかつての勤務先、慶應義塾大学の研究室の住所を流域地図で示すと次のようになる。
鶴見川流域・矢上川支流州域・松の川小流域・まむし谷流域・一の谷北の肩
 私のかつての研究室の場所は、まむし谷という小流域の尾根の縁にあり、その谷は、松の川という小河川流域の中にある。さらに、松の川流域は矢上川の流域の一部であり、その矢上川は鶴見川の流域の一部に属する。……こんな具合に、流域という単位で、自分のいるところを厳密に特定できるのだ。私は、こうした流域地図による住所を「自然の住所」と呼んでいる。

●日頃、目にする地図と言えば、平面的で凹凸のないものが多いでしょう。しかし、実際には山があったり、谷があったり、一見すると平地に思える広島市内中心部でさえ、高低差があります。著者の岸先生は、こうした“自然の地図”に目を向けることで、“私たちは地球に暮らす生きものだ”と自覚してほしいと本の中で訴えています。それは、温暖化といった地球環境の危機をよそ者ではなく、当事者として捉えることが危機を克服するもっとも基本的な方法であるからです。本の中では、身近な川から「流域地図」を作る方法も述べられています。一度、調べてみてはいかがでしょうか。

Page Top