2022 年 1 月 のアーカイブ

2022中学入試が間もなく終わります

2022 年 1 月 28 日 金曜日

 今年の広島県内の中学入試は、新型コロナウィルス感染拡大の第6波のさなかで行われています。幸いなことに、明日予定されている県立広島中の適性検査、明後日の附属東雲中の入学試験、およびまだ残っている一部の私学の入学試験が無事に実施されると、ほぼすべての中学校の入学者選抜が終了します。いっときは、「入試はどうなるのか」と心配しましたが、とにもかくにも無事に各中学校の入試が行われています。

 どの中学校の入試関係者の方々も、「何とか入試を無事に終わらせなければ」と苦慮し、様々な対策を講じられたことでしょう。それぞれの中学校で小さなアクシデントはあったかもしれませんが、いずれの中学校におかれても、これまで予定どおり入試を終えておられます。学校の先生がた、関係者のみなさまのご苦労は想像に難くありません。心より「お疲れさまでした」と申し上げたいと存じます。

 振り返るまでもなく、今年の受験生は前代未聞の状況下で入試を経験することになりました。新型コロナウィルスの感染問題が解消されないなかでの入試は覚悟していたものの、新種のオミクロン株による感染者がものすごい勢いで増加し、「このままだと、入試ができなくなる中学校も出てくるのではないか」という危惧の念をいだきました。「わが子がこの大事なときに感染などしませんように」と願いつつ、どのご家庭の保護者も無事に入試を終えるまで気遣いや対策に追われながらの毎日を過ごされたことでしょう。インフルエンザが流行したり、強い寒波のために雪に見舞われたりして、入試に影響が出たことは過去幾度となくありましたが、今年ほど過酷な条件下で行われた入試はなかったと思います。どのご家庭におかれても、今やっと張り詰めた緊張から解放されたことであろうと拝察いたします。無論、感染の危険性は少しも緩和されていません。一息つく余裕もなく、お子さんやご自身の感染回避に向けて気を引き締めておられることでしょう。

 ともあれ、すでにほとんどの中学校で合格者の発表も終了しています。弊社会員の合格状況ですが、今のところ例年と大きくは変わりません。ただし、多くの中学校で補欠者が発表されており、その中学校を本命にしているご家庭におかれては、繰り上がりを心待ちにしておられると思います。弊社では、これらの受験生の合否をおおよそ確認したうえで今年度入試の合格状況を公表する予定です(HPにて)。今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします。

 長かった受験までの道のりでしたが、とうとう終点にたどり着きました。少しでも多くの受験生がよい結果を得ておられることをお祈りするばかりです。ですが、周知のとおり入学試験は入学希望者のなかから入学者を選別するために行われるもので、夢がかなわなかった受験生家庭も少なくないことでしょう。指導にあたった者は、担当クラスの受験生の入試結果が発表されるたびに合否を確認していますが、首尾よく実力を発揮して志望校への合格を得た受験生もいるいっぽう、「このお子さんは大丈夫」と思っていた受験生が思いもしない結果を突きつけられるケースも目の当たりにします。そのたびに落胆の気持ちや合格に導けなかった無念の思いに駆られます。

 ですから、毎年の学習塾としての合格実績がよくても悪くても、一喜一憂することはありません。つぎにお預かりする受験生がもっとよい結果を得られるよう、より効果ある学習指導の実践に向けて気を引き締め、新年度の受験生の学習指導に臨んでまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

 さて、この後は筆者から受験生のご家庭に向けた提案をさせていただこうと思います。

 中学受験は、各ご家庭のお子さんがよりよい教育環境を得るためにするもので、相当な期間の準備が求められます。受験生のお子さんは、決して楽ではない勉強を相当な期間継続する必要がありますし、友達と遊ぶことや好きなスポーツに熱中することを断念されたケースも少なくないでしょう。また、保護者におかれても、お子さんの学習の状態を見てサポートをしたり、機を見ては声をかけたりされたるなど、いろいろとご苦労があっただろうと思います。なかには、見たいテレビ番組を控え、静かな環境でわが子が勉強できるよう配慮されたおとうさんもおありでしょう。

