どうすれば学習対象が覚えやすくなるか

2021 年 6 月 21 日

 夏休みの講座の受付が始まりました。受験部門(4~6年生)はクラスや定員に比較的余裕がありますが、低学年部門は、どの校舎・学年も割りあてられる教室数に限りがあり、しかも年齢を考慮してクラス定員も少ないため、すぐに定員に達する場合があります。弊社のHPにて申し込み状況を確認のうえ、申し込み手続きをしていただきますようお願いいたします。

 さて、前回は低学年児童向けの夏休み講座についてご案内しましたが、その導入として「記憶によく残る学びとはどういうものか」を話題に取り上げて考察してみました。今回もこの話題を引き継ぎ、「どういう情報や学びが記憶に残りやすいか」について、ともに考えていただきます。お伝えする内容は、高学年児童の受験対策に応用していただけるのではないかと思います。

 ロシア語の同時通訳者として活躍された米原万里氏(1950‐2006)は、文筆家としてもすぐれた才能を発揮され、語学や教育に関わる著述を多数残されています。筆者は氏の文献をかねてより拝読していますが、それは氏の学習や記憶に関する著述が、近年脳科学の発達にともなって解明されている諸々の事柄と見事に合致しており、唸らされる思いをたびたびしてきたからです。今回は、どんなものが覚えやすいか、覚えにくいかについて書かれている部分をかいつまんでご紹介してみます。中学受験をめざしている子どもたちの勉強のありかたを考えるうえで役立つのではないかと思います。

どんなものが覚えやすく、どんなものが覚えにくいか

 覚えることに長け、テストで常に好成績をあげているお子さんは、丸暗記が得意(記憶力が高い)だからというよりも、「新規の知識をものにしたい」という意欲の熱量が高く、覚えることに工夫を凝らす努力を惜しまないからよい結果を得ているのではないでしょうか。特別に記憶力のよい人の話をときどき耳にしますが、一般的には人間の記憶力はそう違ってはいません。それぞれの教科の勉強にあたり、上記でご紹介したことを応用して覚えるための工夫をしてみるとよいと思います。

 前出の米原氏は同時通訳者ですが、全く異なる分野の専門家の会議やシンポジウムなどの仕事がつぎからつぎへと舞い込み、その度におびただしい量の資料に前もって目を通し、必須事項を頭にインプットしたうえで現場に向かったそうです。その仕事ぶりをちょっとご紹介してみましょう。

 帰国翌日は、万国家禽会議で「卵のコレステロールのほうが豚のそれに比べてどれだけ優れているか」とか、「鶏をあまりにも非人道的に扱っている。もう少し鶏の福祉を考えるべきだ」という話を「ああ、どうせ絞めて喰ってしまうのに」と思いつつ、それをおくびにも出さずに通訳したかと思うと、夜はボリショイ・バレエのプリマのインタビューに備え、「バ・ドゥ・トゥ」と「バ・ドゥ・トロワ」の違いなどを予習し、翌日からは二日間のセミナーで「日本の天皇制とロシア帝政の比較」「日本における中国研究とロシアにおける中国研究の比較」とかいうテーマの歴史学者たちの報告の通訳の仕事が待っていた。文系出身者としては、やっと「一息つける」と期待していたら、中国語の固有名詞の発音が日本語とロシア語と想像もつかないほど隔たっているため、通訳も、したがって会議も混乱した。

 次の日は、日本から輸出する養魚施設に関する商談の通訳で、魚が成長する過程で、「仔魚から稚魚になり、稚魚から幼魚になり、幼魚から成魚になり、そして子を産む親魚になる。だから、なまこの稚魚にあたる時期を「稚なまこ」ということを日露両語でそれこそ血まなこになって覚え、さらに次の日は東京都の下水施設視察に同行し、そこで処理された水を飲んでみないかと勧められて閉口したり、「翌週は「旧石器時代におけるユーラシア北部の細石器文化」というテーマのシンポジウムの通訳を引き受けたため、細石器の名称や製造技術、出土する地層や遺跡の名前を、「ああ、せっかく覚えても、わが残りの人生で二度と使うことはあるまい」と思いつつも懸命に頭に詰め込んだり。…………

 想像を絶するようなハードワークの様子は、この後も延々と紹介されていました(上記引用文は、都合で多少約めています)。ユーモアたっぷりに書いておられるので思わず笑いながら読んでしまいますが、常人にはとてもこなせない高度かつ過酷な仕事であることがよくわかります。

 ところで、米村万里氏はどのようにしてこのような卓越した情報の処理能力や表現力、機転の利いた会話術を身につけられたのでしょうか。そのヒントとなるもののひとつに、氏が小3から中3の途中までプラハのソビエト学校で受けた教育があるように思います(以下は氏の著書より引用)。

1.子供用にダイジェストされたり、リライトされたりしていない文豪たちの実作品の多読。学校附属図書館の司書が、学童が借りた本を返す都度、読み終えた本の感想ではなく、内容を尋ねる。本を読んでいない人にも、その内容をわかりやすく伝える訓練を、こうして行う。そのうえで、もちろん感想も聞かれる。

