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6年生の今月の本


砂漠の物語 タイトル 砂漠の物語
著者 郭 雪波(クオ シュエポ)
出版社 福音館書店
 

 モンゴル族に伝わる英雄叙事詩(じょじし) 『チアンガル』 はうたう。〈――あの古い古い黄金の世紀に みなしごチアンガルがパオムパ聖地に誕生した チアンガルのパオムパ聖地は人の世の幸せの地・・・〉

 大学で 『チアンガル』 の翻訳(ほんやく)をしたのをきっかけに、伝説の 「パオムパ聖地」 を求めて砂漠にやって来た青年アムーがたどりついたのは、世の中から孤立した貧しい小村でした。そこで、幼い子どもを亡くした女性、アイマに出会います。
 その夜、アムーは天を仰いで庭先に立つか細いアイマの姿を目にします。月の光の中で、彼女のまなざしはいっそう暗く、悲痛なものに思われるのでした。

 翌朝、アムーは砂漠にくわしいアイマの父親と共に、「パオムパ聖地」を探して二度目の出発をします。照りつける太陽のもと、二人はが見つけたのは、伝説の土地ではなく、人のかたちをしたオオカミ――いえ、オオカミのような少年でした。

 そのオオカミ少年こそ、死んだはずのアイマの息子「コウワ」だったのです。
「肩にかかる汚れた灰色の長髪、腕のようにも足のようにも見える太い腕、陰鬱(いんうつ)で野蛮なまなざし。これが七、八年もの間、昼も夜も思い続けてきたコウワだというのだろうか。」

  コウワと再会したアイマの驚きはいいようのない激しいものでした。けれども、彼女はすぐさま息子にとびついて叫んだのです。 
「あたしの子……あたしの息子!」
少年にかみつかれた手首から血を流しながら、アイマは変わり果てた息子の頭をやさしくやさしくなぜるのでした。

 けれども、8年間もオオカミに育てられた少年の心は、そう簡単には家族のもとに戻りません。そんなある夜、ついに恐れていたことがやってきました。母オオカミが、「自分の子ども」を取り返すため、村までやって来たのです。夜空にこだまする母オオカミの悲痛な叫び……そのときコウワがとった行動は?

【 中国の広大な砂漠が舞台のお話・4編がおさめられた作品集です。月に照らされた青い夜の砂漠と、吹きつける火のような風が印象に残ります。爪に食い込む砂の感触までが感じられそうな力強い描写に、きっと引き込まれてしまうはず。エキゾチックなお話や冒険が好きな人におすすめの本です。】

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