2009 年 1 月 のアーカイブ

暗記型の勉強はなぜいけないの? ~その1~

2009 年 1 月 7 日 水曜日

 子どもの暗記力には、本当に驚かされます。ある子どもは、歴史上のできごとを例示すると、たちどころにそれが起こった年号を言い当てます。しかも、苦労して覚えたのではありません。年号をまるで写真にでも撮ったかのように、脳に刷り込んだかのように記憶しているのです。

 みなさんもご経験ありませんか? わが子が発揮した暗記力に驚き、「ひょっとして、天才ではないか?」と思ったことは。恥ずかしい話ですが、筆者にもありました。愚息が幼稚園児だったころ、「来年の○月○日は何曜日?」と質問をしたら、必ず正解を言い当てるので驚いたことがあります。かつて親を有頂天にさせてくれたわが子は、今やその面影もなくただの人に成り下がっています。真相は、どうやらカレンダーを頭の中に写し取っており、それをもとに単純な計算をしていたようです。どうしてできたのか、もはや本人にも説明不能な「謎」だそうですから情けない話です。

 実は幼稚園から小学生にかけては、年号知識に代表されるような“意味記憶”に最も強い年齢期だと言われています。自分が見て聞いて得た知識を、いくらでも記憶できるのです。実際、この圧倒的な暗記力を駆使すれば、難関中学の入試突破も不可能ではないほどです。

 しかし、そこに落とし穴があります。子どもが中学生になると、さしもの勢いを誇った暗記力も一段落し、記憶の主役は“エピソード記憶”に替わってきます。エピソード記憶というのは、因果関係をもとに「なぜそうなったのか」を結論づけて頭に入れるような記憶です。こうした記憶は、論理的思考が要求される中学・高校生になるにつれて重要性を帯びてきます。ところが、暗記で点を稼ぐくせのついた子どもは、急にはやり方を変えられません。

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭での教育

CM撮影現場で思ったこと

2009 年 1 月 6 日 火曜日

 前回は年頭のご挨拶とともに、12月末より始めたCMにからめて、私たちの学習指導にかける思いを書きました。筆者は、家庭学習研究社の広報の仕事にも関わっており、このCMの撮影にも立ち会いました。そのCM撮影現場で思ったことを今回は書いてみます。

 今回のCMでは、初めて実際に私たちの教室に通っている子どもたちに協力してもらいました。もちろん、肖像権や個人情報に配慮するのが当然のご時世ですから、ご家庭の了解を得てのことです。12月14日の撮影当日は、予定があって来られなかったお子さん数名を除き、17名のお子さんが集まってくれました。「モデル経験のないお子さんばかりで大丈夫か」と、心配していたのですが、それは杞憂であったことにたちまち気づきました。

 まず驚き感心したのは教室の雰囲気です。実際に教室に通っているお子さんだからでしょうか。「いよいよ撮影が始まるぞ」という気構えがあったからでしょうか。何とも言えない活気がみなぎっていました。そのときの教室の雰囲気は素晴らしいものでした。

 指導担当者の説明も、子どもたちのうなずきも、全部日頃の授業そのものなのでしょう。全員が課題を理解し、指導担当者の話を聞いているので、「これ、わかる人」と、水が向けられると、「待ってました」とばかり全員の手が上がります。不意打ちできつぎつぎと当てるのですが、どのお子さんも笑顔でハキハキと答えます。そのときの表情がまたいいのです。撮影の様子を見て、日頃から指導担当者と子どもたちとのコミュニケーションがとれていることがしっかりと見て取れました。

 ところで、ディレクターやカメラマンはプロの人たちです。プロは、集まってくれた子どもたちを見て、一瞬にしてどの子をメインに据えるかを算段します。メインにするお子さんが決まったら、そのお子さんにそのことを密かに伝え、指示した座席に着いてもらうよう手はずを整えました。

 ところが、いざ撮影する段階になると手違いが生じてしまいました。指定していた席に、タッチの差で他のお子さんが座っていたのです。「さて、どうしよう」と思案していると、指定の場所に座り損ねたお子さんは、にっこり笑顔を浮かべて別の席に着きました。「ボクは、ここでいい」と言わんばかりの表情です。それを見て、このままで行くことを撮影スタッフと確認しました。この様子一つとっても、日頃からクラスの雰囲気のよいことが伺えました。そのせいでしょうか。撮影の時間が筆者にも楽しく、あっという間に終わったように感じられました。