2.古典的名作と評価されている詩作品や散文エッセーの主なものの暗唱。低学年では、週二篇ほどの割合で大量の詩作品を暗記させられていく。

3.小学校三年までは日本で過ごした私の経験では、国語の時間、「では、何々君よんでください」と先生に言われて、間違いなく読めたら、それでおしまい。「座ってよろしい」だったのが、ソ連式授業では、まずきれいに読みおえたら、その今読んだ内容をかいつまんで話せと要求される。一段落か二段落読まされると、その都度、要旨を述べない限り座らせてもらえない。

 日本の学校教育とはずいぶん異なることに驚かされますね。両者の違いについて云々すると、それだけでおびただしい文字量になるので割愛させていただくとしても、参考になる点について一言申し添えておきたいと思います。

 ただ教科書やテキストを読む、重要事項を覚えることの繰り返しでは、たいした頭脳の鍛錬効果になりません。前回のブログでも、他者に説明する、教えることが、理解や記憶につながることをお伝えしましたが、上記のソビエト学校の教育も同じことが言えると思います。学んだら、その内容を他者に教える、説明するという機会があるとよいでしょう。

 低学年なら、それこそお子さんが親に説明する仕掛けを工夫するのも有効かもしれません。もちろん高学年でも構いません。「なぜこうなるのか」を自分に問いかけ、納得しなければ他者には説明できませんから、そのプロセスが頭を鍛えることになるのですね。ただし、高学年の学習内容ともなると、親が説明して教えるのは困難ですし、それを経験すべきは子ども自身です。ですが、頭脳鍛錬のパートナーとして聞き役を務めるなら、勉強に親が関わるのも決して悪いことではないと思います。

 読書も頭脳鍛錬にもってこいのツールです。読書をしたら、どんなストーリーだったかを親に説明したり、親子で互いに読後感を語り合ったりすると、読んだ本の内容がより深く子どもの脳に浸透するのではないでしょうか。かなり読めるようになったら、あらすじをまとめたりするとよいと思います。そこまでできないご家庭では、親の前で朗読するだけでも効果があるでしょう。言わずもがなですが、親が一方的に語りかけたり、苛立って説教をしたりしないよう、くれぐれもご留意くださいね。

 親が聞いてくれていたり、後で親に説明する必要があったり、あらすじをまとめる仕事があったりすると、子どもは集中して真剣に読みます。はじめから高度な要求をすると、子どもにとって辛くて嫌なものになりますが、親も同じものを読んで感想を交換したり、子どもの表現足らずを前提に練習相手をするつもりで親が臨めば、段々と上手になり、半年後には驚くほど進歩しているのは間違いありません。

 小学生までの子どもの学びは、見守ってくれる大人の(厳しくも)温かいまなざしを背に受けてこそ活性化するものです。自学自習はいきなり達成できるものではなく、そこへのステップとして大人の適切な関わりや助力が必要なのだと思います。成長途上の子どもほど関わりがいのある対象は存在しません。上手に間合いを取りながら、少しずつ自立へとお子さんを向かわせてあげてください。最後、少し脱線しましたが、参考にしていただける点があったならうれしいです。

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低~中学年児童期に求められる‟学び”とは?

2021 年 6 月 14 日

 今回は、「児童期前半までの子どもにふさわしい学びとはどういうものか」について、弊社の考えをお伝えしようと思います。弊社の夏期講座への通学を検討いただくきっかけにしていただければ幸いです。

 低学年児童の勉強というと、「同じ漢字を20回ずつ繰り返し書く」とか、「似たような算数の計算問題をひたすら解く」といったような連想をされるかたが多いのではないでしょうか。つまり、覚える、スキルを磨くなど、一人で簡単にやれることで、先々の学習の発展の土台を築く効果をねらった学習です。子どもに取り組ませやすいうえ、相応に身につくものもありますが、残念なことに、勉強好きな子どもにする効果、知的欲求の強い子どもにする効果はあまり期待できません。

 「うちの子は勉強を嫌がって困る」「うちの子は、やる気が足りない」と嘆く保護者がたくさんおられますが、上記のような勉強を無理やり押しつけた結果である可能性は否定できません。つまり、親は意図的ではないものの、子どもの向学心や好奇心を押さえつけているかもしれないのです。 

 これについては、学習塾も気をつけねばなりません。「低学年の勉強はこんなもの」と決めつけ、覚えさせること、単純なスキルをくり返すだけの指導をしていると、子どもの勉強嫌いを加速させてしまう恐れがあるでしょう。あるいは、「黙って先生の話を聞く」ことを子どもに要求し、憶えているか、理解しているかを確かめるだけの授業で満足してしまうと、成果の乏しい指導に埋没してしまいます。こうした指導の下では、従順なよい子のみが「優秀な子」とみなされますし、優秀とされた子どもも向学心の強い人間には成長できないでしょう。

