追い込み期の親の声かけは男女で違う?

2020 年 12 月 7 日

 師走を迎え、受験生を抱える保護者におかれては何かと気ぜわしい毎日をお過ごしのことと思います。コロナ禍における健康面の様々な対応は無論のこと、入試が迫ってくるとお子さんのメンタルへの配慮も以前に増して必要になってきます。そこで今回は、受験前の最終段階を迎えるにあたり、親の声かけや励ましにどういった配慮が望ましいかについて、ともに考えてみたいと思います。

 とは言え、筆者もその筋の専門家とは言い難く、絶対的な妙案をもっているわけではありません。かつて多くの受験生や保護者と接してきた経験と、教育・心理学系の学問を修めたことで得た知見とをもとに、「少しでも参考になれば」という思いを込めて筆者なりの考えお伝えしようと思います。多少なりともお役に立つ点があれば幸いです。

 前回お伝えしたように、入試前の数十日は12歳の子どもが驚くほどの集中力を発揮し、一気に合格圏へと駆け上がっていく最重要局面です。そのいっぽうで、精神面にも負荷がかかりやすいときです。やるべきことに専念して勉強に打ち込めるか、精神的なふらつきに惑わされてしまうかで、仕上げ学習の効率は大きく変わってきます。お子さんが無用のストレスや心配に振り回されることなく、入試前最終段階の学習をやり切れるよう適切なサポートをお願いいたします。

 入試本番が近づくと、楽しそうに勉強していたかに見えた子どもたちも、精神的に張りつめた状態になりがちです。この段階を迎えると、親の声かけも男女の気質の差に応じた要素が必要になってきます。どういうことかを端的に申し上げると、男子は自己肯定的な傾向があり、難しい厳しい局面においても比較的楽観的な態度やふるまいをするいっぽう、女子はどちらかというと難しい厳しい局面にいたると自分を過小評価し、悲観的な心境に自分を追いやりがちであるということです(あくまで相対的な傾向ですが)。心理学系の専門者を読むと、やはりそういった傾向が間違いなく見られるようです。

 まず男の子ですが、大人から見るといささか能天気で、現実が伴わないわりにプライドが高く、「いったいこの期に及んで、やる気がほんとうにあるのか!?」と、入試が近づくほどにカリカリ来てしまう保護者が少なくないようです。あげくに、売り言葉に買い言葉で双方がけんか腰になり、互いに感情を爆発させてしまうようなこともありがちです。男の子の弱点は、危険回避への柔軟な対応を怠りがちな点にあります。川や海で溺れて死亡する事件、無謀運転による事故などが圧倒的に男性に多いのは、危険を予測して慎重に行動するよりも「やれるさ」という楽観的で希望的観測に身を任せて行動する傾向があるからだと言われています。リスクが厳然と存在するにもかかわらず、それを無謀なまでの挑戦へと変えてしまうのが男子なんですね。それが考えられないほどの大成功を呼び込むこともある半面、未然に防げるはずの失敗を招くことのほうがはるかに多いのが現実です。

 しかしながら、ことわが子の入試となると、こういった男子の欠点を見過ごし看過するわけにはいきません。そういう現状認識の甘さがみられる場合、「今のままでいいのか」と問いかけ、檄を飛ばすような対応をしてもよいと思います。感情を抑制しビシッと叱る親に対して、やっと目が覚める思いをし、それを契機に追い込みを成功させた男の子の話は少なくありません。男の子には、「自分がいけないときには、ガツンとやってもらいたい」という心理的な欲求が根底にあるのかもしれなせんね。

 いっぽうの女の子については、この方法は望ましくありません。6年生の女子クラスを初めて担当したとき、入試が迫ってきた12月くらいから、やたらと「先生、私なんか受かるわけないよね」「私には見込みがないよね」と、悲観的な言葉を次々に向けられて困惑したことがあります。優秀な成績を維持しているお子さんすらそうでした。そこですぐに気づきました。打ち消そうとしても湧きあがってくる悲観的な思い、不安を、大人に払しょくしてほしかったのです。「ええっ!? きみが受からなきゃ、誰が受かるの?だいじょうぶだよ!」と明るく応じてあげたら、いつも通りの笑顔を取り戻したものでした。実際のところ、指導現場にいる担当者は心得たもので、入試会場などでよくこの言葉を女子受験生に投げかけているのを目撃します。

