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6年生の今月の本


丸天井の下の「ワーオ!」 タイトル 丸天井の下の「ワーオ!」
著者 今井 恭子(作)小倉 マユコ(画)
出版社 くもん出版
 

 二階の自分の部屋を出て、階段を下りてゆくと……。「春の遠足で行った、富士見公園の、シバザクラは、とても、きれいでした」ひとことずつ区切るような、はきはきした声がひびいてきた。妹のミドリだ。作文を読み上げ、ママに聞かせている。「上手に書けたじゃない。字もきれいよ」わたしの前では、絶対にくりひろげられることのない母娘の光景だ。
 ディスレクシア――美しいひびきの言葉だ。花の名前だといわれたら、知らない人は信じてしまうにちがいない。バラの品種?それとも、ランかユリか?
 いや……そうじゃない。知的発達には問題がないが――いや、ふつうより知能指数の高いことだってあるが――読んだり書いたりすることが非常に困難な学習障害のことだ。そして、なにを隠そうこのわたしも、おすみつきのディスレクシアというわけだ。
 しゃべるのなら、だれより得意なのに……。「マホは、口から先に生れてきたみたいね」おばあちゃんには、そういわれて育った。言葉は次から次へと頭の中にわいてくる。口をついて出てくる。物語さえ、するすると語れた。小さいときは、いつもおばあちゃんに即興で、面白おかしくお話をしてあげたものだ。なのに、読み書きの能力は、わたしのあふれでる思いに全然ついてきてくれない。

●ディスレクシアという学習障害をかかえているマホは、空想をひろげたり、物語を創造したりすることが好きです。しかし、字の読み書きがうまくできないことから、高校や大学に行けるのかと将来に不安を抱えています。ある夏休みに、自分の作品が展示されている博物館でスケッチをしている、ちょっとかっこいい男の子にであいます。ふとした言い合いをきっかけに、マホは男の子に自分で創作した物語を聞かせることになります。

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