2012 年 2 月 のアーカイブ

弊社会員の主要中学校への進学状況

2012 年 2 月 27 日 月曜日

 中学入試が終わり、弊社会員受験生の進路もほぼ決定した模様です。広島では私立学校同士の入試日程が重なることはほとんどなく、たいていの受験生はいくつかの中学校を受験しています。このところ、修道と県立広島中の入試日が重なっていますが、東広島市や広島市東部の男子受験生は、どちらを受けるかで悩んだ家庭もあったようでした。

 さて、受験の状況を概観してみましょう。ざっと調べてみたところ、一番多いのは4校受験で、次いで多いのが3校受験でした。例外としては、国立の1校だけというお子さんもいました。多い例では7校受験というのもあります。

 弊社では遠征受験はお勧めしておらず、家庭の事情のあるケースを除き、ほとんどが広島県内の中学校を受験しています。

 複数の中学校に合格する受験生がたくさんいます。受けた学校全部に合格という受験生も結構います。その場合、「どの学校に進学するか」がまた悩ましい問題となります。これから受験をされる方々にとっても、進路選択の状況を知りたいという気持ちをもっておられることでしょう。そこで、今回はそれをお伝えしようと思います。

 弊社は、「受験校の選択は、ご家庭が判断されるべきことだ」という考えから、どの中学校を受験するか、どの中学校に進学するかについては一切関知していません(無論、相談には応じています)。ですから、弊社会員の進路の選択状況は、次の受験生家庭の参考になると思います。

 今日現在で、ほぼ全ての会員家庭から進学先の報告をいただいていますので、それをもとに資料を作成してみました。

 上記以外の進学先では、県立広島中9名、安佐北中1名、広島大学附属東雲中5名、崇徳中2名、比治山女子中1名、山陽女学園中2名、呉青山中2名、AICJ中1名、高水高校附設中1名、立命館中1名などがあります。

 弊社は広島の私立6カ年一貫校、特に伝統や実績面で評価の高い、広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院の4校をメインターゲットとした指導を行っています。これら4校を合計した定員860名に対し、今年は291名の進学者を送り出すことができました。占有率にして33.7%であり、ちょうどこれらの中学校の入学者の3名に1人は弊社の出身者ということになります。まずまずよい結果を残せたのではないかと思っています。

 合格した受験生の歩留まりが高いのは、資料でもおわかりいただけるように、最難関とされる広島学院と清心です。これらの学校に受かりながら他の中学校を進学先に選ぶ受験生も毎年一定数います。今年の場合、広島学院については広島大学附属と修道のいずれかでした。清心については、広島大学附属、県立広島、広島女学院のいずれかでした。

 進路選択の様子を見ると、またご家庭からのお話を伺うと、ただ偏差値の順位で進路を決めるのではなく、家庭の方針や、学校のカラー、親の出身校であること、お子さんの意向なども決定の要因になっているようです。

 女子の場合、国立の伝統校で共学である広島大学附属に合格した場合、かなり高い確率で進路に選択されています。男子の場合、広島学院や修道に魅力を感じる家庭も多く、女子とは傾向が異なっています。広島大学附属の合格発表数を見ると、圧倒的に女子が少ないのですが、これは女子の歩留まりが高いことを踏まえて合格者数を決めておられるからでしょう。これは毎年のことです。

 安田女子中への合格者、進学者が例年と比べて少なかったのは、広島女学院の合格発表後に入試が行われたために受験辞退者が相当数いたこと、受験者の総数も例年より少なく、清心や広島女学院で止まった受験生が多かったことが原因であろうと思います。

 来年も、一人でも多くの受験生の夢が実現するようがんばってまいります。よろしくお願いいたします。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

自分に自信をもてない日本の子どもたち

2012 年 2 月 20 日 月曜日

 自分に自信があると、行動も積極的になり、うまくいくことが多いものです。また、自信をもつことが心豊かな生活にもつながります。ですから、親は「わが子には、自分に対する自信をもった人間に成長してほしい」と思います。