 以前も書いた記憶がありますが、おかあさんと女のお子さんとは精神的に近くなりすぎる傾向があり、わが娘の悲観的な思いに同調しておかあさんも一緒に落ち込んでしまうケースがあるようです。ただし、不安に振り回されたせいとはゆえ、成績不振に陥ったわが子に、「あなたなら絶対に大丈夫よ!」と激励しても、大人の思考レベルへと近づきつつある女の子には説得力がありません。男子と比べて女子は真面目で、それなりにがんばってきたお子さんが多いものです。ですから、今までの努力を思い出させ、「今までやったことは必ず身についているよ。不安は誰にでもあるもの。大事なのは不安に負けないことじゃないのかな? 自分のやってきたことを信じて、今まで通りやっていこう!」などのように、不安から我を取り戻すよう励ましてあげることが必要だろうと思います。語弊があるかもしれませんが、「開き直ってやるしかないよ!」という激励もアリでしょう。

 以上を簡単にまとめると、男の子に対しては「本当にやるべきことをやれているか」と、現実を冷静にとらえ直させ、データをもとに今からできる最善を尽くすよう働きかけることが肝要でしょう。また、女の子にはリスクを恐れる悲観的な考えから解放してやり、今まで継続してきた努力を信じてがんばるよう促してあげることが必要でしょう。また、男女どちらにも欠かせないのは、「親は子どもの最大の理解者であり、味方なんだ」という思いを込めて声かけをすることです。この思いは必ずお子さんに伝わり、奮起を促すのは間違いありません。

 どうでしょう。おたくのお子さんに当てはまると思われた点があるでしょうか。もしもおありなら、今からの声かけやサポートにおいて、上述した事柄を参考に、今の状態やシチュエーションに即して試してみてください。

 そしてもう一つ、どのご家庭にもお願いしたいことがあります。それは、今までどれだけ努力してきたかどうかにかかわらず、親の不満はとりあえず脇に置いておき、「おとうさんおかあさんは、今からできる最善を尽くすことがあなたに望んでいることなんだよ!」と伝えてあげてください。過去の後悔を引きずっても何にもなりません。それよりも、やるべきことから目をそらさずやり尽せるかどうかが重要なことでしょう。すべての入試が終わったとき、「最後のがんばりは見事だったよ!」と、笑顔で語ってあげられるよう、思いを込めてこの言葉を伝えてあげてください。

 かつて広島学院の名物校長だったロバート・ラッシュ先生は、校庭に整列した受験生全員を前にして、「みなさんのベストをやりなさい!」と激励されていました(以前は、全受験生が校庭に整列したうえで、入試会場に案内されていました)。入試日恒例のことなので、この言葉を聞くたびに、「今年も学院の入試がやってきたんだな」という実感が湧いてきたものでした。そうです。重要なのは、入試本番でベストを尽くすべく挑戦することなのです。それがやれたなら、結果はどうであれ悔いは残りません。だからこそ、「ベストをやりなさい」とおっしゃったのかもしれませんね。

 一回勝負の受験は12歳という年齢の子どもには酷な面もあります。しかしながら、重圧に耐え、最高のパフォーマンスを発揮すべく挑戦することに大いなる意義があります。人間として成長するうえでもかけがえのない体験となるのです。入試が終わるまで、チャンスは受験生の誰にも平等に与えられています。悔いの残らぬラストスパートを実現すべく、がんばっていただきたいですね。

 入試を終えたとき、全ての受験生家庭に晴れ晴れとした笑顔が見られますように!


 

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: がんばる子どもたち, アドバイス, 中学受験, 家庭学習研究社の理念

自己を燃焼させる体験は一生の宝

2020 年 11 月 30 日

  師走が迫り、冬期講座の申込受付が佳境を迎えています。2021年度4年部前期講座への入会を検討しておられるご家庭におかれては、ぜひ「3年部冬期集中講座」に参加くださいますようご案内申し上げます。

 この講座は4日間という短期間の講座ですが、勉強の面白さに触れる体験、家庭学習研究社がどういう学習塾かを肌で感じていただく体験をご提供するとともに、最終日に実施する「まとめのテスト」で現在の受験を前提とした基礎学力の状況を知っていただくことができます。さらには、テスト成績が一定水準に達していたお子さんには、4年部への入会資格を進呈します。毎年、この講座をきっかけに4年部に入会し、受験生活を開始するお子さんが多数おられます。受講料はいただかず、教材費のみの格安に設定しています。ぜひお気軽に参加ください。

 なお、すでに定員に達しているクラスがかなりあります。当ホームページで通学希望校・クラスの埋まり具合をお確かめのうえ、お申し込みください。また、1・2年生の「冬期集中講座」につきましても、校舎によっては定員に達しているクラスがあります。こちらもホームページにて申し込み状況をご確認のうえ、手続きをお願いいたします。

 さて、中学入試シーズンが徐々に近づき、いよいよ受験対策もラストスパートの段階に突入しました。そこで今回は、2021年度の入学試験を控えたお子さんをおもちの保護者の方々に向けて、応援の気持ちをお伝えしようと思います。

