2017 年 9 月 4 日 のアーカイブ

子どもの奮起を促すフォローを!

2017 年 9 月 4 日 月曜日

 後期の講座が始まり、いつも通りの「塾の授業+家庭学習+マナビーテスト」のサイクルによる学習生活が始まりました。

 子どもの勉強の様子を見ていると、秋は最も勉強に身が入り、成果が目に見えて出てくる季節です。今から暑苦しさが徐々に弱まり、しのぎやすくなってきます。それから何をするにも最適の気候が続き、やがて肌寒さを感じる晩秋に至るまでの期間は、およそ3~4カ月ほど。これだけ勉強にふさわしいコンディションが続くわけですから、大いに学力の飛躍を実現したいところですね。

 ただし、心身ともに未完成な小学生と、大人に近づきつつある中学・高校生とでは、受験に臨む意識や取り組みに大きな隔たりがあります。年齢ゆえ、当然のことながら体力や集中力も未発達です。ですから、子どもを見守る親の大半はもどかしい思いや苛立ちを余儀なくさせられることになります。

 このような心もとない状態から、少しずつの進歩や変化を引き出し、いかにして子どもの成長にダメージを及ぼさないで合格に漕ぎつけるか。それが、大人に求められる視点であり、そこが中学受験の成否を分けるポイントだと言えるでしょう。

 もう少し具体的に言えば、子ども自身の勉強に向かう主体性を尊重しつつ、受験勉強のメニューや時間、取り組みかたに問題が生じないよう側面から適切に配慮することが、私たち大人に課せられた大きな使命だと思います。しかしながら、みなさんご存知のように、何が適切か不適切かの判断は子どもたち個々によって少しずつ違いますし、その判断は大人にとっても難しいものです。さらには、親にとってわが子のことだからこそこみあげてくる感情をコントロールしなければならないという問題があります。

 この親の関わりかたの難しさを感じるのは、何も受験勉強だけではありません。親がわが子に何か取り組ませるとき、どうしても冷静さを欠いてしまったり、感情が先走って子どもの進歩にとって逆効果を招くような言動に及んだりしがちです。

 あるとき、テニスの雑誌(テニスは筆者の趣味のひとつです)を読んでいるとき、気になる著述がありました。それは、ジュニア育成で有名なテニススクールのコーチが書いておられたものです。私の目に留まったのは、「子どもがかわいそうになるとき」というタイトルで書かれたコラム記事でした。内容は、テニススクールにわが子を通わせている保護者の言動で、「これでは子どもがかわいそうだ」と思わざるをえないことがらについて書かれたものでした。ちょっとご紹介してみましょう(一部割愛しています)。

① 子どもをもっと褒めてほしい(怒る親が多すぎる)
② 試合内容を勝敗だけで、感情論的に評価しないでほしい。
③ 勝ったら褒めて、負けたら怒るはNG。特に低年齢には勝敗よりも楽し
  かったか、日頃のプレーができたかを聞いてほしい。

④ 家族内で意見が食い違い過ぎて、結果子どもが犠牲になっている。
⑤ 試合後のネガティブなダメ出し。
⑥ 試合に負けるとすぐに「テニスをやめさせる」とか言う。
⑦ 負けた試合の帰り、車中が地獄(後日、子ども談)
⑧ 子どもに、お金がないとしょっちゅう言っている。
⑨ 親に信念がないせいか、スクールを転々とし、子どもはその度に違うこ
  とを言われ、混乱してしまい、一番の犠牲者になっている。

⑩ 親がテニスのアドバイスをして、それを実行しないと試合後メチャク
  チャ怒られる。

 どうでしょう。シチュエーションをテニス教室から弊社のような進学塾での勉強に置き換えても、当てはまることがたくさんあるように思います。テニス教室であれ、学習塾であれ、わが子に対する愛情や期待があるからこそ、通わせているのは間違いありません。ですが、親の思惑通りに上達しないとき、どうしてこんなふうに支配的に感情的に振る舞ってしまうのでしょうね。

 ①~③について。子どもの奮起を引き出す最も有効な方法は、子どもの努力を見逃さずにほめることです。結果にかかわらず親にほめてもらえることは、子どもにとってこの上なく幸せなことであり、がんばりのエネルギーとなります。しかるに、「①どんなにがんばっても親がほめてくれない」、「②③一生懸命やっていたのに、成績が悪いと親に感情剥き出しで怒られる」といったように、結果第一主義で子どもに接し、結果が伴わないと感情に任せて叱ったしまう保護者が相当数おられるようです。

 ④について。例えば、取り組みに関する考えかたが夫婦それぞれに違い、足並みがそろっていないと、子どもはどうしてよいかわからなくなりがちです。テニスではプレーが混乱しますし、受験勉強においても、どう取り組んでよいか子どもはまごつきます。

 ⑤~⑦について。子どもをけなしたり、揺さぶったりしてがんばらせようという意図でしょうが、「わが子のふがいなさに対する怒り」が強過ぎるのが気になります。子どものやる気をスポイルしてしまうだけでなく、親への反感や不信の気持ちをもたせてしまうのではないでしょうか。そうなると、テニスをやらせたことも受験をめざすよう促したことも、無意味になってしまいます。

 ⑧について。弊社の会員児童に「親に言われて嫌に思うことは何か」についてアンケートを取ったとき、「塾にお金がかかっていると言われること」というのが結構あったことを思い出します。「こんな成績じゃ、お金がもったいないから塾なんてやめなさい」と言われたお子さんもいるようです。無論、親としてはつい子どもの現状に業を煮やして出た言葉なのでしょうが、お金のことをもちだされてやる気が高まる子どもはいませんし、むしろ親への尊敬の気持ちが台無しになるおそれがあります。

 ⑨⑩について。どちらも、指導担当者を信用せず、親が口を出している点が気になります。⑨については、成果が得られない根本の原因を把握することが先決でしょう。⑩については、「親の言うとおりにしなければ叱られる」という状況では、アドバイスが適切であるかどうか以前に、子どもは実力発揮どころではなくなってしまいます。

 思い通りにならないわが子を見ると、親はなぜか感情の勝った対応をしてしまいます。溢れるほどの愛情や期待があるからこそ、わが子の現実を受け入れられなくなってしまうのでしょう。筆者は、保護者にお話しする機会があると、「受験の見守りと応援は、親にとっては我慢と、忍耐と、辛抱の連続です。最後までわが子への期待をあきらめずに愛情深くサポートしてあげてください。それが子どもの心をいつか奮い立たせるときがやってきます。そのときが来るのを信じましょう。決して親が先にあきらめてはいけません」と申し上げています。

 どんな状況でも自分を信じ、最後まで応援してくれる存在。子どもにとって、それは親や家族しかありません。思い通りにならないときは、一緒に悔しがり、「どうしてうまくいかなかったのかな?」と優しく問いかけてやりましょう。そんな親の姿勢が子どもを動かさないはずがありません。きっとお子さんは、「親の期待通りの人間になりたい」と心から思い、やる気を少しずつ行動に転化させていくことでしょう。


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