 では、どういう勉強が望ましいのでしょうか。学んだことがより多く記憶に残り、以後の学習に役立つ勉強とはどのようなものなのでしょうか。さらには、勉強に対して能動的な姿勢を育み、子どもが「もっとやりたい!」とやる気をみなぎらせるような学習指導とはどのようなものなのでしょうか。

 ある書物に、老子が「聞いたことは、忘れる。見たことは、覚える。やったことはわかる」と語った、というようなことが紹介されていました。これに基づくと、効果は「やる>見る>聞く」という順序になるようです。聞くだけではすぐに忘れてしまいます。西洋の諺にseeing believing というのがあります。日本の「百聞は一見に如かず」という諺とほぼ同じような意味で、聞いたのよりも自分の目で確かめたほうが記憶に残るということなのでしょう。しかし、これとて「実際にやってみる」ことには勝てないようです。

 上述のような漢字や計算の練習が、「やったこと」にいくらか合致するとすれば、まんざら悪い方法ではないかもしれません。しかし、「やった」というよりも「やらされた」というニュアンスが強いし、単純なスキルのくり返しは思考よりも訓練の要素が強く、同等には扱えないように思います。このことを踏まえたうえで、次の資料をご覧ください。上述の書物に、アメリカの研究者が発表した次のようなデータが紹介されていました。どういう学びが記憶によく残るかを示したものです。

聞いたことは、    10%
見たことは、     15%
聞いて見たときは、  20%
話し合ったときは、  40%
体験したときは、   80%

 このデータをもとに推測すると、「聞く」や「見る」などの受動的な学びよりも、「話し合う」とか「体験する」などの能動性の高い学びのほうがよく記憶されるということなのでしょう。小学生の場合、じっと座っていることを強要すると、学びの対象に集中できない恐れがあります。ですから、体験する学びのほうがはるかに効果を引き出せるのは間違いないでしょう。

 もう一つ。さらにつけ加えておきたい学びがあります。それは「発見すること」です。説明不要かと思いますが、発見の喜びは口では言い表せないほどの喜びを与えてくれます。それがまた、つぎなる学びの原動力になります。よい学びの人生は発見の喜びをたくさん味わった人にもたらされるものなんですね。

 そこで弊社の低学年向けの夏休み講座の話に移ります。弊社の低学年部門の夏休みの講座は、1・2年生が「玉井式国語的算数教室 夏期講座」と、3年生がオリジナル講座の「夏期特別講座」の2本立てとなっています。これらの特徴をごく簡単にご紹介しましょう。先ほどまでお伝えした、効果のある学習と符合する点はあるでしょうか。

 

①1・2年生「玉井式国語的算数教室 夏期講座」 算数 全5日間 

「玉井式国語的算数教室」の最大の特徴は、アニメーションの特性を算数学習に活用していることです。人生経験の浅い子どもにとって、文字や記号を介した学びは理解しにくいし、記憶にも残りにくいものです。アニメーションは、子どものイメージ想起をサポートするのみならず、教室という閉ざされた学びの場の弱点を補い、アニメキャラクターと同化した仮想体験を提供してくれます。

 夏期講座に照らしてご説明してみましょう。1年生は20までの足し算と引き算、2年生はかけ算の2の段~6の段までを学びますが、ただプリント課題に取り組むのではなく、アニメキャラクターがいざなう実際場面で一緒に学ぶ形式となっています。これが子どもを惹きつけます。アニメの物語に入り込み、そして数のもたらす意味を実際的に確かめたうえで問題に取り組みます。映像を見るというと、テレビと同じように受動性に対する懸念が湧いてきますが、子どもたちと同世代のキャラクターが登場する魅力的なストーリーがそうした懸念を吹き飛ばしてくれます。

 もう一つ、玉井式の学習の柱の一つとして人気なのが図形学習です(図形は中学入試での頻出単元で、得点差が生じやすいことで知られます)。アニメーションは図形を瞬時に自在に動かせます。図形を上から見たり、裏側から見たり、展開図を広げたり閉じたりを一瞬にして可能にします。形が動くさまを繰り返し見ることで、図形の性質が自然と脳に浸透します。パっ、パッと図形を違う位置から見ることの繰り返しで、図形の識別能力や空間移動などで求められるセンスが養われます(実際、玉井式出身者は受験勉強で登場する図形単元に強い傾向があります)。

 アニメーションの後は、プリントの問題に取り組みますが、やり終えたら〇つけをして終わるのではなく、発表の場を設けたり、みんなの前で説明したりする場面も設けています。実は、学んだことを最も記憶に残せるのは、「人に説明すること」「人に教えること」だそうで、記憶に残る率はなんと90%なんです。授業の最後には先生の導きでまとめをし、その日に学んだことを確認します。

 

②3年生「夏期特別講座」 算数・国語 全8日間

 3年生は、4年生から始まる中学受験指導へのスムーズな橋渡しを意図し、弊社の培った受験指導のノウハウをもとにした特別講座で学んでいただきます。これは夏の講座だけではないのですが、弊社が低学年期に大切にしたい学習指導の要素として、「確かな学習の習慣をつけること」と「学びにある楽しさを味わう体験をすること」があります。

