前回は「叱り方」について書かせていただきました。今回は、その対になる「褒め方」について少し考えてみたいと思います。

 普段わが子と接する際に、「褒める」ということをどの程度意識されているでしょうか。子どもの自主性を育んだり、モチベーションを高めたりするために褒めることの重要性は認識されていても、「叱る機会はたくさんあるけど、褒めるとなるとなかなか・・・」というお母さん方は多いかもしれません(我が家での様子を見ていてもそうです)。
 しかし、子どもを褒める機会はそれほど少ないものでしょうか。

 わが子に期待する部分が大きい親御さんほどその傾向がありますが、そうしたご家庭では子どもを見る目が自然と厳しくなりがちで、日常にある褒める機会を見過ごしてしまいがちです。
 例えば、子どもが何かを運んでくれたり、弟妹のためにほんの少し気遣いを見せたとき、「ありがとう。助かったよ」「やさしいね。○○ちゃんも喜んでるよ」などと、一言声を掛けられているでしょうか。
 褒める機会はあっても見過ごしてしまう、あるいは気付いていても、わが子を厳しい目で見ているが故に「褒めるに値しない」と判断されることが多いのかもしれません。しかし、少し視点を変えれば、子どもを褒める機会というのは実はたくさんあるのです。

 以前、玉井式国語的算数教室の創始者である玉井満代先生が、講演会の中で子どもを褒めることの重要性を説かれた際、「例えお母さんが『これをやりなさい』と言ってやらせたことであっても、『指示したことなのだから動いて当然』ではなく、お子さんがちゃんとできたらしっかり褒めてあげてください」という内容のお話をされていました(表現が違っていたら申し訳ございません)。このお話のように、子どもを叱った場面であっても、その後の働き掛け方によって、褒める機会を生みだすことができるのです。

 例えば、「きちんと片付けなさい」と叱り、それを聞いた子どもが部屋の片付けをする姿を見たとき、どのようにお感じになるでしょうか?「私が『片付けなさい』と言ったのだから当然よ。むしろ、言われる前に動きなさい」と考える(言う)のか、「よくできたね。片付けておくと気持ち良く過ごせるね」と言葉を掛けるのか。
 言うまでもなく、前者のような言葉を掛けられるより、後者のような言葉を掛けられる方が子どもの心には響きますし、自然な形で発せられたほんの一言であっても、十分に褒め言葉としての効果を発揮するものです。
つまり、「叱る→褒める」という流れで二つをセットにして考えると、「褒めるところから逆算して叱る」「後で褒めるために叱る」という考え方も可能なのです。

 叱ることと褒めることは子育ての両輪のようなものといえます。しかし、毎日子どもと接する時間の長いお母さん方の多くは、どうしても叱る機会が増えていきますから、この二つのバランスを崩してしまいがちです。「褒め上手は子育て上手」という言葉があるように、常日頃から「褒める」ことを念頭に置いておいていただければと思います。

(butsuen)

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