 受験生はまだ12歳になるかならないかの子どもです。自己を燃焼させて物事に取り組める期間は決して長くありません。せいぜい2~3ヶ月くらいのものでしょう。そのことは、まだまだ何につけ未熟な段階にあるのだということを意味します。入試への自覚が高まるのも、受験勉強のエンジンがかかるのも、大人の期待よりも遅くなりがちなのはある程度やむを得ないことでしょう(無論、早くから熱心に勉強に取り組み、すばらしい成果をあげているお子さんもおられます)。特に男子の場合、大事なことへの備えを早めにするということが難しく、親から見るとノンビリ無自覚で、これまで随分とイライラしたり心配したりされた保護者も少なくなかったことと思います。

 ですが、もはや入試まであと1カ月半ほど(広島の主要私学の入試日を基準にしました)を残すのみ。さすがに目の色がだいぶ変わり、勉強に真剣さが見られるようになったお子さんも少なくないのではないでしょうか。これから本番まではおよそ40~50日。この大詰めの終盤をうまく乗り切れるかどうかで結果も決まるのだと言ってよいでしょう。やればやった分だけ吸収し、急速に入試に備えた学習の成果もあがるのがこれから入試本番までの期間です。まさに正念場を迎えたのです。

 勉強の成果は時間や労力に比例しません。いかにして集中力を発揮し、やるべきことに的を絞った効率の高い勉強ができるかが成果を左右します。お子さんの自覚が高まってきたこれからは、そのことがより一層大切になってきます。これまでの勉強の反省に立ち、今からやれる最善を尽くしてまいりましょう。今、お子さんは取り組むべきことが何かわかっておられるでしょうか。勉強すべきことの的がしっかりと絞れているでしょうか。まずはそのことを親子で話し合い、確かめていただきたいですね。

 12月6日(日)に予定されている第5回目の模擬試験は、広島の私学(修道と広島女学院)を会場にして行われます。入試本番の雰囲気を知るまたとないチャンスです。それと同時に、学力の最終調整をしていくために必要なデータが得られる貴重な機会です。これまで4回の模擬試験の結果と得られたデータをまずは親子で分析し、埋め合わせるべき単元や知識を明確にして調整に励んでください。そうして、模試の最終回に臨み、その結果をもとに最終仕上げのための勉強を定めていきましょう。

  前述したように、受験が迫ってくると、親をイライラさせてきたお子さんの目つき顔つきが変わってきます。やっと入試を自分のこととして見据えるようになったのです。それはお子さんにとって、不安や期待、覚悟がないまぜになった闘いの始まりを意味するでしょう。しかしながら、そこに12歳の受験の価値があるのではないでしょうか。入試本番まで、揺れる思いを背負いながら一心不乱に勉強する体験。これが子どもをたくましく成長させるのです。それは中学受験という目標をわが子に与えたからこそのことです。これこそ、何ものにも代え難い貴重なものではないでしょうか。精神を鍛える厳しい体験は成長途上期に絶対に必要なものです。「かわいい子には旅をさせよ」の格言は、誰しも頭では理解できても、簡単に実行できるものではありません。それをされたからこそ、「わが子の成長」という宝物を得ることができるのだと筆者は確信します。

 ひょっとして、「今までチャランポランな勉強をしていたわが子が、今から少々がんばったところで、よい結果が得られるとは思えない」と、あきらめかけている保護者はおられませんか? あるいは、「受験は結果が全て。もしも望みが叶わなかったなら、子どもはやる気を失ってしまうのではないか」と、今から悲観的な予測にとらわれているかたはおられませんか? もしもそんなかたがおられたなら、親自身が考えかたを改めるべきです。わが子を信じてやりましょう! 前者について申し上げれば、「遅まきながらにせよ、一定期間必死になって受験勉強に取り組んだ経験は決して無駄にはならない」と考えるべきです。また後者について申し上げれば、「中学受験の価値の大半はそこに至る学びのプロセスにあるのだ」と考えるべきでしょう。確実にわが子の人生の支えになるのは、「合格したかどうか」ではなく、「受験生活を通して、人間としてまっとうな成長を遂げられたかどうか」にあるのですから。

 実際、かつて家庭学習研究社に通って受験をされた方々の多くは、その結果にかかわらず「楽しかった」「なつかしい思い出がたくさんある」と肯定的に振り返っておられます。また、今に至るまで自分の進路を自ら切り開いて社会で活躍しておられます。こうした伝統は、今も家庭学習研究社にご縁をいただいているご家庭に受け継がれています。

