2009 年 2 月 のアーカイブ

カエルの子はカエル?

2009 年 2 月 6 日 金曜日

 ある年の中学入試終了後、一人のおかあさんがこんなことをおっしゃいました。「やっぱり、カエルの子はカエルなんでしょうか?」 --この言葉が今も耳に残って消え去りません。

 そのおかあさんの息子さんは、志望校に合格できる可能性は十分にあったのですが、残念なことに夢は叶いませんでした。本人はもちろんのこと、さぞかしおかあさんも無念の思いを噛み締められたことでしょう。その思いを自らに断ち切らせるために、このようなことをおっしゃったのでしょう。申し訳なさで胸がいっぱいになり、返す言葉も見つかりませんでした。

 ところで、受験の結果が得られないのは、本当に子どもの能力が足りなかったせいなのでしょうか。親から受け継いだ資質が足りなかったからでしょうか。私たちはそうは思いません。

 以前お伝えしたように、早熟なタイプか、奥手のタイプかというような、個々の成長曲線の違いが明暗を分けることはしょっちゅうあります。カエルの子はカエルまた、勉強は言葉を介して行いますから、「言葉の習得」がどのように進んでいるかも大変大きな作用を果たします。子どもの「やる気」「学習意欲」といった要素も、学習成果に大きく影響を及ぼします。さらには、やるべきことを行動に移せる「実行力」も学習成果に大きく影響してきます。これらは、生まれて以来の生活の繰り返しのなかで、どのような生活態度や行動様式を身につけたかで決まるものだと思います。

 他にもいろいろ考えられます。子どもの心が安定しており、ものごとに対する興味関心をもつだけのゆとりがあるかどうか。これも、気持ちが学習に向けられるかどうかを左右しますから、学習成果と深くつながっている問題です。勉強のやり方がしっかり身についていたかどうかも、成果を分けますから、大変重要な要素です。小学生の子どもは、周囲に影響されやすいですから、受験をめざしている子ども同士のよい友人関係に恵まれていたかどうかも、結構重要なポイントです。プレッシャーに強いかどうかなど、精神面も無関係ではありません。

 まだまだあると思いますが、いずれにせよ子どもがもって生まれた資質・能力だけで入試結果が決まるのではないということは、間違いなく言えるでしょう。要は、子どもの潜在的にもっている力を、中学入試に間に合うよう引き出せるかどうかが入試での合否を分けるのだと言えるでしょう。

 このブログを開設した主要な目的は、私たち家庭学習研究社の学習指導について知っていただくことでした。しかし、書き続けているうちに、私たちが学習指導を通じて知り得たことをもとに、「入試で結果が得られるようにするための子育て」「中学入試以後、ますますの成長が期待できるような子どもにするための態勢づくり」についてご提案することも大切なことだと思うようになりました。

 したがって、これから掲載する記事には、中学受験対策期、およびそれ以前のお子さんをおもちのご家庭の子育てに役立てていただける内容も盛り込もうと思っています。興味をおもちでしたら、是非お読みください。

 なお、中学入試の合否は、学習塾の指導力やノウハウに帰する面が多々あるのは言うまでもありません。これに関しては、私たち自身が結果を出すことで保護者の皆様に認めていただくべくがんばってまいります。よろしくお願い申し上げます。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 子どもの発達, 家庭学習研究社の理念

叱らねばならないときにはどうする?

2009 年 2 月 4 日 水曜日

 ほめることの必要性についてふれると、必ずと言ってよいほど「叱ってはいけないの?」という話になります。以前、「叱って勉強をやらせるのはダメ」ということを書きましたが、叱るということ自体は無論必要なことです。ただし、子どもを叱るときに気をつけたいことがあります。それは、子どもが納得する叱り方をするということです。

 日本の家庭で気になるのは、わが子に対して感情的に叱ってしまうケースが多い点です。そのことを自覚しているものの、ついやってしまっては悩むおかあさんは少なくありません。次の調査結果を見てください。これは、随分前の資料(1980年代)ですが、今でもそう変わらないと思いますので、参考までにご紹介してみましょう。

母親の叱り方・日米比較(%)
叱 り 方 日 本 アメリカ
大声でどなる 33 25
ぐちをいう。口をきかない。 29 3
静かにいってきかせる 26 2
体罰 6 22
約束のとりけし 6 44
不明 ―― 4

 日本のおかあさんで一番多いのは、「大声でどなる」ですが、「ぐちをいう。口をきかない」もかなりの割合を示しています。この二つは、おかあさんにとって後味が悪く、おそらくは子育てにおける悩みの原因となっているのではないかと思います。

 アメリカとの比較で興味を引くのは、「体罰」は圧倒的にアメリカのほうが多いこと、「静かにいってきかせる」はアメリカでは少数派であるということです。「静かにいってきかせる」おかあさんは、日本には26%もおられます。これは日本のおかあさんの美徳であろうと思います。しかし、日米の比較で何といっても目を引くのは「約束のとりけし」です。アメリカでは何と44%のおかあさんがこの方法を用いています。逆に、日本ではわずか6%ほどしかおられません。

 約束のとりけしは、感情的にならずに子どもを反省させる方法として、大いに参考になるように思います。やるべきことをしなかったり、約束を守らなかったりしたなら、当然の報いとして約束は取り消される。これなら後味の悪い思いをしなくてすみますし、子どもも自分の態度ややったことを素直に改めるのではないでしょうか。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 子どもの発達, 子育てについて, 家庭での教育