 つまり、受験生のお子さんも、見守り応援されるご家族も、お互いに多くの我慢をして親子共通の夢の実現のためにがんばって来られました。筆者は、中学受験はその意味において家族全体の大きなイベントなのだと思っています。このイベントの大きな意義は入試結果ではありません。お子さんは親の愛情と期待を背に奮闘する体験を通して、自分という存在に対する手応えとともに、親のありがたさを身に沁みて感じておられるでしょう。親はわが子が本気になって受験勉強の取り組む日々を見守ることで、わが子の成長ぶりを目の当たりにすることができたと思います。そこに最大の意義があり、各ご家庭の記念すべきイベントとしての価値があるのだと思っています。

 もうじき、お子さんは思春期を迎えます。このとき、大概の家庭は揺らぎます。お子さんはことあるごとに親に反発し、親はわが子の豹変ぶりにたじろぎ、どうしてよいか途方に暮れることになります。ですが、中学受験を無事に乗り越えたご家庭は心配要りません。受験までの助走を通して、親子の強い信頼関係を築いてこられたのですから。このあと、親がわが子に助言する機会はぐっと減ると思います。というよりも、親の声にわが子は耳を傾けてくれなくなるのが普通です。ですが、根底に強い信頼の気持ちがあれば、難しい思春期の危機を無事に乗り越えることができます。

 そうしたことも含め、入試が終了した今、互いの気持ちを確かめ合ってはいかがでしょうか。おとうさんやおかあさんにおかれては、お子さんにつぎのような言葉かけをしてみたらどうかと思います。

★ 受験生活で、成長できたと思うことは何かな?
★ もっとこうすればよかったと思うことはあるかな?
★ おとうさんやおかあさんに、今言いたいことはないかな?

 そして、お子さんの今の気持ちを聞いたら、つぎはおとうさんおかあさんから今お子さんにかけてあげたい言葉を伝えてあげていただきたいですね。何でも構いません。何か成長したなと感心しておられることはありませんか? 目先の楽しさを追いかけたい年齢期に、自分の行動をコントロールする経験をしたことも意味のあることです。実際のところ、もっとがんばってほしかったと思っておられる保護者もおられるかもしれませんが、勉強を投げ出すことなく入試を迎えたことだって大きな成長です。また、自分に足りなかったのは何かを考え、今後に生かそうという気持ちを感じたなら、それも大いなる成長です。そうしたことを含め、今親としてわが子に伝えてやりたい気持ちを言葉にしてみてはいかがでしょうか。 

 少し照れ臭い保護者もおられるかもしれませんが、中学入試という大きなイベントの締めくくりをし、親子共々次のステップへと進んでいただきたいですね。ともあれ、受験までの長い日々、様々なプロセスを経て、とうとう入試への挑戦が終了しました。ほんとうにお疲れさまでした。

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悔いなき受験に向けて、ベストを尽くしましょう!

2022 年 1 月 19 日 水曜日

 早いもので、広島の中学受験シーズンも後半に突入しています。1月22日(土)には修道中と広島女学院中、23日(日)には広島学院中とノートルダム清心中の入試が行われます。これら4校は広島の私学を象徴する中心的な存在ですから、第一志望校にしておられる受験生も多いことでしょう。また、翌24日(日)には伝統校として人気の高い広島大学附属中の入試が控えています。さらに、29日(土)にはすっかり公立一貫校の難関として定着した県立広島中の入学者選抜も実施されます。

 すでに予定していた入試を終え、進路を早々と決めた受験生もおられることでしょう。ですが、まだ大半の受験生にとってはこれからが山場です。ベストコンディションで入試を迎え、もてる力をすべて発揮できるよう、受験生のお子さん自身は無論のこと、保護者の方々におかれても体調やメンタル面のフォローをしっかりとしてあげてください。親子共々、悔いなき受験の達成に向け、万全を期して入試に臨みましょう!