 保護者におかれては、わが子がやるべきことをしっかりと見据え、一心不乱に受験勉強に打ち込めるよう、最後まであきらめずにしっかりとサポートしてあげてください。前述したように、今何をすべきかを親子で資料や成績データをにらみながら絞り込み、毎日確実にやり遂げていくようお子さんを促してあげてください。これも前述しましたが、気合と集中力の伴った今からの勉強が入試の結果を左右します。最後のダッシュを決めましょう! もしも大詰めの学習をどうするかにあたり、お迷いや不明な点があったなら、すぐに指導担当者に連絡してご相談ください。

 中学受験への挑戦は、お子さんだけでなく背後におられる保護者との共同作業です。まだ自立の途上にある子どもの受験には、温かくも愛情深い保護者の支えが欠かせません。どうか最後まで明るく力強くお子さんを支え応援してあげてください。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 中学受験, 子どもの自立, 子育てについて, 家庭学習研究社の特徴

子どもの受験勉強に親はどう関わるべき?

2020 年 11 月 24 日

 ここ2~3回の記事は、中学受験の主役が発達途上の小学生であることを踏まえ、子どもの望ましい成長に資する受験の実現に向けて大人が配慮することの必要性をお伝えしました。弊社はこのような考えに立脚し、昭和42年の設立以来50余年にわたって一貫した活動を継続しています。

 受験対策に大人が関わり、子どもをバックアップする。それは未熟な小学生の受験ですから必要なことです。むしろ、中学受験は大人のバックアップなしに成立しない受験だと言えるほどです。しかしながら、合格のためとはいえ、大人が過重な負担の伴う勉強を子どもに押しつけると、勉強のもつ本来のよさを子どもが享受できなくなり、「将来に道をつける」という受験本来の目的が損なわれてしまう恐れもあります。大人の関与は必要ではありますが、さじ加減しだいで子どものすばらしい成長を引き出しもすれば、逆に望ましい成長をスポイルすることもあるのです。そこが中学受験の魅力でもあり難しさなのだと言えるでしょう。

 これからお子さんの受験生活が始まるご家庭におかれては、お手数ですがここ2~3回の記事に再度目を通していただければ幸いです。そして、保護者自身の教育観や子育て方針と照らし合わせてみてください。もしも弊社の学習指導と保護者のお考えとが一致するようでしたら、ぜひこの冬休みの講座から、もしくは来年の前期講座からの入会をご検討いただきますようお願い申し上げます。

 さて、繰り返しになりますが、子どもの将来という観点から中学受験対策のありかたを考えると、私たち大人に求められる視点として外せないのが「子どもの学びの自律に向けた支援」です。自ら学ぼうという意欲を携え、やると決めたことを着実に実行に移す。このような姿勢を受験のプロセスで子どもが身につけたなら、志望校に受からないはずはありませんし、万一希望が叶わなかったとしても、中学・高校の6年間でいくらでも巻き返しは可能でしょう。それ以上に言えるのは、大学進学、社会への参入の段階に至ると、自らを律する姿勢の持ち主であることが、あらゆる人生の局面で有効に作用することになります。今日のグローバル社会で自分を通用させられるのは、「自立した人間」「自らの知恵で困難を突破できる人間」なのですから。

 このことをもう一度胸におくと、子どもの受験勉強に対する大人の関わりかたも自然と収まるところに収まっていくことでしょう。すなわち、指示や命令で子どもの勉強を取り仕切るのでもなく、勉強を子ども任せにして放任するのでもない。すなわち、「付かず離れず」の見守りと応援が最も望ましいのではないでしょうか。

 私たち家庭学習研究社は、講座の開始後、子どもの取り組みが少しずつ自立していくよう配慮して指導を行っています。たとえば、子どもたちが毎日の家庭学習を計画に基づいて進める習慣が身につくよう、講座の開始時に学習計画表を全会員家庭に作成していただくよう案内しています(モデルプランを参考に、親子で相談して作成してもらいます)。また、家庭学習(授業の予習・復習、副教材の学習、テストに備えたまとめの学習など。なお、予習は4年生には課しません)が円滑に進められるよう、講座の開始当初は繰り返し取り組みかたについて指導します。ノートは復習の効率性を高めるうえで重要な存在です。そこで、授業の板書を上手に写したり、家庭で取り組んだ問題の○つけや修正を要領よく行ったりできるよう、ノートの取りかたについても適宜指導しています。

 保護者にお願いしたいのは、こうした学習をお子さんが受け入れ、お子さんなりにやりこなせているかどうかを見守っていただくことです。無論、4年生と6年生では、子どもの意識も自分でやれるレベルも全然違います。子どもの年齢なりに、少しずつ進歩しつつあるかどうかを見守り、ほめたり激励したりしつつ、必要に応じてアドバイスをするのが親の役割です。「付かず離れず」とは、大まかにはこのような関わりなのだと思ってください。