ところが、日本の子どもは自分に対する評価が他国の子どもと比べて低いという国際比較調査の結果が出ています。自らに自信がもてない子どもは、今述べたのとは反対に、何ごとにも消極的になりがちであり、社会に出てよい仕事をする人間にはなれません。

少し自信が足りないといった程度なら、「日本は謙譲の美徳を重んじる国だから、子どもも控えめに答えるのだろう」と、笑ってすまされるのでしょう。しかしながら、次の資料を見るとそれではすまされないように思えてきます。

 

小学生の自己評価  「とても当てはまる」と解答した者の割合

 

東京

ソウル

北京

ミルウォーキー

オークランド

サンパウロ

勉強のできる子

8.4

8.6

14.0

43.5

27.6

37.4

友だちから人気のある子

9.8

11.2

31.6

35.4

28.9

32.0

正直な子

12.0

27.4

39.3

49.8

47.6

54.4

親切な子

12.3

26.4

41.0

59.1

46.6

50.6

よく働く子

14.3

31.7

39.8

67.1

38.3

48.5

勇気のある子

19.0

28.0

37.5

57.8

39.6

48.3

平均

12.6

22.2

33.9

52.2

38.1

45.2

※各国約3002000人の小学5年生を対象に調査。H7ベネッセ教育研究所による。

 

 この資料は新しいものではありません。しかし、最近行われているPISAなどの国際学力比較調査で、日本の子どもの学習意欲の低いことが問題視されています。このことと自分に対する自信のなさとは無関係ではないでしょう。したがって、状況は好転していないと推測されます。

このブログは学習塾から発信しています。そこで、保護者の方々の関心事の一つである、「勉強」に関わる項目に着目してみましょう。何と、「勉強ができる子」と答えた子どもの割合が一番低いのは東京で、わずか8.4%でした。この質問ではアジアが全体的に低いのが特徴です。東アジアの都市域は、世界的にも受験圧力の強い地域であり、それが「自分は勉強ができる」という意識を失わせているのではないか、という専門家の指摘がありました。

 他の項目もおしなべて、日本の子どもの数値が低いのが気になります。生活に困窮する経験もなく、親の庇護のもとで何不自由なく暮らしているというのに、なぜ日本の子どもは自分に自信がもてないのでしょうか。

 ある教育学者は、このことと因果関係があるのではないかという見方から、次のような資料を提示しておられます。

 

子どもの成長についての満足度   「満足」と答えた人の割合(%)

 

日本

韓国

タイ

アメリカ

イギリス

スウェーデン

0~3歳

68.7

78.7

68.5

93.1

92.7

94.4

4~6歳

53.7

61.1

67.0

88.5

89.1

89.2

7~9歳

47.3

57.8

69.4

82.8

78.1

84.6

1012

36.3

52.9

74.1

84.5

83.3

82.7

※いずれの国も、約1000名の母親を対象に調査。H5文部省調査。

 

 これは、「子どもの成長に満足していますか」という質問への回答結果をまとめたものです。選択肢は、「満足」「やや満足」「不満」の三つで、表中の数字は、「満足」と答えた人の割合を示します。

 日本のおかあさんは、わが子が赤ん坊の段階で、すでに7割弱しかわが子の成長に「満足」しておられません。なぜわが国ではこうした傾向が見られるのでしょうか。これをご覧になったおかあさんには、ぜひこのような結果が出た原因について、考えてみていただきたいと思います。

  次に、子どもが小学校高学年になったときの数値を比べてみましょう。日本のおかあさんは36%あまりしか「満足」と思っていないようです。これは他国と比べて図抜けて低い数値です。欧米諸国との差は50%近くもあります。こうした現実について、前述の学者の見解をご紹介しましょう。

