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子どもを「勉強好き」にする方法 ~その1~

水曜日, 1月 28th, 2009

 先日、自学自習について書きました。この「自学自習」を小学生ができるようになるには、いくつかの条件があります。その中でも筆者が重要だと考えているのが、子どもが勉強を好きになることです。そこで、今回は「子どもを勉強好きにする方法」もしくは「積極的に学ぶ子どもにする方法」をテーマに書いてみます。

 子どもが勉強を好きになるとしたら、「勉強は楽しいものだ」という実感を味わう経験を繰り返すことだと思います。私たちも、子どもが「あっ、そうか。おもしろいね、先生!」と言ってくれるような授業を実践すべく努めています。しかし、毎回都合のよい課題があるわけではありません。家庭で勉強する課題も、計算や漢字など積み重ねを必要とするものが多く、そうそう楽しい経験は味わえないものです。ですから、親がいつでもできる、何か別の働きかけが必要だと思います。

 その働きかけとは何でしょうか。京都大学名誉教授の岡本夏木〔おかもと なつき〕先生は、子どもの言葉の発達に関する研究で有名な心理学者です。その岡本先生の「子どもと発達」という著書に、先生の子どものころのことが書かれていました(以下の引用文は、だいぶ省略しています)。

「私は小学校1年生の頃を思い出す。当時3年生で、毎日私たちを手下にして遊んでくれた上級生の顔が浮かんでくる。彼は私たちを集めて、「お前ら、本字知らんやろ。本字教えたろか」と、地面に棒きれで得々と書いてみせるのだった。また時には、『こいつ、えらいわ、ちびのくせに、本字読みよる』と、ほめてくれた。当時、私たちは漢字を本字とよんでいた。漢字こそ本当の字であり、仮名は文字通り仮の字でしかなかった。その3年生の誇らしい顔や声、そして私たちも一種畏敬の念をもってそれをみつめていたことを思い出す。『本字』はまさに『えらい』ことの象徴であり、学校の権威の代表だったのである。子どもにとってはそうした権威への憧憬という動機づけがあったからこそ、漢字習得の労に耐えてきたのである」

 まだ1年生だった岡本先生の、先輩にほめてもらったときのうれしさは、どなたにも想像がつくことでしょう。また、「えらい」と思うものへのあこがれが、岡本先生の勉強への強い動機づけになっていたことがわかります。

 この話から、勉強好きになるには「ほめられること」「ものを知ることへのあこがれを抱くこと」だという結論が導き出せそうです。親に身近な方法として、とくに「ほめること」は日常でその機会を得られる有効な方法でしょう。「何だ、それぐらいわかっている」と言われるかもしれません。しかし、わが子をタイミングよく上手にほめることは、意外に難しいものです。

 ある日の授業で、「親にほめられるか」ということが話題になったことがあります。そのとき、「一度もほめられたことがない」と悲しげな表情で話す男の子がいました。そこで、面談のとき「もっとお子さんをほめてあげてください」とおかあさんにお願いしてみました。すると即座に「だって、うちの子はほめようにもほめるところがないんですもの」と、言い返されてしまいました。このときばかりは、その男の子を心底かわいそうに思ったものです。

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