 たとえば、4年部からお子さんが入会されるとしましょう。当面、保護者にお願いしたいのは次のようなことです。

 上記の事柄については、ご家庭それぞれに保護者がどこまで手を貸すか、子どもが自分でどこまで判断してやれるかは違っていると思います。ただし、どなたにも共通していえることは「子どもが一人でやれそうなことにまで口出し手出しをしない」ということです。できるなら、一つひとつの案件について、「どうしたらいいと思う?(どうしている?)」と、子どもに問いかけ、子どもに判断させたり説明させたりするよう心がけていただければありがたいですね。児童期後半の子どもは、親に期待されていることが何よりも励みになりますが、そのいっぽうでこまごま口出しをされるのを嫌がります。また、ちゃんとやれていなくても、一応取り組んでいればほめてもらいたいという願望をもっています。大人にすれば都合のよい話ですが、そういう子どもの気持ちを理解してやり、少しずつまともな取り組みができるようバックアップしてやることが必要です。こういったサポートを辛抱強く続けているうちに、いつの間にか見違えるような進歩を遂げる。それがこの年齢期の子どもなのです。

 「付かず離れず」という見守りスタンスに関わる重要なことがほかにもあります。授業のあった日には、「今日の授業はどうだった?」「どんなことを勉強したの?」など、子どもに問いかけ、子どもがどんな気持ちで授業を受けているのか、楽しく勉強できているか、などについてそれとなく掌握しておくと、親のサポートが必要な時に適切な対応をすることができるでしょう。また、テストの結果が返却されたら定期的に反省会をし、一緒に喜んでやったり、がんばりを承認してやったり、励ましたり、反省点を確認したりすることも必要です。こうしたことの繰り返しを通して、親が自分に何を期待しているのかお子さんは理解するようになり、自律に向けた成長の度合いも増していくことでしょう。

 復習の際の〇つけ、副教材の家庭学習、マナビーテストに備えたまとめ学習の取り組みなどは、まだまだ子ども任せにすると完璧には程遠く、まかり間違うと親がとりしきったり、叱ってやらせたりすることになりかねません。4年生ぐらいですと、こういう勉強に親が立ち入ることでテスト成績をあげることはできます。しかし、肝心の「自律に向けた成長」は止まってしまいます。自ら学ぶための推進力が得られないお子さんは、当面の成績はよくても、やがて行き詰る可能性が高いのです。歯がゆい思いはあっても、わが子が少しずつ自立していくよう、辛抱強く、ほどよい距離を置いて見守りサポートできるかどうか。それがやがて大きな違いをもたらすのだと心得ていただきたいですね。

 駆け足で、大ざっぱな説明しかできませんでしたが、「付かず離れず」がどういうことか、ある程度ご理解いただけたでしょうか。弊社が実践する学習指導は、すべて「子どもの自立学習支援」という核となる方針に基づいています。このことをご了解いただいていないと、「うちの子は塾に通ってもさっぱり成果がない」ということになりかねません。授業で何を学んでいるのか、家庭では何をすべきなのか…これらが不明瞭だと、子どもの学習の現実も全く見えてきません。直接の手出しはなるべく控えつつ、わが子はいまどのように学んでいるかを見守り続ける。忍耐の要る役割ですが、親の苦労が実を結ぶためには「できることは子ども自身にやらせる」という方針を徹底させることが肝要です。この流れが軌道に乗ると、思春期を終えた頃にはわが子にまつわる親の苦労が格段に減っていることでしょう(ご承知と思いますが、思春期に至ると、わが子が抱える問題に親はまったく関与できなくなります)。

 お子さんが受験生活をスタートされる家庭の保護者にお伝えしたいこと。それは、「これからの受験生活で、わが子が自律型の行動規範を携えた人間に成長するよう応援しよう」という強い意志をもっていただきたいということです。この点が明確であるか否かによって、お子さんの取り組みの姿勢が全く違ってきます。

 「中学受験を、わが子の大いなる成長の場に!」――保護者の方々には、このことを念じながら受験生活を乗り切っていただきたいですね。どうぞよろしくお願い申し上げます。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 子どもの自立, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

私たちが提供したい受験の成果とは!?