中学入試が終わりました

2009 年 2 月 3 日 火曜日

 1月22日の解禁日より始まった広島県西部地区の中学入試ですが、早いもので1月末にはすべての日程を終えました。すでに、合格発表も終了しています。

 中学入試に関わる学習塾にとって、毎年の中学入試における合格実績は生命線の一つです。したがって、受験シーズンが近づくと、どの校舎も緊張した雰囲気に包まれます。ただし、受験生はまだ小学生です。入試直前まで、あっけらかんとした表情で塾にやってくる子どもも少なくありません。

 それでもさすがにいざ入試会場に立つと、表情が一変する子どももいます。「先生、緊張してきた。どうしよう・・・・・・」と、不安げな様子を見せることもあります。

 そんな小学生の受験ですから、入試当日は指導担当者の大半が会場に早朝から出向き、担当クラスの子どもたちを集めては声をかけ、リラックスさせたり、気合いを入れたりと、最後の最後までケアを怠らないようにしています。これは、どの学習塾も同様で、その結果中学入試の会場は受験生や保護者とともに、学習塾関係者でごった返します。この雰囲気は独特のもので、おそらく中学入試ならではのものであろうと思います。

 さて、当社会員の子どもたちの中学入試結果ですが、男女ともほぼ例年と同様の合格状況です。詳しくは、HP上で公表しておりますのでご確認ください。

 先ほども書きましたが、学習塾にとって入試での合格実績は存亡に関わるほど重要なものです。ですから、入試結果がよければ嬉しいものです。では、「そんな年はさぞ活気づき、塾の中はお祭り騒ぎのような状態になるだろう」と思われるでしょうか。

 実は、決してそのようなことはありません。毎年のことですが、入試は水物だということを実感させられる結果が後を絶ちません。「えっ、この子が?」と驚くような大ヒットもありますが、その一方で「何で、優秀な○○君が・・・・・・」「○○さんが、受からないなんてどうかしている」など、言葉を失うような残念な結果に終わる子どもも必ずいるものです。ですから、入試終了後は、「悲喜こもごも」といった雰囲気に包まれるのが常であり、これはどの校舎も同じです。

 受験生は当社の校舎に通う子どもたちだけではありません。どの塾の子どもたちも、合格を夢見てがんばっています。そんな中で決まる入試結果ですから、「全員合格」は果たせぬ夢なのかもしれません。しかし、受験生をお預かりする以上、それをめざすのがプロというものです。2月14日には、新年度の5・6年部講座が開講します。指導を担当する者は、「来年こそ、子どもたち全員の夢が叶いますように」という熱い思いを胸に、新たな出発をしていくことでしょう。

 入試に鑑みて、もう一つつけ加えたいことがあります。入試結果とともに、私たちがこだわっている指導の成果があります。そしてそれは、子どもたち全員の努力に応じて必ず平等にもたらされるものです。それは、中学入試をめざした学習生活で培った「学習習慣」「学習姿勢」です。

 たとえば、毎日の学習を計画に沿って着実にやり遂げていく「計画性」や「学習習慣」。これらは、どの中学校に進学しようとも、ますます必要になってくるものです。

 また、授業の前に下調べをしたり、授業後にはおさらいをしたりする姿勢も、身につけておけば先々大変効力を発揮するものです。いわゆる「予習・復習の習慣」ですが、これらは中学生になってから身につけるのは意外に困難だと言われています。ですから、中学受験のプロセスで子どもたちに定着するよう指導しています。

 さらには、授業を大切にし、授業で必要な情報を取り入れながら勉強していく姿勢を身につけておくことも、先々学力を伸ばしていくうえで重要なことです。この点を踏まえ、私たちは一貫して子どもの聴く耳を育て、集団指導で成果をあげられる子どもたちの育成に向けて努力しています。

 合格の夢が叶っても、叶わなくても、この先努力の必要性は変わりません。その努力を惜しまない姿勢、努力が実を結ぶような勉強法の体得は、すべての子どもに可能なことです。私たちは、それらを保障することも学習塾としての使命であると認識しています。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: ごあいさつ, 中学受験, 家庭学習研究社の理念

「子どもを「勉強好き」にする方法 ~その3~

2009 年 2 月 2 日 月曜日

 前回、子どもをほめるということについて書きました。子どもが家庭で積極的に勉強する姿勢を築くには、子どもを上手にその気にさせるような接し方を心掛けることも大切です。そして、子どものやる気を促すためには、わが子がどんなことに興味をもっているか、あるいはどんな子どもかをよく知っていることが大切であると言われています。そこで、わが子のことをどれだけ知っているか、これからチェックしてみましょう。

 このリストは、アメリカのカウンセラー、サル・シビア氏の著作を参考に作成しました。まずは親が試し、同じことを子どもにやらせて結果を照合してみましょう。

印刷用チェックシート
(見えない場合はAcrobat Readerのバージョンを6.0以上にしてください。)

チェックシート

 サル・シビア氏は、「この問題は、そう簡単ではない」と言っておられます。半分も合っていればよい方だそうです。親は意外と子どものことを知らないものなんですね。さて、あなたはどうだったでしょうか。

 確かに、子どもの好みや傾向をよく知っていれば、子どもを上手に励ましたり、タイミングよくほめたりすることができるでしょう。また、それ以上に子どもを理解しているということが、コミュニケーションにも役立ちます。親はとかく「わが子のことは何でも知っている」と錯覚をしがちなもの。知っていたつもりのわが子を、もう一度よく理解するきっかけにしていただければ幸いです。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

カテゴリー: アドバイス, 子どもの発達, 子育てについて, 家庭での教育