 本来なら、子どもが大きくなるにしたがって「うちの子はしっかりしてきたな」となって満足感が回復してくるべきだと思うが、日本は逆に満足度は下がってしまう。日本の親はどうも子どもへの期待が高すぎるのか、期待の方向が子どもの実際の成長の方向と少しずれているのだろうか。いずれにせよ、親が自分の子どもに満足していないことは態度となって、どうしても子どもの前に出てくる。そういう子どもへの感情は、親子の信頼関係をつくりにくくしてしまうのではないか。

  この指摘は、これからお子さんの中学受験生活に入るご家庭にとって大いに参考になると思います。親が胸に留めるべきは、こういうことではないでしょうか。

 わが子への期待は大いに伝えるべきである。しかし、期待が過度なものだと、子どもに自信を失わせるおそれがある。わが子に対しては、適度な期待を継続的に伝えてやることが必要である。

  子どもに対して絶対的な立場にある親の対応は、子どもの人格形成に大きな影響を及ぼします。親の期待を差し出すことは重要ですが、期待通りにならないときの対応も同じくらい重要です。がんばりの足りないわが子に不満を示すだけでは、子どもをがんばらせることにはなりません。子どもを励まし、粘り強く見守り、そして子どもの成長を待ってやる余裕をもちたいものです。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

今年度の中学入試結果について

2012 年 2 月 13 日 月曜日

 先週いっぱいまで、僅かではありますが補欠の繰り上げ合格の報告がありました。これは、県立広島中と附属福山中の発表後の入学手続き状況に合わせて若干の動きが生じ、それに伴う補充が一部の中学校であったからではないかと思われます。

 弊社の今年の入試は、久しぶりに男女ともバランスのよい結果を得ることができました。合格者数については、当ホームページにて御確認いただくようお願いいたします。

昨年12月4日に実施した弊社の模擬試験最終回(第5回)には、弊社会員を含めて男女とも600名以上の6年生の参加がありました。その結果を見ると、弊社会員受験生は男子の学力上位層が比較的厚く、男子の私学最難関広島学院の数は、かなり上がるものと予想していました。一方、女子のほうは例年より苦戦するのではないかと心配していました。

結果ですが、男子は期待通りの実力を発揮し、女子のほうは「心配ご無用」とばかりに素晴らしい結果を残してくれました。女子受験生のみなさんの奮闘には、ほんとうに頭の下がる思いです。余計な心配をしてしまったものです。

 これはあくまで内輪の話ですが、今年の入試結果で私たち関係者が一様に喜んだことがあります。それは、全ての校舎がその抱える受験者数に応じて、よい結果を残せたということです。しかも、男女のアンバランスも余りありませんでした。

弊社は、「全校均質の指導」を謳い、特定の校舎に力を入れるようなことは一切していません。お預かりしたお子さんを全て平等に扱い、それぞれの志望校合格の夢が叶うよう指導しています。しかしながら、入試はそうそう期待通りには終わってくれません。大概は、うまく結果を残せた校舎もある代わりに、担当者が肩を落とすような結果に終わってしまう校舎が出てしまいます。ですから、この数も誤解のもとになりますから公表していません。

 また、受験生個々についてみると、どの校舎にもあっと驚くような好結果を残すお子さんがいる一方、実力から見て信じられない残念な結果に終わってしまうお子さんがいます。入試は水物と言われますが、思わぬ失敗をしてしまったお子さんの心中を察すると、言葉も出ないほどです。今年もそれについては例外ではありませんでした。

 今年の入試日程や入試制度には変更らしい変更はありませんでした。受験者数については、修道が1024名、広島女学院が875名と、若干数を減らしていることから、全体的に去年よりも受験者総数は減少しているものと思われます。ご承知のように、この両校は広島で最もポピュラーな人気私学であり、両校の受験者数の1.2倍くらいが広島の受験者総数と見ても差し支えありません。この数は、少子化がすっかり定着しているという要因だけでなく、留まることのない構造的不況も多分に影響していると思います。