 親に言われなくても時間が来たら机に向かう。この習慣を今のうちに身につけたら、どんなにか勉強が楽になるでしょう。学びの楽しさに数多く触れ、勉強に対する能動性を身につけたなら、中学受験の勉強のよさや面白さに気づき、熱心に取り組むことでしょう。能動的学びの姿勢は中学入試突破のみならず、以後の人生においてもどれだけ役立つかは想像に難くありませんね。

 学びの習慣づけは、講座への通学のみでは不可能です。そこで弊社では、「サマーワーク」という教材を作成し、夏期講座の通学生に活用していただきます。サマーワークには、いつ学ぶかが明示されていますから、提示されたスケジュールに沿って取り組んでいけば、徐々に習慣づけ効果もあらわれてくるでしょう。なお、講座終了時には、お盆明けから取り組む教材(ぐんぐんワーク)を配布します。これに引き続き取り組めば、学習習慣の定着はもとより、基礎学力の定着にも役立つでしょう。

 3年生の学習においては、教具を多用し、具体的な理解を促すよう配慮した指導を行っています。手を使った作業が多く、これが体に芯が入り始めた子どもたちにとっては楽しいようで、たくさんの笑顔が教室のあちこちで見られる活気のある授業を実現させています。このように言うと、「それは算数だけでしょう?」と言われそうですが、国語においても言葉や漢字のカードを作成するなどの工夫を凝らし、思考と作業をつなぎ合わせた楽しく記憶に残る授業を提供しています。グループごとに競争させたときなど、すごい熱気が立ち込めてきます。そんなときの子どもたちは、ほんとうに生き生きとしており、ぜひご覧いただきたいほどです。

 発問をして反応を引き出したり、発表の場面を設けたりしていること、最後に先生の誘導でまとめをするなどのスタイルは、どの学年も共通です。

 勉強というと、問題に取り組む時間や解きかたの説明を聞く時間を重視する人がおられますが、実は共同作業をしたり、発表や質問をしたり、人に説明したりする時間が学力を伸ばすにあたって大きな作用を果たしています。「あのときに、こういうことがあった」「〇〇君が、こんなユニークな考えかたをしていた」などの物語性が、記憶を強化したり、記憶の引き出しから情報を取り出すためのとっかかりとなってくれるからです。また、他者に説明するには学習事項を自分の頭で咀嚼し、ただ覚えただけよりもはるかに深く理解する必要があります。理解した内容を、さらに人にわかり易い言葉にまとめ直して再生するわけですから、本物の学力として定着するのは当然のことでしょう。

 

 ずいぶん文字量がかさんでしまいましたので、やや尻切れトンボですが、ここまでにします。なお、今年の夏に関してはコロナ禍での講座であり、子ども同士が近距離となるグループ学習の実施は難しい状況にあります。ご了承のほどお願い申し上げます。夏の講座についての詳細は、ぜひパンフレットや資料をお取り寄せのうえご確認ください。

 子どもは、一人ひとり大変な可能性を秘めています。ところが、本人も周囲もそれと気づかないまま才能開花のタイミングを失してしまうことが多いものです。本人も気づいていない隠れた才能。それを顕在化するのは大人の重要な仕事です。今から子どもにしてやれることを考えてみませんか? 弊社の夏の講座への参加を、その一つとしてとらえていただければうれしいです。

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夏休みは、子どもの可能性を見出すチャンス!

2021 年 6 月 7 日

 6月を迎え、まもなく弊社では夏休みの講座の会員募集を開始します。そこで今回は、お子さんの中学受験を検討しておられる保護者に、弊社の夏期講座についての情報をお届けしようと思います。

 中学受験について、興味はあるもののためらっておられる保護者はおられませんか? 保護者自身が経験者であったり、親戚や保護者の友人家庭、近所などに中高一貫校の生徒さんがおられたりすれば別ですが、具体的な情報をおもちでないかたには敷居が高いかもしれません。しかしながら、夏休み期間の講座ならある程度気軽に足を踏み入れることができます。

 というのも、学校への通学と重複する日が少なく、お子さんの負担を心配する必要がありません。たとえば、低学年部門(1~3年生)の夏期講座は夏休みの前半で終了しますし、通学日も多くありません。また、高学年部門(4年生~6年生)のうち、4・5年生は入塾のための試験(会員選抜試験)を受けなくても、定員に達しない限り受講していただくことが可能です。「塾の勉強はどういうものか」「うちの子がなじめるか」など、お試し的な意図で参加されても構いません。

 さて、少し話が変わりますが、おたくのお子さんの勉学面での適性や才能をご存知でしょうか。どんな分野であれ、人間の才能が開花するには偶然の出合いや、周囲の大人のサポートなどのきっかけがあるものです。またそのきっかけは、頭脳や肉体に伸びしろがたっぷりある子ども時代に得られることも重要な条件でしょう。わが子にどんな可能性があるのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

