「教育ママ」と「お母さん先生」

Posted 2014年9月24日 水曜日

 皆さんは「教育ママ」という言葉に、どのような印象をおもちでしょうか。

 一般的に使われる「教育ママ」という言葉は、あまり良い意味ではとらえられていません。辞書で意味を引いたりインターネットで検索してみたりしても、批判的な内容や面白おかしく書かれた記事などが大半を占めています。つまり「教育ママ」とは、わが子の教育に熱心なあまり、つい度が過ぎてしまっている方を指す言葉であるようです。

 しかし、表現方法に個人差はあれども、母親であればわが子の教育に強い思いがあるのは当然のことです。もし、この語がわが子の教育に熱心な母親を広く指すのであれば、たいていのお母さん方は当てはまることでしょう。何事も程度が重要なわけですが、子どもの将来を考えて、「どの幼稚園に行かせようか…、小学校は…中学校は…」と絶えず先のことを考えているのは、皆さん同じだと思います。

 ただし、幼稚園や学校選びも重要なことではありますが、それ以前に、子どもにとって最も身近で偉大な先生はお母さんであるということを忘れてはいけません。子どもの教育やしつけは、幼稚園や学校に入って初めて行われるわけではなく、産まれてすぐ、もっといえば、母親のお腹の中から始まっています。それを考えれば、子どもにとって最も影響力をもつ先生は、お母さんであるという事実は疑いようもありません。ですから、「教育ママ」として子どもを厳しく押さえつける前に、自分自身が「先生」としてわが子と接する必要があるわけです。

 では、お母さんがより良い「先生」になるためには、どうすればよいでしょうか。なにも、難しい勉強を教えられるとか、スポーツを上手にコーチできるとか、そんなことだけを指して良い先生だというわけではありません(それができれば素晴らしいことですが)。今後成長していく上で、人としての基盤になる部分をいかに上手に教えられるか。それが、お母さんが良い先生になることのできる条件です。

 「三つ子の魂百まで」ということわざがあります(海外にも同じような言葉があるようです)が、お母さん先生の最初の役割は、この「三つ子の魂」を子どもの中に健全に育てることです。いつも「なんで、お父さんは・・・」「なんで、この子は・・・」などと、子どもの前で愚痴をこぼすお母さんに育てられると、子どもは、なんて嫌なことの多い世の中なんだろうと思うようになるでしょう。すぐ大きな声を出すお母さんの子どもは、神経質でおびえがちになったり、感情不安定で些細なことをきっかけに爆発してしまうことが多くなります。身の回りの整理整頓ができていないお母さんの子どもが、散らかっている部屋を見ても何も感じなくなるのは自然なことでしょう。
 ある書物に、某幼稚園の選抜試験において、子どもではなく、両親だけに試験を受けさせた結果、「お母さんの考え方が立派な家庭の子は、例外なくいい子だった」という話が載せられていました。極端な一例ではありますが、これは母親を手本にして子どもが育つという考えに基づいて行われたものに違いありません。
 このように子どもは、赤ん坊の頃からずっとお母さんを手本にして、様々なことを学んで身につけていきます。これが「三つ子の魂」になり、その後小学校に入学した後も人格形成の土台となるのです。

 日々の子育ての中ではストレスになることも多く、やりきれない思いを抱かれることもあるとは思いますが、お母さん方には自分が先生であるという意識を常に忘れずに、かわいいわが子と接していただきたいと強く思います。

(butsuen)

家庭学習研究社 ジュニアスクール ・ 家庭学習研究社 ・ 家庭学習研究社ジュニアブログ