2020 年 11 月 16 日

 早いもので、今年も余すところ1ヶ月半ほどになりました。12月6日には、弊社主催の模擬試験の最終回(第5回)が予定されています。広島を代表する男女の私学である修道と広島女学院を会場にお借りして実施しますので、入試の予行演習としての趣も一層濃くなります。多くの受験生が志望校とする私学でテストを受ける経験は、本番で我を失うなどの失敗を未然に防いでくれます。毎年、この回はいちばん参加者も多いので、得られた成績データは学力の最終調整に向けて大いに役立つでしょう。塾単位のほか、個人でも参加可能です。ぜひチャレンジしてみてください。

 例年であれば、11月早々に冬休みの講座や次年度前期講座の会員募集活動を始めているのですが、今年は新型コロナウィルスの感染拡大の長期化に伴い、始動がかなり遅れています。現会員のかたにはそろそろ案内が届くのではないと思います。また、会員以外のかたで、冬期講座への参加、もしくは次年度前期講座への入会を希望されるかたは袋町本部または最寄りの校舎に資料をご請求ください。折り返しご家庭にお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、毎年11月には広島の代表的な私学(男子校・女子校各1校)の先生をお招きし、外部会場を設けて私学教育の魅力を語っていただくイベントを実施していますが、今年はウィルスの感染リスクを回避するため、開催を見送りました。また、冬期講座に関しては、授業を受けていただく方法以外にも、オンラインで受講していただく方法もご用意しています。案内をよくお読みのうえ、受講の方法を選択していただくようお願いいたします。

 さて、今回は次年度前期講座の会員募集の開始に伴い、これからお子さんの塾選びをされるご家庭に向け、中学受験専門塾としての特徴をお伝えしようと思います。保護者のお考えに合っていたら、ぜひ入会をご検討ください。どうぞよろしくお願いいたします。

 弊社は昭和42年創設以来、一貫した方針の下で中学受験指導を行っています。学習指導の実践にあたって最も重要な前提としているのは、「発達途上にある小学生の受験である」ということへの配慮です。中学受験が高校や大学への受験と決定的に違うのは、心身ともまだ成長途上にある小学生の受験であるということです。それは、どのような勉強、どれぐらいの負担で行うべきかの判断を大人がする必要があるということを意味します。そう、大人の舵取りとサポートが必要な受験なのです。

 しかしながら、それゆえに生じがちな問題があります。「合格しなければ受験する意味がない」という観念に縛られると、合格に偏重した受験対策を子どもに押しつけることになりがちです。このような受験勉強は子どもの成長をスポイルしかねません。たとえば、無理な詰め込みやハードな訓練を課すと、勉強に対する間違った観念を子どもに染み込ませたり、伸びしろの形成を阻害したりする恐れがあります。中学受験に失敗したとしても、後で取り返しはいくらでも可能です。大切なのは、受験に向けた準備の学習や生活が学力形成のみならず、人間としての成長に寄与することではないでしょうか。勉強への嫌悪感や、自己の能力への疑念が染みついてしまうと、後々の学びの人生に大きな影を落としてしまいかねません。

 このような考えに立つ弊社は、子どもに無理をさせず、日々の生活や学習が勉強に対する健全な受け止めかたをもった人間への成長を促すこと、中学や高校、大学へと発展していく学問の流れにうまく順応していける態勢を構築していくことを主眼に置いた指導を実践しています。そしてなおかつ、「いかに志望校への進学の夢を実現するか」に挑戦することが、中学受験専門塾としての弊社の使命だと考えています。具体的には、次のようなことがあげられるでしょう。

< 家庭学習研究社の受験指導 >

1.週3日通学制を原則とする
 学校生活や家庭生活との両立を考慮し、無理のない通学日数を設定しています。授業終了時刻も、8時半ごろまでを原則としています(4年生は7時半過ぎ)。週3日通学であれば、授業日の翌日は家庭での自学自習に当てることができます。「授業」⇔「家庭学習」の反復により、確かな学習習慣や自律的な学びの姿勢など、将来の学習の発展に欠かせないものが身についていきます。これらは子どもたちの将来的観点に立つと、合格以上に大切なものだと弊社は考えています。

2.授業は演習型でなく、講義形式を基本とする
 弊社は、授業を知識増強や訓練の場とするのではなく、先生の誘導のもとで大切な基本事項について「みんなで考える」という授業スタイルをとります。週3日という限られた条件を生かすためです。授業で理屈を理解したら、家庭に帰って復習をし、さらに関連問題に当たります。この連携をくり返します。つまり、授業と家庭学習は対等な関係にあります。ただし、小学生にとって家庭学習は簡単ではありません。そこで、授業ではノートの取りかたや家庭学習の方法についても適宜指導していきます。

3.家庭で自己管理に基づく学習を進める
 家庭にいる時間を有効に使い、自主的に学習できるかどうか。これは子どもの将来を決定づけるほど重要な問題です。その意味においても、大人がとりしきっての受験勉強は望ましくありません。中学入学後では後手に回ってしまいます、受験勉強のプロセスで自立型の学習姿勢を身につけておくべきです。そこで弊社は、「いつ、何を、どれだけやったらよいか」を明示したオリジナルテキストを開発し、小学生が家庭で自主的に勉強していくためのサポートをしています。