 弊社への通学は、お子さんの学問適性(どんな方面の勉強に才能があるか)を判断するうえでも役立つでしょう。たとえばこんな話があります。ある男の子が、友達に誘われて5年生の夏休みから弊社の教室に通い始めました。それが勉強に目覚めるきっかけとなったのでしょうか。6年生になる頃から頭角を現し始め、入試では最高峰の私学に合格しました。当初は受験など親子共々考えていなかったそうです。特に算数の力の伸びようはすばらしく、理数系のセンスや閃きを生かせる課題に出合ったことや、教科書よりも高いレベルの思考を求められる学習に取り組んだこと、勉学面で刺激の多い環境を得たことが、それまで気づいていなかった理系の才能の顕在化につながったのでしょう。こういう例は少なくありません。

 この夏、弊社の夏期講座にお子さんを通わせてみませんか? お子さんが、学びの世界に本格的に足を踏み入れるきっかけになるかもしれません。学問の才能が開花するには、適切な学びの環境と、よい取り組み姿勢を築くための指導が必要です。弊社は、押しつけ、覚え込み、物量主義、厳しい訓練、といった大人からの一方通行の学習指導をよしとしません。子ども自身が勉強を受け入れ、自らの意志で学んでいく自律性を育てるよう配慮しています。それが子どもたちの将来に大きな意味をもたらすからです。

 では、低学年部門と高学年部門の夏期講座について、簡単にご紹介してみたいと思います。

 低学年部門の夏期講座は‟短期型”です。1・2年生が5日間、3年生が8日間で、全てお盆前に終了します。

 低学年部門の学習指導は、「勉強の楽しさ発見!」をモットーにしています。ただプリント問題に取り組ませるのではなく、毎回の授業テーマを体現する課題を設定し、新たな知識を得ることや、疑問解決に向けて様々に思考を巡らせることの楽しさが味わえるよう配慮しています。

 将来高いレベルの学問領域に到達するには、やらされ勉強ではなく、自ら率先して学ぼうとする姿勢を培うことが求められます。それが学びの自律性や粘り強い学習活動の実践を後押ししてくれるからです。このような流れを築くにあたり、重要な時期が児童期前半の3年間です。就学からの数年間で子どもの能力の基盤が形成されるからです。

 前述のように、夏の講座は短期間ですから、子どもたちが目を輝かせて取り組むような、精選した良質の課題(算数・国語)をご用意しています。もちろん、授業を意図に沿った内容にまとめて成果をあげるにはよい先生が必要です。弊社の指導陣はその点においても、しっかりした人物が担当しています。ぜひ、弊社の夏期講座に参加し、お子さんの反応を確かめてみていただきたいですね。

 4・5年生の夏休み講座は、前半(「夏期講座」)と後半(「夏期集中特訓」)に分かれています。いずれも算・国・理・社の4科目を指導します。前者は、夏休み前までに行われた通常講座を引き継ぎ、単元割に沿って学習していきます。いずれの学年も全14日間(7/24~8/12)の日程でお盆前に終了します。後者は全6日間(8/18~8/24)の短期型です。演習形式で実戦的な学力の獲得をめざします。

 「夏期講座」と「夏期集中特訓」はセットでの参加を基本としますが、「進学塾の指導を、まずは体験してみたい」というお試し的な参加を希望される場合、夏休み前半に実施する「夏期講座」のみの参加も可能です。前述のように、「夏期講座」は通常講座の流れを引き継いでいますので、弊社の学習指導がどういうものかをよくご理解いただけるでしょう。「夏期講座」も「夏期集中特訓」も、申し込まれたかた全員に参加いただけます。また、4年生はどの校舎にも午前部と午後部が設定されており、どちらをお選びいただいても構いません(注:呉校と五日市校は若干スクーリングの形態が異なっており、午前通学のみ、午後通学のみの期間があります)。

 なお、初めて通うお子さんの保護者のなかには、「勉強について行けるだろうか」と心配されるかたもおありでしょう。それについては、学校の勉強に楽しく取り組んでおられるお子さんなら心配無用です。4・5年生の段階においては、教科の基礎基本の習得を基調とした学習がメインです。学習の内容に興味をもち、「授業+家庭学習」の反復を丁寧に繰り返せばだいじょうぶです。ただし、学校よりも進度が早い算数については、少し気合を入れて学ぶ必要があるかもしれません。4年生は授業後に家庭で取り組む復習、5年生は授業前の予習と授業後の復習にしっかりと取り組んでいただきたいですね。なお、予習は難しいものではありませんからご安心ください。

 勉強のコツや要領が飲み込めてくると、みるみる子どもの取り組みは洗練されていきます。この流れを築くうえで夏休みは大変有効な時期だと言えるでしょう。理由は前述のように、学校とのダブルスクールによる負担が少なく、受験勉強に的を絞って取り組めるからです。今からお子さんが受験勉強を始める場合、この夏休みというタイミングを生かすことを大いにお勧めしたいですね。

 