 入試直前にやるべきことや、必要な心構え等については、指導担当者からお伝えしていると思います。そこで、筆者からはその種のことについて混乱が生じないよう、あまりでしゃばったことは書かないでおこうと思います。それでも敢えてお伝えしておこうと思うこと、入試当日のメンタルコントロールなどに的を絞り、ここでお伝えすることにしました。参考になる点がいくらかでもあれば幸いです。

 

①これから入試終了までは「睡眠第一」を心がけましょう!

 受験の直前になると、まるで待っていたかのように「あれをやっていなかった」「これも不十分だ」「あっ、大事なことを忘れている!」などと、自分の足りない部分がやたらと思い浮かぶものです。それはおたくのお子さんが本気になっている証拠で、大概の受験生は同じような心理状況にあるものです。

 こうした不安にかき回され、あれやこれやと手をつけていると不安や焦りが助長され、やっていることの半分も頭に残らなくなりがちです。また、その挙句夜中まで勉強に明け暮れることで睡眠不足になると、もてる実力を発揮するのが難しくなってしまいます。

 睡眠は疲れを取ったり、心の安定に寄与したりするうえで欠かせないものです。また、記憶を整理整頓するという重要な働きも担っています。これらはすべて入試でのパフォーマンス発揮に欠かせないものですから、睡眠確保は志望校合格に向けて必須の条件だと言っても過言ではありません。お子さんにそのことを伝え、入試直前に無理な勉強を控え、しっかりと眠るようアドバイスしてあげてください。

 

②入試当日の服装は二段構えで!

 入試会場への移動で体を冷やすと、体調に異変が生じてテストでのパフォーマンス発揮に影響が出てしまいます。温かい服装を心がけましょう。そのいっぽう、いざ試験が始まると厚着をしていたお子さんは眠くなったり頭がボーっとしたりして、頭の冴えを失ってしまいます。先日のブログにも書きましたが、試験中は多少寒気を覚えるくらいの状態のほうがよいと言われています。ですから、室内で上着を脱いだ状態になったとき、「わずかに寒い」と感じるぐらいのコンディションに持ち込めるよう、服装については二段構えで臨むようご配慮ください。

 念のために理由を申し上げると、脳は寒く感じることで体に警戒が発せられ、神経が研ぎ澄まされた状態になるからです。そんなときこそ、最も頭が冴えて思考が活発になってくれるのです。額に汗をかいた状態と比較してみてください。脳のテンションと働きが大きく違ってくるのは想像に難くありません。

 

③入試会場には早めに到着する。時間ギリギリはもってのほか!

 入試当日は交通の事情しだいで到着時間が大幅に変わることもあります。ギリギリに到着したときのことを想像してみてください。不安と焦りで頭はパニック状態。さらに到着しても試験会場への入室までの手続きや経路を確かめねばなりません。入試会場へは早めに到着するに限ります。それなのに、毎年「ハァ,ハァ」と息せき切って入試会場に駆け込む親子を見かけます。それを見るたびに、「どうして肝心の本番でこんな失敗をされるのだろうか」と、残念な思いに駆られます。

 早め(30分余り前が目安)に着いたお子さんの心理状態を想像してみましょう。入試会場に到着すると、誰でもいったん鼓動が速くなり、緊張状態に陥ります。しかし、時間がこれを解決してくれます。連れ添ってくれているおかあさんやおとうさん、入試会場で見つけた友達などと少し会話をしたらいつの間にか落ち着きを取り戻せるものです。この余裕があるとないのとでは、パフォーマンス発揮に雲泥の差が生じるのではないでしょうか。保護者には、前日までに交通手段と経路を確認し、早めに到着するための算段をお願いいたします。

 