4.学習指導に関わるものの全てが広島の入試に特化している
 中学受験はローカルなものです。広島の受験生は、大概広島の中学校に進学します。したがって、大都市圏の超難関校も視野に入れた教材は無駄が多く、余分な負担を与えてしまいます(広島は基礎学力重視の入試が主流)。そこで弊社は、広島の中学受験に的を絞り、広島の最難関校合格に照準を合わせたテキストや副教材、テストを制作し、子どもに優しい受験対策の実現に向けて努力しています。また、子どもたちは同じ目標をもつ集団ですから、テストで得られたデータは志望校合格に向けて大いに役立つことになります。

5.将来の飛躍に向けた基盤形成が、中学受験最大の収穫である
 1~4でおわかりのように、弊社は「将来の大成」に目を向けた学習指導の実践をめざしています。受験は合格をめざしてするものですが、そもそも受験や進学は将来を考えてのものです。したがって、「中学校進学後にどのような世界が待っているのか」ということを考慮せずにする中学受験はあり得ません。大切なのは「子どもが人間として固まる前の今、どんな受験勉強をし、どんな受験生活を送るか」ではないでしょうか。ここを押さえれば、受験結果はどうであれ、子どもの将来は前途洋洋です。

 子どもの数が多く、しかも中学受験がブームだったかつてと違い、今では中学受験での志望校合格はさほど難しいものではなくなっています。十分な基礎学力を身についていないお子さん、学ぶ姿勢に問題を抱えたお子さんが合格する例もみられます。しかしながら、だからこそ「とりあえず合格しさえすれば」という考えは禁物です。保護者におかれては、「どんな学習観や学びの姿勢を携えて合格したかが、中学校進学後の歩みを左右するのだ」と認識し、お子さんの受験生活を見守り応援していただきたく存じます。そこがしっかりした家庭においては、中学受験がマイナスに作用することはありません。

 中学受験は、子育ての仕上げ期と重なります。時間もエネルギーも投じての受験ですから、お子さんを望ましい人間へと成長させる絶好の機会にもなります。家庭学習研究社は、そのためのお手伝いをさせていただく学習塾です。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: 子どもの発達, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

中学受験を視野に入れておられる保護者へ その2

2020 年 11 月 6 日

 前回(10月27日掲載)は、お子さんの中学受験を視野に入れておられる低~中学年児童の保護者に向け、「今からどんな準備をしておくべきか」「受験勉強で成果をあげられる子になるために必要な要素は何か」などについてお伝えしました。今回は、正式な受験対策の開始を検討しておられる保護者(来春4~6年生になる児童の保護者)に向けた記事を書いてみようと思います。

 受験準備の開始時期として、弊社がお勧めしているのは4年生からです。無理なく学力をつけて志望校への合格を果たすには、3年間という準備期間が最も適切だと考えるからです。実際、弊社でいちばん多いのは4年生春のスタートで、10年以上前からこの傾向は変わっていません。例年、6年部生の6割強は4年部から入会したお子さんです。

 ただし、家庭ごとに、さらにはお子さんごとにそれぞれ考えや事情も違っています。4年生の段階では、まだ受験対策の開始に至らないご家庭もかなりあります。受験が全てではありませんから当然のことです。通学の負担やスポーツや習い事の継続、保護者の方針、お子さんの意向なども考慮し、最終的に「いつから塾に通い、受験勉強をするか」について決定されればよいでしょう(受験以外にも大切にしたいことがあるのは当然です)。弊社では、だいたい3割強のお子さんが5年部から入会されています。

 6年生から受験対策を始めるお子さんもわずかながらおられます。この場合、かなり密なスケジュールによる学習の仕上げが求められますから、お子さんにもそれなりの覚悟や実行力がないと、入試を突破するのは楽ではありません(特に難関校)。しかしながら、そうしたハンディを乗り越え、すばらしい取り組みで高いレベルの目標を突破しているお子さんもおられます。ですから、「3年あったら大丈夫だ」、「1年では無理」などの決めつけは当たりません。要は、やる気と努力次第なのですね(無論、基礎学力も必要)。

 また、準備期間が短い、通塾の負担が大きい、やりたいことをしながら受験勉強をするなど、一般的にはハンディと受け止められがちな条件を乗り越えるプロセスが、実は入試での志望校合格よりもお子さんの将来の歩みに重要な意義をもたらすことも多々あります。受験の成果は結果だけではありません。そういう諸々を勘案して、受験対策の開始時期を決めればよいのではないでしょうか。

 また、受験すること自体をお迷いのご家庭もおありでしょう。お迷いになる理由は、ご家庭それぞれに違うと思います。たとえば、以下のような不安や疑問をおもちのかたはありませんか?

