おかあさんに求められるリーダーシップとは!? その2

11月 20th, 2014

 先週に引き続き、弊社4・5年部(週3日コース)の保護者を対象とする行事、「おかあさんの勉強会(2014後期第1回)」の内容をご報告します。

 今回は、親のリーダーシップのタイプとして理想的な、「子どもを自立させる教育者タイプ」の親になるにはどうしたらよいかを主テーマにした後半の内容をご紹介します。子どもを自立させる親のありかたについて、参考にしていただければ幸いです。

 前回は、「子どもを自立させる教育者タイプ」のキーワードとして、「境界線」という言葉に着目していただいたところで終わりました。この「境界線」とは、「ここまではしていいが、ここからはいけない」という基準を示します。

 このような基準が示されれば、子どもはその境界線の枠のなかで安心して伸び伸びとふるまえるでしょう。また、この境界線を逸脱すれば親に叱られることを体験し、してよいことといけないことの分別をわきまえることができます。境界線が明示されることの意義について、わかりやすい例があります。

 ある小学校で次のような実験が行われました。学校の校庭を取り囲むフェンスが全くない状態と、フェンスを校庭の周りにぐるりとめぐらした状態で、子どもたちを自由に遊ばせて様子を比べてみたのです。すると、前者の条件においては、子どもたちは校庭の真ん中に一塊になって窮屈そうに遊びました。一方、後者の条件では子どもたちは校庭のいたるところで散らばって活発に遊び回りました。

 この実験からわかったことは、「どこからどこまでが自由に遊べる範囲なのか、それを明示されるほうが子どもは安心して遊べるということです。だからフェンスを巡らすと、子どもたちは校庭のほぼ全域に散らばって遊びました。ところがフェンスが全くないと、自分たちの自由が許される範囲がわからず、不安になるのです。

 子どもに行動規範としての境界線を示すにあたっては、親自身が自分の行動に明確な境界線をもっていることが必要です。

 たとえば他者との交流において、ここまではOKだけれど、ここからはNOとはっきり言えるでしょうか。このような心の境界線のことを英語でバウンドリーと言います。みなさんのバウンドリーは明確で強いほうでしょうか。それとも、ややあやふやで弱いほうでしょうか。日頃、人の申し出を断れないで苦労したりストレスをためたりしている人は、バウンドリーが弱いと考えられます。

 そこで、この日参加されたおかあさんがたに、自分のバウンドリーの状態をチェックしていただきました。チェックの項目は10あり、YESまたはNOで答えていただきます。NOが多いほどバウンドリーが強いという診断になります。チェック項目の例をいくつかあげてみましょう。みなさんもチェックしてみてください。

1.自分に予定があるときでも、友人に誘われると断り切れないことが多い。
2.家族や周囲の人が不機嫌なとき、自分が何か悪いことをしたのではないかと気になる。
3.特に急用でないメールを送ったときでも、すぐに返事が来ないと落ち着かない。
4.自分の役割でない仕事や用事なのに、頼まれるとつい引き受けてしまう。
5.話し合いの席で言いたいことを言えず、ストレスをためることが多い。

 いかがでしたか? 5つ例を示しましたが、YESは1つか2つぐらいまでが望ましいと言えます。3つ以上ある人は、ご自身のバウンドリーをもっと明確にする必要があるでしょう。

 YESという回答が多かったかたは、普段の家庭生活において夫や子どもとのやり取りにおいて言いたいことがはっきりと言えなかったり、自分がやるべきでないことを不承不承引き受けされたりして、ストレスの多い毎日を送っておられる可能性が高いのではないでしょうか。

 勉強会ではこのチェックを終了した後、YESの多かったおかあさんに向けて、「子どもに対しては、『私がボスなのだ!』という意識、信念をもちましょう」とアドバイスしました。わが子の行動上のマナーや常識を浸透させるには、親の側に権威がなければなりません。ですから、親には「わが子の望ましい成長に向けて責任ある立場にあるのだ」という自覚と誇りが求められます。

 バウンドリーの自己チェックとアドバイスが終了したところで、最後のワークに入りました。最後のワークでは2人1組で、「自分のバウンドリーの状態と子どもの勉強の状態とに、何らかの相関関係はないか」を振り返り、互いに話し合っていただきました。話し合いを終えたら、今度はグループ全体に移りました。「理想のリーダーシップのタイプを頭に思い描いたうえで、今の自分のバウンドリーと突き合わせ、どこをどう変えたらよいと思うか」について、みなさん一人ひとり順に発表していただきました。そして、聞いている人には気づいたことをアドバイスしていただくようお願いしました。

 このワークを終えると、残された時間はあと僅かです。そこで最終的なまとめに入りました。子どもに適度な自由と選択権を与えつつ、大枠として守るべき境界線を浸透させることは、子どもを分別・節度ある自立した人間に育てるうえで重要なことだということを、この日参加されたおかあさんはどなたも実感されたことでしょう。

そこで、「明確な境界線を設定するためのガイドライン」というテーマを掲げ、弊社から提案をさせていただきました。その提案とは次の3つです。
20141013

 長くなりましたので、簡単な補足に留めます。

 Aは、家族全員で共通の境界線意識を浸透させるには、家庭内のルールを全員でこさえ、互いに声をかけながら守ればよいのではないかという提案です。ただし、規則やルールは多すぎると徹底しません。3つから5つぐらいまでが適当ですとお話ししました。

 Bでは、規則やルールを提示するにあたっては、「~してはいけません」というネガティブな言い回しではなく、「~しましょう」という肯定表現を用いたほうがよく守られることをお伝えしました。

 Cでは、もしも子どもが規則を破ったときには、どう対処すべきかについて提案させていただきました。たとえば、ルールに反して兄が弟を叩いたとき、「今夜は食事抜きだ!」という罰よりも、「弟に謝り、仲直りの手紙を書かせる」という罰のほうが素直な反省を引き出せるし、人間的な成長にもつながります。そういった類の例をいくつか示して終了としました。

 いかがでしょう。子どもを自立した人間にする子育てを実践していくうえで、参考になる点があったでしょうか。参加されたおかあさんがたに新たな気づきが得られたことを願いつつ、その日の勉強会を終えました。

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