④開始直前のメンタルコントロール

 これもすでにお伝えしたことですが、いよいよ試験開始の時間が迫ってきたら、深い深呼吸をすると過度の緊張状態になるのを回避することができます。

 まずは目を瞑り、鼻で大きく息を5秒吸います、それから約十秒かけてゆっくりと口から息を吐きます。多くの人は、深呼吸と言われると、一気に息を吸って一気に吐くため、呼吸が浅くなってしまい、深呼吸の効果が得られないそうです。これを三度くらいしたうえでテストに臨みましょう。おそらく、何もしない状態よりも心拍が落ち着き、緊張でパニック状態になることはありません。

 もうひとつ、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と心の中で自分に言い聞かせると、心の落ち着きを維持することができます。深呼吸をした後、いよいよ試験の開始が迫ってきたときにこれをおまじないのようにするとよいかもしれません。

 いずれにせよ、緊張は悪ではなく、能力発揮にとって必要なことであり、むしろ受験生にとって味方なのです。そのことは、最近のブログ記事に学者の実験結果とともにお伝えしました。ほどほどの緊張状態こそ、いちばんパフォーマンスの発揮できる条件なのです。

全ての受験生が最高のパフォーマンスを発揮されますように!
受験生のみなさんのご健闘をお祈りいたします。

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自信の度合いは勉強にどう影響する?

2022 年 1 月 15 日 土曜日

 年が明けてから急激に新型コロナウィルスの感染が拡大しています。広島県や山口県、さらに沖縄県はまん延防止等重点措置が再び適用されましたね。新聞報道によると、新手のウィルスであるオミクロン株による感染が80数%に達しているとか。またしても窮屈で不便な生活を耐え忍ばなければなりませんが、県民一致協力のもと、ウィルス対策をしっかりとやってまいりましょう。

 さて、中学入試シーズンがいよいよやってきました。早くも連日私学の入試や合格者の発表が行われています。受験生のみなさんは、この日のために長い間努力を継続してきたわけですから、最後の最後で体調を崩したりしては元も子もありません。ましてや、新型コロナウィルスに感染するなどといった事態に至れば、これまでの努力が台無しになってしまいます。毎日のうがいや手洗いを怠りなく。

 もう一つ。大詰めを迎えての受験対策について。不安は誰にもあるものです。その不安を消し去るために、夜遅くまで知識を詰め込んだり、たくさんの問題に当たったりしている受験生はいませんか? ここで無理をしてはいけません。今の段階でもっとも大事なことは、最高のコンディションで入試本番に臨むことです。前回のブログ記事でお伝えしたように、緊張過多にならないための秘訣の一つは、十分な睡眠をとることです。保護者におかれては、コンディションづくりにも十分な配慮を願いいたします。

 受験シーズンの到来は、私たち学習塾にとっても1年間の学習指導の総決算という意味で非常に大切な時期ですが、もう一つ大きな仕事があります。それは新規会員の募集です。お知り合いで、中学受験を検討されているご家庭はありませんか? もしおありでしたら、家庭学習研究社という選択肢の存在をお伝え願えればと思います。不躾で唐突なお願いですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今回は新年度会員募集が本格化することを踏まえ、中学受験専門塾としての基本的な姿勢や見解についてお伝えしてみようと思います。とは言え、指導の方針やシステムなどの詳細についてはHPや案内書、説明会資料などに載せています。そこで今回は、「家庭学習研究社に通って受験勉強をすることの価値として、ぜひ知っていただきたいこと」に的を絞ってお伝えしてみようと思います。

 このブログをお読みのかたの多くは、お子さんの中学受験を視野に入れておられると思います。中学受験をめざす理由はご家庭によって様々でしょうが、保護者の考えの根本にあるのは、「よりよい教育環境を得て、知力を磨いてほしい」ということであろうと思います。