 しかしながら、「私立の一貫校でわが子を学ばせたい」という考えをおもちの家庭にとって、入試の関門が広くなっていることは歓迎すべきことです。無理のない受験対策で、十分に志望校合格が得られる状況になりつつあるのですから。

 入試終了後によく受ける質問があります。つい2~3日前もありました。それは、「いったい何人受けてこの合格者数なんですか?」という質問です。どのぐらいの確率で通している塾かを聞き、それによって塾の実力を計ろうというお気持ちなのでしょう。

 塾としては、よい率を言いたくなります。そこで、たとえば広島学院を受けた男子児童が何人いるかを調べ、合格者数から比率を出すことはできるでしょう。しかし、これでは正鵠を射た返事とは言えないように思えます。なぜなら、誰しも最難関の中学校に受かるものなら受かりたいと思っていたはずです。しかしながら、塾での成績状況から断念するお子さんも相当数います。そのことを考えると、受けた数÷合格者という算出方法は適切でないように思います。

 それよりも私たちが気にかけていることは、「どれぐらいのお子さんが、志望する中学校に入学できたか」ということです。毎年、各中学校の入学者数と、そのなかに弊社の会員が何名含まれているかを調べています。これでわかる占有率こそが、ほんとうの塾の実力指数だと考えるからです。昨年、清心の入学者の4割弱は弊社会員でした。そのことに価値を見出しているのです。

 弊社では、各ご家庭が受けたい中学校をお受けになり、志望する中学校に進学されるのを今後とも応援してまいります。

毎年3月に前期募集最後のチラシを折り込みますが、その際には受験指導に対する私たちの考えをお伝えしています。そして、弊社からの進学者数を明示しています。この時点では、まだ各中学校の入学者数は判明しておりませんので、定員を参考までに資料として載せています。

 このチラシは3月4日(日)に折り込みます。そこでの数字を見て、今年の結果を評価・判断していただければと思います。

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カテゴリー: 中学受験, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

家庭学習研究社で学ぶことの意義 ~その2~

2012 年 2 月 9 日 木曜日

 前回は、弊社に通って学ぶことの意義について書こうとしたのですが、前置きが長くなり、肝心のことが書けないまま終わってしまいました。そこで、今回はいよいよ本題に入ろうと思います。

 とは言え、前回の流れでおおよそおわかりかも知れませんね。弊社の教室に通って受験することの意義。それは、「中・高一貫校進学後に要請される、学習の姿勢や手だてを身につけることができる」ということです。

 もう少し細かいことまでお伝えしましょう。小学校6年間は、人間としての行動様式の基本ができあがる時代です。教育学者によると、「人間としての原風景を形成する時期」だそうです。

 つまり、受験対策においてテストで点を稼ぐための勉強に明け暮れると、「勉強はテストで点をとるためにするもの」としか考えない人間になる可能性があります。または、何かを達成するための手段としてしか受け止めない人間になるかもしれません。

 これでは、勉強のよさや価値を知ることはできません。また、学んだ知識や考え方を実場面で活用していく姿勢や術(すべ)を身につけることはできません。即ち、ほんとうの学力を備えた人間にはなれないのです。社会に出て通用しないのは自明のことではないでしょうか。

 弊社は、固まらない年齢の子どもに必要な学習体験は、頭を使って考えながら自力解決すること、基本に叶った考えかたで課題を解決することだと考えています。だから、なるべく子どもの頭で考えて解決できるような問題に取り組ませるよう配慮しています。課題が難しくなれば、覚え込むか習練で答えを引き出せるようにするしか方法はなくなってしまいます。

