皆様、年末年始をいかがお過ごしでしたでしょうか?本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、新たな年を迎えたということで、気持ちも新たに頑張ろう、わが子にも勉強をはじめ様々なことにチャレンジさせたい、とお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし、これまでなかなか机につこうとしなかった子どもを勉強好きにする、あるいは少しでも興味をもつようにするには、いくら「勉強するのは本人なのだから」といっても、親の側の努力と工夫による環境づくりが欠かせません。
子どもは、普段の生活環境から大きな影響を受けながら成長しています。特に、乳幼児期から最も身近にいるお母さんの姿は、子どもにとっては他の誰より真似のしやすいモデルケースとなっています。
ある大学教授が書かれた書物に、「『うちの子は勉強が嫌いだから、何とか自らすすんで勉強するようにしたい』と相談にみえるお母さん達に、『あなたご自身は勉強が好きですか?』と質問すると、十中八九『私は嫌いです。ですから、せめて子どもだけは…』という答えが返ってくる。親自身が勉強嫌いで何の興味もないのに、子どもだけ勉強好きにさせようと思っても、それは無理というものです」という内容がありました。
子どもの頃に勉強嫌いだったというだけならまだしも、もしお母さんが、大人になった今でも本を読む習慣がない、静かな室内で何かに集中することがない、いつも漠然とテレビや携帯電話を眺めている…などの状況であれば、幼い頃からその姿を見ている子どもは、自分の意思で行動するような年齢になっても、「これをやりたい!」という気持ちがなかなか湧いてこないという傾向があるそうです。
子どもを机に向かわせるためには、自然な形でそうなれるように、家庭内の環境作りから始めてみてはいかがでしょうか。
まずは、長時間でなくてもよいので、毎日一定の「勉強の時間」を家族全員で設けることをおすすめします。その時間内はテレビを消して、落ち着いて学習できる静かな空間を作ってあげてください。親もこの時間には、好きな小説を読んだり、日記や家計簿をつけたりすれば、自然と家庭内に知的な空気を生み出すことができます。家庭の中にこうした雰囲気があれば、子どもは自ずとそれに馴染んでいきます。
また、子どものやる気を引き出すためには、「なぜ」「どうして」という知的好奇心に対するお母さんの対応も重要になります。
忙しい中で子どもから「なんで?」を連発されると、ついイライラしてしまうのは仕方ない面もあるのですが、「今は忙しい」「この間も説明したでしょう!」という対応を繰り返していると、やる気につながる子どもの好奇心はどんどんしぼんでいってしまいます。
わが家でもいえることなのですが、普段から「もうこんな時間なのに…」「次は○○をしないと間に合わない」という親の意識が強いと、子どもに掛ける言葉はどうしても厳しいものになりがちです。もちろん時間の観念を子どもに教えることも大切なしつけの一つなのですが、いつもそれでは、親が掛ける言葉は子どものスケジュール管理のようなものになってしまいます。
反対に、「お母さん、これ何?」という質問に、「何ていう名前だったかな?一緒に調べてみようか」と答えてもらえたなら、子どもの旺盛な好奇心はより一層刺激されることでしょう。さらに一歩進んで、子どもと一緒に図鑑やインターネットで調べて「わかった!」という経験を重ねることができれば、自然と様々なことを学習する環境が整えられ、発見する喜びや学ぶ楽しさを知ることもできるはずです。
このような対応をするためには、親の側が子どもの発言を受け入れられるだけの精神的な余裕をもっていなくては、なかなか難しいものです。家事の段取りを工夫してちょっとした時間をつくるとか、日常の中での気分転換ができるように自分なりの息抜き方法を見つけるなどして、普段から心のゆとりをもてるようにしたいものですね。
親に「ねえねえ…」と言ってくる時期も、子どもの成長とともにもうすぐ過ぎ去ってしまうはず。親と心理的距離の近い低学年の今だからこそ、子どもとのやり取りを楽しみながら、子どものやる気をうまく引き出してあげられる関わり方ができるといいですね。
(butsuen)