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6年生の今月の本


満月の娘たち タイトル 満月の娘たち
著者 安東 みきえ
出版社 講談社
 

「志保。」体操着を袋に押し込んでいる時、美月ちゃんに呼ばれてふりむいた。「いつも遅いよなあ、このクラス」「ごめん、待った?」美月ちゃんは、あたしの机に両手をつく。「それよりなあ、肝だめしツアーに行かへん?」家からそう遠くないところに蓮池という小さな池がある。その池のほとりに立っている空き家、「昭和邸」に幽霊が出るというウワサがたつようになったのは最近だ。
「学校が終わったら、逢瀬橋に集合。懐中電灯は各自持参で。」浮かれている美月ちゃんを、少しおどしてやりたくなった志保は、「ねえ、わかってる?幽霊に会うかもしれないんだよ?」といった。「幽霊……本気で出られちゃったら困るやんか。」ムンク風に両手で顔をぱちんとはさむ。ホラー好きでオカルトマニアの美月ちゃんだ。それなのにとても怖がりでもある。超常現象を信じているからこそ怖いのだという。
「うそうそ。幽霊なんか出ないよ。」あたしはうけあった。「幽霊を見たと思う人の九九パーセントは勘違いだって。だから残念というかだいじょうぶというか幽霊にはぜったいに会えないよ。」美月ちゃんは両手ではさんだまま、小鳥のようにつき出したくちびるで、「せやなぁ。」と答えたので、あたしはふきだした。なにがそんなにおかしいのかはわからない。相手が美月ちゃんだとわけもなく楽しくなるのだ。でも、笑っているこの時には気づかなかったのだ。
 残りの一パーセントの可能性ともうひとつ、怖いのは幽霊だけではないことに。

●志保と美月は、放課後に幽霊屋敷「昭和邸」に行くことにしました。昭和邸に向かう道沿いには馬場商店というコンビニ風のお店があります。帰りにはこれを食べようと店先においてある大きなソフトクリームの模型を指して話しています。しかし、その日の帰り、ふたりはそのソフトクリームを食べることはできませんでした。さて、「昭和邸」で何があったのでしょうか?

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