◆保護者がわが子の受験をためらう理由<例>
「うちの子に、受験勉強をやり通せるだけの意欲や力があるだろうか」
「受験はさせたいが、ノンビリ・ボンヤリのわが子がやる気になるだろうか」
「私は受験させたいが、夫があまり乗り気でない」
「小学生が塾通いで夜遅く帰宅するのはよいことだろうか?」
「公立からでもその気になれば一流大学へ行ける。敢えて中学受験する必要があるの?」
「通学や費用の負担を厭わず私学に行かせる価値があるとしたら、それは何?」

「大学で相当な学費が必要だ。中学から学費負担の多い私学に子どもを通わせるのをためらう」
「周囲の大半が地元の公立志向の中、うちだけ受験するのははばかる」
「中1(13歳)から遠方の学校に通学させるのは安全面で不安だ(特に女子)」

「進学の希望が叶っても、うちの子がなじめるかどうか不安がある」

 他にもたくさんあることでしょう。ちなみに、上記の不安や疑問に関するご相談を受けたなら、筆者はそれらを解消したうえで、「受験させてみてください。たくさんのメリットを享受できますよ」とお伝えするでしょう。そのメリットとは、受験のプロセスで得られるものと、6か年一貫校にわが子を進学させたからこそ得られるものがあり、そのどちらもがお子さんの人生の歩みにとって大きな価値を提供してくれるからです。これらについては、一言で説明を終えることは不可能です。今回から次回にかけて、できる限りお伝えできたらと思います。

 まずは、保護者の立場からわが子が受験することの意義や、6か年一貫校に進学することのメリットについて考えてみましょう。挙げるとしたらどんなことがあるでしょうか。一緒に考えてみましょう。

 代表的なものを仮にあげてみました。実際にアンケート調査などで統計を取ったわけではありませんから、あくまで参考にしていただくための例です。おたくではどのように考えておられるのかを、今一度振り返ってみてください。上記の例をご覧いただくと、すぐにおわかりになると思いますが、子どもの受験に対する動機とはだいぶ異なると思います。それを、受験生活の始まりから徐々にすり合わせていくことが必要だと思います。試しに、子どもの側の受験の動機として考えられるものをあげてみましょう。

◇子どもの受験に対する動機<例>
わが子の受験に対する動機も大切に!)
・兄や姉(親戚の子ども)が通っている学校だから
・学校の建物や雰囲気にあこがれるから
・誰でも知っている有名な学校だから
・やりたい部活があるから

・制服が格好いいから
・有名大学に進学する生徒の多い学校
 だから

・賢くてスマートなイメージの学校
 だから

 子どもはまだ受験の意味もよくわかっていない年齢です。ですから、まずは学校に関する情報を得ることが受験に対する関心をもつきっかけになります。わが子を受験させようとお考えの保護者は、まずは身近なところから受験に興味をもたせる情報を探し、親が視野に入れている学校に目を向けさせることから始めたいですね。そういったとっかかりになる情報が見当たらなければ、中学校のHPなどから公開されている年中行事を探し、一緒に見に行ってみることをお勧めします。実際に学校を見て、在校生の様子を見学することで、その学校への興味や憧れの気持ちが一気に芽生えることもあります。学校のパンフレットを取り寄せて一緒に目を通し、お子さんが興味をもちそうな情報に触れさせるのもよいでしょう。

 無論、お子さんがどこからか情報を入手して、受験したいと言い出すケースも少なくないようです。その場合、たとえ親が視野に入れていた学校とは違っていたとしても、一応は受け入れてやりましょう。やがて、塾に通っているプロセスでいろいろな学校の存在を知るようになりますし、何校も受けて構わないこと、そして入試の結果で進学先を決定するのだということも理解することでしょう。

 いずれにせよ、長い期間に渡る受験生活であり、楽ではない受験勉強ですから、子どもの側に理由はどうであれ「行きたい」という気持ちがなければ続きません。お子さんの受験を視野に入れておられる保護者は、受験に興味をもたせることから始めていきましょう。ほとんどのお子さんは、塾に通って勉強する生活が始まると、いつの間にかいろいろな一貫校の存在を知り、進学したい意中の学校への憧れを胸に勉強するようになります。保護者はそういう流れに合わせ、視野に入れている学校の情報を子どもに与えてやればいいのです。

 児童期後半の子どもはすばらしいスピードで心身ともに成長していきます。うまく子どもの気持ちに刺激を与え、勉強を軌道に乗せてやると、半年前とは比較にならないほどの変化が生じるものです。弊社はそのプロセスにこそ、受験をめざすことの意義があると考えています。次回はそのことについて、少し詳しくお伝えしようと思います。よろしければお読みください。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 入塾について, 子どもの発達, 家庭学習研究社の理念