 なかには、6年生の夏から弊社への通学を検討くださっているご家庭もおありかと思います。受験までに残された期間はおよそ半年です。したがって夏休みからの受験対策は質量ともにレベルアップしたものになっていきます。そこで、新規の入会希望者には算数と国語の試験を実施し、一定の基準を満たしておられるかどうかを確認のうえ、入会手続きをしていただきます(入会のご希望に添えない場合もありますのでご了承ください)。

 

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 最後に、受験勉強をこれから開始されるお子さんの保護者にお伝えしておきたいことがあります。受験生とは言ってもまだ小学生の子どもですから、大人の期待するような取り組みができるようになるには手間も時間もかかります。大人が性急に成果を求めて無理な勉強を子どもに課してしまうと、子どもは学びの自律性を失い、受け身の勉強を染みつかせたり、勉強嫌いになったりする恐れがあります。そうなると、子どもの将来を見通して始めたはずの受験勉強が意味をもたないものになってしまいます。それどころか、本末転倒の事態を招きかねません。焦らず、辛抱強くお子さんの成長を見守りサポートしてあげてください。そうすれば、必ずよい方向へと向かい始めます。

 まずは計画に沿った学習を習慣づける、授業の受けかたや家庭での勉強の進めかたを学ぶ、基礎内容の勉強にしっかりと取り組むことが肝要です。これらが軌道に乗ったなら、やがて子どもは厳しい勉強を自らに課すほどの立派な受験生に成長していきます。やるべきことをやらずにはいられなくなるんですね。こうなれば、もはや受験は成功したようなものであり、さらには将来への展望も開けてくることでしょう。このような学びの姿勢こそが、先々の高度な学問をやりこなすうえでの原動力になるのですから。

 「中学受験生時代は楽しかった」「あの頃の勉強が、今も役立っている!」そんな感想が残るような受験生活を送ったなら、本人が感じた手応え以上の成果が必ずもたらされていることでしょう。それが人間形成途上にある小学生の受験のすばらしいところです。そのことをご理解いただいたうえで、ぜひお子さんを弊社の教室に通わせていただきたいですね。どうぞよろしくお願いいたします。

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厳しいしつけで子どもは伸び伸び育つ!?

2021 年 5 月 31 日

 今日は5月末日です。かつては6月になるとすぐさま夏期講座の募集を開始していましたが、中学受験ブームが落ち着いている近年は、募集に向けた動きの立ち上がりも若干遅くなっており、今年の申込受付開始は6月14日頃になる予定です。夏期講座に関しては、次回お伝えするつもりです。

 今回は、久しぶりに幼児~低学年児童をおもちの保護者に向けた内容の記事を書いてみようと思います。「厳しいしつけでわが子を育てたほうがよいのか、それとも優しく子どもを育てたほうがよいのか」と、逡巡しながら今日まで子育てをされてきたかたはありませんか? 専門家の文献にあたってみると、どうやら厳しいか優しいかがしつけの良し悪しの判断基準ではなく、それとは別の観点に良し悪しを決定づけるポイントがあるようです。今回のタイトルは、「厳しく育てると、伸び伸びとした性格の子どもに育たないのではないか」と危惧しておられる保護者に、「そんなことはありません」というメッセージをお届けするつもりでつけたものです。「初見で「このタイトルは変!」と思われたかたもおありかもしれませんね。

 親のしつけが厳しいと、「自己抑制が効いた(効き過ぎた)子どもに育ち、伸び伸びとした明るいイメージの人間に育たないのではないか」と危惧されるおかあさんがおられるようです。「厳しい」は「口うるさい」「委縮させる」「多くの制限を課す」などという連想をされがちだからでしょう。しかしながら、そう単純なものではないようです。

 二人のお母さん(一応AとBにしておきましょう)がいて、どちらもきびしくしつけているのですが、Aのお母さんの子はいつもおずおずしていて、すぐ人の顔色をうかがったり、暗い印象を与えたりするのに、いま一方のBのお母さんの子は子どもらしくのびのびと明るい場合があります。どちらのお母さんも同じようにきびしくみえるのに、どうして子どもに大きなちがいがあるのでしょうか。

 上記は、発達心理学者の岡本夏生先生(1926‐2009)の著書からの引用です。まずは、みなさんで理由はどういうことかを考えてみてください。つぎのなかから、選ぶとしたらどれが正解に近いでしょうか。

① 子どもが生まれつき楽天的で、叱られてもすぐ立ち直る性格だったから。
② 親が子どもに厳しく接したときは、あとで子どもに好きなことをやらせていたから。
③ 子どもが親の愛情を感じ取り、確かな信頼関係が築かれていたから。

 おそらく、何のヒントもない状態で理由を考えると、かなり難しい質問かもしれません。しかしながら、選択肢で示されると多くのかたが「まあ、これだろうな」と想像がついたのではないでしょうか。では、上記引用文の続きを読んでみてください、正解がどれかすぐにおわかりになるでしょう。