 OECDが実施している“PISAテスト”は、学んだ知識や考えかたを実生活場面で活用する能力を問うことで知られます。このテストの結果、日本の子どもはこの種のタイプのテストに弱いことがわかっています。その一方、学校で学んだ知識技能を試される、TIMMSSの実施するテストのほうが好成績をあげています。このことは、日本の子どもは学んだ内容を活用する力、すなわち応用力に欠けているということを意味するでしょう。

 それは、そのまま受験勉強で身につける学力に適用しても頷けることです。入試で合格点をとることばかりに傾倒すると、実際の生活場面で応用する能力は育ちません。

 有名な解剖学者のY氏は、「学問とは文武両道である」と述べています。これは、学んで知識を頭に入れる(入力する=文)ことだけでなく、それを実際に使ってみる(アウトプット=武)ことも人間には必要で、この両方があってこそ学問を修めたと言えるのだということです。

 弊社においては、子どもたちに覚え込んでテスト対応力をつけさせるのではなく、単元の柱となる理論を、例題をもとに子どもたちに一緒に考えさせ、解決の切り口を一人ひとりが自力で発見できるよう導いています。そして、それをもとに、他の課題を一人で考えて解決するよう指導しています。そのため、家庭での復習は必須になっており、子どもたちは授業で学んだことを自力でできるようになるための学習に励んでいます。それだけではありません。テストの直前には、授業で再度学習事項の基本をチェックし直します。

 こうした学習なら、覚え込んでテスト対応力を磨くよりも、応用の利く学力を育むことができます。見たことのない課題にぶつかっても、原理原則をしっかりと自分の頭で理解した子どもは、試行錯誤の末、解決の糸口をつかめるようになるものです。これなら、PISA型の学力テストにも対応できるのではないでしょうか。

 中学校進学後、子どもたちはさらに高度な学問の世界に入っていきます。暗記やスキルのみでテストを切り抜けた子どもは、高度化する学習内容に早晩太刀打ちできなくなっていくでしょう。なにしろ、理科や社会はいくつもの領域に分かれ、どんどん難しくなっていきます。数学も、いろいろな分野へと枝別れし、高度になっていきます。そのときに必要になるのは、“考える力”です。学んだことをもとに、様々な角度から検証しながら解決の突破口を見つけていく能力です。

 今、公教育は新しい指導要領のもとで「詰め込みでもなく、ゆとり教育でもない、時代の要請に応えられる学力の身についた人間の育成」を図っています。しかしながら、現実には教科書が分厚くなり、難しい内容が復活しているのに、授業時数はゆとり教育時代と変わりません。そんななか、英語も導入されるのですから、ほんとうに詰め込みでない中身のある教育ができるのかどうか心配になってしまいます。

 専門家によると、PISAテストで日本よりも好成績をあげている国のなかには、フィンランドやオーストラリア、カナダなど、教科書の分量が今の日本よりもずっと少なく、授業時数も少ない国もあるようです。おそらくこういう国では、子どもに考えさせ、自力解決する姿勢をしっかりと育んでいるのだろうと思います。

 今の日本の子どもに必要なのは、時間や労力に頼った勉強と決別し、基礎基本をしっかりと身につけ、そのうえで試行錯誤しながら問題解決をする姿勢を培うことではないでしょうか。私たち家庭学習研究社がどの程度そういった姿勢の育成に寄与できるかはわかりませんが、少なくともそのことを意識した学習指導を実践したいと考えています。なにしろ、私たちがお預かりしているのは、高い次元で学力を修めていく可能性が極めて高い、教育熱心な家庭で育った子どもたちなのですから。

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カテゴリー: 中学受験, 家庭学習研究社の特徴, 家庭学習研究社の理念

家庭学習研究社で学ぶことの意義 ~その1~

2012 年 2 月 6 日 月曜日

 前回は、子どもに中学受験をさせることの意義について弊社の考えをお伝えしました。これに関連して、今回は弊社の教室でお子さんが学び、そして中学受験をされることの意義について書いてみたいと思います。やや手前味噌の話になろうかと思いますが、ご了承ください。