 ご存知のように、国立や私立の有名中学校に合格するには一定期間系統だった受験対策をすることが求められます。そのニーズに応えるのが弊社のような進学塾です。ただし、入学試験で合格点を取れるようになるための学習や指導は学習塾によってみな違います。そして、それぞれによさがあります。また、そのよさは欠点と背中合わせになっている面もあります。保護者や受験生にしても、多人数での競争による励みをよしとするかたもおられれば、少人数でのきめ細かな指導を好まれるかたもおられるでしょう。両方のバランスを期待するかたもおられることでしょう。

 今回、筆者がお伝えしようと思ったのは、弊社の授業手法とテスト制度を上手に活用すれば、志望校合格が得られるのは当然のことながら、先々の人生を前向きに生き抜くうえで欠かせないものが身につくということです。それは何かというと、新規の知識や考えを体得しようという積極的な姿勢です。

 知識を得ようとする行動の発露は「好奇心(もっとそれについて知りたいという欲求)」だと言われます。専門家によると、好奇心は「自分はたいていのことは知っている」という過信の状態では稼働しません。また反対に、「自分は何も知らない」という自信不足の状態でも稼働しません。実は、「自分はいくらか知っているが、まだまだ十分とは言い難い」という自覚をもったときに最も稼働するのです。

 弊社の教室で実施する授業は、入試必須事項を提示して覚え込ませようというものではありません。問題を解くためのスキルを磨くためにあるのでもありません。「あれ?これってどういうことなの?」→「こうやったらどうかな?」→「えっ?今まで気づかなかった!」といったように、好奇心や試行錯誤、感動と納得が連鎖する体験を提供することを主眼に置いています。まずは知りたいという欲求を喚起し、つぎに知るプロセスの面白さを体感させ、納得がいったときの知的充実感を体験させるわけです。そして、それを家庭での一人勉強へとつなげていきます。

 こうして好奇心に灯をともしたら、つぎには「もっと知りたい!」「まだまだ知らなければならないことがいくらでもある」という気持ちを刺激し、さらなる学習活動へといざなう必要があるでしょう。それが2週間に一度の割合で行われるテストの制度です。「今回は自信がある。ちゃんとやったもの!」――こんなふうにやる気に満ちてテストに臨んでも、同じようにがんばってきた受験生同士で競う成績ですから、大概の子どもは結果に満足できません。「凄い人がいっぱいいるんだ」ということを知り、「自分はまだまだ。もっとがんばらなきゃ」と気持ちを新たにして勉強に励み、つぎのテストに臨みます。こういう体験のくり返しは、人間の枠組みが形成される大切な時期の子どもの生きかたに大きな影響を及ぼすことでしょう。

 子どもには大人のような常識がありません。何かについて、ちょっと知っただけで「何でも知っている」と錯覚することもあります。学校よりも広範囲から集まり、学習能力の高い子どもの集団で学ぶ経験は、「自分はかなり難しいことがわかる」という自信とともに、「自分はまだまだだ。もっとがんばらなければ!」という謙虚な気持ちも養ってくれることでしょう。それは、前述のような「自信過剰でもなく、自信不足でもない、前向きな勉強の姿勢を培ううえでちょうどよい環境と言えるのではないでしょうか。

 学力が高くてもそれを鼻にかける人間にはなってほしくないものです。また、学力が高くても自分に自信がないタイプの人間もいます。これはこれで社会の一線で活躍できる人間になるのは難しいと言えるでしょう。弊社の教室に通う子どもたちには、高い知力を自ら養いつつ、決して現状に満足することなく努力を続ける人間になってほしいと願っています。弊社はそういう学びの環境を整えた学習塾だと自負しています。ちなみに、合格以外に私たちが提供したい学習指導の成果は次のようなものです。

・中学進学後の長い学習生活の基盤となる学習習慣の形成
・自ら学ぼうという積極的な姿勢をもった子どもの育成
・学習の優先順位を判断し、段取りをつけて学ぶ姿勢の育成
・集団学習の場に適応性の高い子どもの育成