 その原因はいろいろのことが重なり合っていて、なかなかこれときめるのはむつかしいと思うのですが、その一つに、Aのお母さんの場合、子どもはしかられる時、いつも「お前は悪い子だ」ときめつけられたと受けとっているのではないでしょうか。自分の好きなお母さんから、お前は悪い子だ、だめな人間だときめつけられることほど、子どもを不安にかりたてることはないのです。おそらく自分の存在を最も深い所でおびやかされることになるのでしょう。時にはそれがお母さんの愛情をうたがうことにもなりかねません。お母さんの方は一所けんめい子どものことを考えていることには変わりないとしても。

 それにくらべて、Bの方の子どもは、お母さんの愛情を信じていて、お母さんは自分をいつでも愛してくれている、そして、自分の行動がまちがっている時は、すぐ教えてくれるのだ、という信頼感があり、それが子どもをのびのびと思いきって行動できるようにしているのでしょう。その受けとり方のちがいの出てくるところはなかなか複雑で、おかあさんの態度のちがいにだけ帰することはできませんが、ここでは、しつけはあくまで行為の善悪を教えるのが中心であって、人の善悪を教えることではないことを強調しておきたいのです。

 言うまでもなく、正解はですね。あとの引用文からもわかりますが、大人から精神的に自立する前の子どもは、親の愛情を感じることで安心し、「自分のふるまいはよいことか、悪いことか」を考える心のゆとりをもつことができます。ところが、親はそういうつもりは全くなくても、子どもの人格を傷つけるような言いかたで叱っていることがあるやもしれません。しかも、そのことの危険性に気づかず、繰り返し同じような接しかたをしていたなら、子どもの心にどういう影響を及ぼすでしょうか。「自分はダメな子」→「自分はダメな子だから、こうやるしかない」など、子どもの行動に負の連鎖をもたらしかねません。

 岡本先生は、上記引用文の直後で体罰について何行か言及しておられます。幼児に対する体罰で懸念されるのは、子どもの行為の善悪を教える効果よりも、体罰を課す大人に対する恐れや憎しみの感情を子どもに植えつけてしまいかねないことだといったようなことを述べておられました。親から受けたむごい体罰は、子どもに限りない恐怖の念、孤独感、悲しみをもたらします。こういうことが続くと、やがて子どもは将来自分に待ち受けている様々な可能性の芽を自ら摘み取ってしまう、自暴自棄な行動に及ぶ恐れが多分にあるのではないでしょうか。 

 TVや新聞誌面に目を遣ると、相変わらず「しつけのためにやった」と自己弁護する親の、目や耳を覆いたくなるような残酷な体罰や虐待行為が報じられています。刑から逃れるための言い逃れかもしれませんが、これほどしつけという言葉が嘘寒く虚しく響くことはありません。

 ともあれ、子どもが善悪の判断を正常にもちあわせ、伸び伸びと生きていける人間へと育つには、親のしつけはなくてはならないものです。そこに欠かせないのは、行動の善悪に言及する姿勢であり、それと同じくらいたっぷりな愛情の注入に他なりません。それがあれば、厳しめのしつけだって何の問題もないのですね。

 わが子の望ましくない振る舞いや行為に対して、必要なときは容赦なく強く叱ってよいのです。その一方で、筋の通った態度を貫き、わが子への愛情をしっかりと伝えてやりましょう。きっとお子さんは、親の期待に違わぬ、立派な人間へと成長されることでしょう。勉学への取り組みにもよい影響をもたらすに相違ありません。

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がんばりが利かなくなった子どものメンタル

2021 年 5 月 24 日

 新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、緊急事態宣言下にある広島県ですが、外出の自粛や飲食店の営業制限などの対策も、今のところ感染の勢いを止めるまでには至っていません。いつまで我慢を強いられるのか、見通しの立たない不安な毎日が続いていますが、多くの人命、社会の維持に関わる問題ですので、他の何にもまして安全確保を優先する必要があります。安心して暮らせる環境を取り戻すべく、辛抱強くがんばってまいりましょう。

 さて、前期の講座が開講して約3ヶ月が経過しましたが、お子さんは開講時と変わらず意欲をもって勉強に取り組んでおられるでしょうか。受験勉強を始めて何か月か経つと、受験生の様子が大ざっぱに二つに分かれる傾向があります。一つは、受験態勢が整って勉強が軌道に乗り、快調に学力を伸ばしていく子どもたちです。そのいっぽう、勉強に精彩を欠き始めるお子さんも一部見られるようになります。親にとって、わが子がやる気に満ち、目を輝かせて勉強に取り組む姿を見ることが何よりうれしいものです。後者のような兆候のあるお子さんには、なんとか元気いっぱいの取り組みを取り戻していただきたいものですね。

 そこで今回は、勉強に向かう活力が減退傾向にあるお子さんについての話題です。こういうお子さんを、闇雲に励ましたり、檄を飛ばしたり、叱ったりしても、大概は効果がありません。どうして勉強に活気がなくなってきたのか、その理由をしっかりと理解したうえで対処する必要があります。では、その理由とは何でしょうか。たとえば、次のようなことが考えられます。