 中学受験塾としての弊社について、みなさんはどのような印象をおもちでしょうか。弊社は、合格力や実績を謳うなど、受験塾らしい勇ましい宣伝広告の打ち出しをしないよう心がけています。それは、「学んで成果をあげたのは子どもたちだ。学習塾が、実力を誇示するかのような宣伝をするのはよくない」という経営者の考えによるものです。そして、「塾の学力観や方針を丁寧にお伝えしなさい」という指示を受けています。

 こうした考えに立った広報活動は、ともすれば地味な印象につながりがちです。しかし、筆者は広報業務を27年担当していますが、毎年必ず一定数のご家庭がお子さんを弊社の教室に預けてくださいます。ですから、これでいいのだと思っています。

 「学びの自立」「積極的学習姿勢」「自己管理に基づく学習」「学習方法の体得」など、弊社が掲げる学習指導の方針は、いつ頃できあがったのでしょうか。実は、40年以上も前の設立当初からです。受験は基本として進路を決めるためのものです。合格するためのものです。しかし、それなのにこういった方針を打ち出しているにはわけがあります。

 弊社の経営者は、家庭学習研究社を設立する前に別の呼称で学習塾を経営していたことがあります。その頃は合格のことしか眼中になかったそうです。しかし、何年もしないうちに考え込むようになりました。晴れて志望校に進学したはずの教え子が、勉強に行き詰まって次々に相談にやってくるのです。

 やがて経営者は気づきました。「受かることだけを考えた指導をしていると、いつまでも子どもは勉強の自立がままならない。自分で勉強を押し進めていく術(すべ)を身につけていなければ、どの中学校に進学しようと行き詰まるのは当然だ」――このように考えました。

 広島市で小学生のための学習塾を設立しようと決心した際、教育の専門家のアドバイスを受けながら様々に考えた末に、「子どもの望ましい成長に資する学習指導」という根本方針を掲げ、今日のような指導のやりかたを確立したと聞いています。

 広報業務を長い間担当してきた筆者ですが、この方針を貫くことに異論を唱えようと思ったことは一度もありません。ただし、心理的に苦しい時期はありました。それは、中学受験ブームが押し寄せていた頃のことです。15年~20年前になるでしょうか。

 受験者数がピークに達していた頃、修道の受験生は1900名を越えていました。広島女学院は1500名近い受験生を集めていました。当然、合格を巡る競争は熾烈を極めました。猛烈に勉強をやり込む受験対策が大手学習塾で普通のように行われ、弊社の子どもたちは苦戦を余儀なくされました。

 しかしながら、それでも弊社を支えてくださる家庭の数は減りませんでした。「ただ受験に受かればいいと思っていません。おたくの教室で学んで受かることに意味があるんです」「家庭学習社で学んだ生徒は、勉強のやりかたをよく知っています」と、励ましてくださったおかあさんの声が今も記憶に残っています。

 無論、指導の内容が全く変わらないわけではありません。合格力に対する配慮も行ってきました。しかしながら、指導の基本スタンスはほとんど変わることなく今日に至っています。少子化が確実に進行し、さしもの受験ブームが去ってみると、いつの間にか合格の実績もかつてとさほど変わらない状況で安定するようになっていました。

 また、筆者が指導を担当した子どもたちの“中学受験その後”の情報も「今の方針がよいのだ」という考えを後押ししてくれました。第一志望に受からなくても、学ぶ姿勢のよかった子どもは大学受験でちゃんとした結果を残していたのです。ですから指導現場のほとんどの者も、「この方針で受かる子どもをいかにして育てるかが、私たちに問われているのだ」と考えていました。

 さて、ここからが本題になるのですが、すでに予定していた文章量に達してしまいました。今回はこれぐらいにしておきます。次回は本題に入り、小学生の健全な学力形成を願う、弊社の情熱と心意気をお伝えできたらと思っています。木曜日に更新します。

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