 撮影にあたっては、全員にかなり丁寧なメイクが施されたのですが、男子と女子では随分反応が違っていました。男の子は恥ずかしそうにするか、ぶっきらぼうな表情を浮かべるかのどちらかでした。しかし、女の子は違いました。うれしそうで、なおかつ誇らしげな、何とも言えないうっとりとした表情を浮かべていたのです。

 撮影も、大詰めを迎えました。全員が一人ずつカメラの前に立ち、ポーズを取って終了です。CMの最後に全員が一人ずつ笑顔を浮かべて映っている場面があるのですが、そのための撮影でした。「家庭学習研究社の授業のよさを、どう一般にお伝えしたらよいか」に頭を悩ませている筆者ですが、この難題解決に一役買ってくれたお子さん方に、心から感謝する次第です。

 なお、撮影終了後には「お楽しみ会」を催し、全員で楽しいひとときを送りました。このお子さん方も、1年後には入試本番を迎えます。子どもたちが、見事志望校に合格されますことを、心より念じるばかりです。

 

 

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カテゴリー: ごあいさつ, 家庭学習研究社の特徴

2009年の始めに

2009 年 1 月 5 日 月曜日

 あけましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 学習塾は、口コミで成り立ってきた業界です。私たち自身、「充実した指導と入試結果がすべて。お金のかかる宣伝などは不要」と考えてきました。筆者が入社したころには、チラシ広告さえなかったほどです。しかしながら、少子化の定着を初め、学習塾をとりまく環境は年々厳しくなりつつあります。首都圏などでは、かつて勢いのあった学習塾が閉鎖の憂き目にあっているという話も耳にします。

 そこで、「私たちも、何らかの形で存在をアピールしなければいけない」と考えるようになりました。一昨年の末からテレビCMを始めたのも、こうした理由あってのことです。2009年度の会員募集に向けて、昨年の12月25日より、広島テレビと広島ホームテレビでCMを流していますが、ご存知でしょうか。わずか15秒のスポットCMなので、お気づきになっておられないかもしれませんね。

 このCMは、「学びの原点は小学生時代にある」という字幕とナレーションで始まります。この言葉は、私たちの学習指導にかける思いを凝縮したものです。というのは、中学、高校、大学、社会人と、人間はいくつになっても勉強から離れることができません。まさに現代人にとって、「人生は勉強の連続体」なのですが、一人ひとりの人間の生き方や学びの姿勢を遡ると、その原型は必ずと言ってよいほど小学生時代に行き着くと言われています。まさに、「学びの原点は、小学生時代にあり」なのです。

 そのことは、「小学生時代にどんな学習体験を積み重ねるか」が、いかに重要かを教えてくれます。小学生の頃に学んだ経験の記憶が、楽しくて心に張りを与えてくれるものであったなら、その人はいつまでも学ぶことを求めて止まないでしょう。一方、「親に叱られ、イヤイヤ勉強した」「塾で難しい勉強を無理やりやらされた」となると、その経験は忌まわしい記憶となっていつまでも尾を引くものです。

 また、大人になるといろいろな人生の局面にさらされます。解決に向けて、勇気や決断を迫られることもたびたびです。そういうとき、どんな解決策を採るか、どんな決断をするかも、子どものころの体験や学びが大きな作用を果たすそうです。「小学生時代は、人生の原風景をつくる時期である」とは、有名な教育学者の言葉ですが、この言葉に納得される方は多いのではないでしょうか。

 わたしたちは、中学受験をめざす子どもたちが、受験生活を通じて自分への自信を深め、学習に能動的に取り組む姿勢を築いていくことを大変大切なことだと思っています。目先の受験結果よりも、むしろこのほうが遙かに大切ではないでしょうか。長い学びの人生の原風景が、豊かで建設的なものであれば、その人の一生は美しい彩りを帯びるに違いありません。

 中学受験は、子どもの人生においてちっぽけなものでしかありません。しかし、子どもの生き方や考え方に影響を及ぼすという点では大きな役割と作用を果たします。ところが、いざ受験勉強が始まると、ともすれば両者の重要性が逆になりがちです。「受かること」がすべてで、「どんな学び方をするか」が省みられなくなってしまうのです。

 お子さんの受験生活のスタートにあたっては、是非このことを胸に留めておいていただきたいと思います。そして、お子さんにとって一番必要なものは何かを考えていただきたいのです。中学受験が、お子さんの人生のよきステップとなることを念じて、年頭のご挨拶に代えさせていただきます。

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カテゴリー: ごあいさつ, 中学受験, 家庭学習研究社の特徴, 行事のお知らせ