勉強の活力が減退していく受験生の心理

1.少々勉強しても成績が伸びない。自分には才能がないのでは
  ないか。
2.不得意科目の勉強が辛い。やりたくない。
3.親はいつもボクを(わたしを)不満の目で見ているに違いない。
4.他の子はゲームなどを楽しんでいるのに、自分は勉強ばかり。

 

 1について 同じ塾の仲間同士、仲よく勉強をしていても、内心では「友だちに負けたくない」「みんなにおいて行かれてはいけない」という思いがあるものです。しかしながら、全体が受験をめざすメンバーで構成されている集団ですから、がんばったつもりでも、みんなも同じように努力しています。当然、期待ほどには成績は伸びてくれません。そういう状況が続くと、誰でも少しばかり壁を感じたり、無力感に襲われたりするものです。

 2について また、中学受験をめざしている子どものメンタルは、小学生といえどもただ励まされれば嬉しく、やる気が高まるといった単純なものではありません。見た目以上に内面の大人化が進んでいます。何しろ、受験勉強で様々な仲間との交流があり、様々な知識を毎日取り込んでいるのですから。当然、自分に能力があるのかどうかについて思いを馳せるようになります。がんばっても成果が得られない状況が続くと、やっても効果が出ない無力感に苛まれ、不得意科目から逃げ出したくなる子どもも出てきます。

 3と4について 勉強の行き詰まりを感じ、内面の不安に揺れ始めると、勉強への意欲をスポイルする他の要素も頭をもたげてくる恐れがあります。たとえば、「おとうさんおかあさんは、どうせボクを駄目な奴だと思っているんだろう」などのように、保護者に向けたネガティブな心理が湧いてくるかもしれません。あるいは、「なんで学校の友達は遊びたいだけ遊んでいるのに、自分だけ勉強しなきゃいけないの?」という疑念や不満の気持ちを抱き始めることもあるでしょう。

 1~4はそれぞれに連動して子どものメンタルを形成しています。保護者に求められるのは、一見無自覚でやる気が足りないかのように見える子どもでも、それぞれ受験勉強にまつわるプレッシャーや悩みを抱えており、内面の葛藤があるのだということへの理解ではないでしょうか。そのうえで、「どうわが子に接すれば勉強の活気が取り戻せるか」を考えていただきたいですね。思いつきで突然に「もっとがんばれ!」と活を入れたり、「がんばって、結果を出したらほめてやろう」と、何もせず様子を見守ったりするだけでは、子どもの奮起や実行力の向上は望めません。

 しかしながら、そのいっぽうで、揺れている子どものメンタルを支え、元気を取り戻させることができるのは親を置いてほかにありません。どうしたら、子どもの勉強に向かう意欲を取り戻せるでしょうか。筆者が思いついたことをいくつかここでご紹介してみようと思います。

 小学生は、まだ親の影響力が強い年齢期です。子どものやる気や自信を取り戻すには、親が子どものよい点を指摘してほめることが肝要です。ですが、勉強面だけだとほめるチャンスは限られます。また、親が上から評価する姿勢だと、子どもは反発してしまいます。

 子どもの生活全体を注意して見守り、よい点をいっぱい指摘してほめてやりましょう。評価者としてではなく、親の感想として伝えるのです。ポジティブな感想を絶えず親からもらえると子どもは安心できます。おのずと、勉強に向かう気持ちも取り戻していくものです。

 見た目の成績は上がっていなくても、子どもは毎日勉強を通して様々な知識を身につけています。それはすごいことであり、特別なことに他なりません。1ヶ月のスパンでみたなら、大変な進歩を遂げています。そのことを踏まえ、わが子が受験勉強に取り組んでいること自体が、親にとって大きな喜びであることを伝えてやりましょう。

 受験勉強の内容は、合格のための知識のかけらなどではありません。ずっと先の将来まで活用できる知識です。今学んでいることは、決して受験の結果しだいで無為に終わるものではないことを語って聞かせてやりましょう。

 今の勉強に足りないものは何か、何が問題なのかについて、親から語って聞かせるよりも、子ども現状を自身で現状を振り返ったり、解決法を考えたりするよう促すほうが効果的です。そのための受験パートナーとして振る舞ってみてはいかがでしょうか。

 自分の考えを他者に伝える過程で、子どもは様々な気づきや発見をするものです。そういう体験は、学校でも塾でもそうたくさんはできません。毎日生活を共にする親だからこそできるサポートです。自分の考えをまとめる経験をくり返すと、子どもは自分がどうすべきかを必ず悟ります。

 学習状況の思わしくない子どもを変えようと、性急に行動してもかえって逆効果を招くだけです。まどろっこしいようですが、子どもが勉強に打ち込めない理由をまずは理解し、子どもの気持ちを立て直すことを優先しましょう。そのほうが、結局は回り道ではなく近道になります。というのも、受験勉強の主役である子どもが自分でどうすべきかを考えて行動できるようになることこそ、本物の学力の獲得につながるし、上達に向けたいちばんの方法に他ならないからです。

 受験は、何よりも大切なわが子の将来のためにあります。お子さんの気持ちの立て直しを、焦らずにサポートしてあげてください。

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