 受験するのは、まだ年端もいかない小学生です。自分で受験勉強を算段する知識などもち合わせていません。そもそも、受験するということの意味すらも定かではない子どももいます。そんな子どもの受験勉強ですから、大人が「これをやりなさい。覚えなさい」と命じてやらせるほうが手っ取り早く効率的にも思えます。しかし、それでは他者依存の勉強が染みつき、先々苦労することになりがちです。受験での合格の喜びもつかの間、苦しく長い学校生活を送ることになってしまうのではないでしょうか。小学生の受験で大人が配慮すべき最も大切なことは、学びの自立という命題を掲げての学習による合格をめざすことだと私たちは考えています。

 弊社の教室に通って中学受験をめざしませんか? 合格だけでなく、前向きに生きる姿勢を養えるよう誠意をもって指導させていただきます。

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緊張を乗り越え、入試本番で実力を発揮するには!?

2022 年 1 月 6 日 木曜日

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 新たな年の始まりとともに、すぐさま広島県西部地区では私立中学校の入試が始まります。1月4日(火)に行われたAICJ中(入試Ⅰ)を皮切りに、本日(1月6日)は崇徳中(前期入試)、週末の8日・9日には5~6校の入試が予定されています。厳寒期の入学試験は体調もパフォーマンス発揮に影響しますので、体調の管理にはくれぐれもお気をつけください。

 昨年最後のブログで、「緊張は悪いことではない。むしろ適度な緊張は実力発揮に貢献する」ということをお伝えしました。しかしながら、問題はどうやったら適度な緊張状態をつくれるかです。

 そこで、ちょっとよい話をお伝えしましょう。実は、「緊張は味方である」ということを知っているだけでも、緊張はコントロールできるのです。以下の研究結果は、精神科医の樺沢紫苑氏が、著書「いい緊張は能力を2倍にする」で紹介されているものです。

 ハーバード大学のジャミソン博士は、60人の学生を二つのグループに分けて数学の試験を行いました。片方のグループには、「緊張はパフォーマンスを高める」という説明をし、もう片方のグループには何の説明もしませんでした。前者のグループには、「不安な感情はパフォーマンスを下げると考えられていますが、最近の研究では緊張はパフォーマンスを下げない、むしろ不安があったほうがパフォーマンスを上げるということがわかっています。もし試験中に不安を感じたら、緊張はあなたの助けになることを思い出してください」と伝えていました。さて、試験の結果はどうなったでしょう。

 説明しなかったグループの平均点は705点でしたが、説明をしていたグループの平均点は770点でした。この結果は何を意味するでしょう。「緊張はパフォーマンスを上げる」ということを知っているだけで、緊張によるマイナスの影響を取り除き、逆にパフォーマンスを上げる効果を引き出すのです。「成績のよい学生がそのグループに多くいたからじゃない?」と思われたでしょうか。この種の実験は、被検者の学力を均等にしたうえで行うのが常識です。ですから、そういった懸念は無用です。

 さて、つぎは緊張がどうやって生じるのかに関する科学的な説明です。前出の樺沢紫苑氏は、緊張の理由はたったの三つであると述べておられます。その三つとは、①「交感神経が優位」、②「セロトニンが低い」、③「ノルアドレナリンが高い」です。以下は、それぞれに関する簡単な説明です。上記の樺沢氏の文献にあった説明をごく短くしたものです。

①「交感神経が優位」
 交感神経が優位になると、心拍数、血圧、呼吸数、体温が上がり、筋肉は緊張する。いっぽう、副交感神経が優位になると、逆に心拍数、血圧、呼吸数、体温が下がり、筋肉は弛緩する。交感神経が優位になると、緊張で全身の活動性が高まるが、程度が一定領域を越えると思考が正常に働かなくなる。
対策→副交感神経を優位にする

②「セロトニンが低い」
 セロトニンは、「落ち着き」「平常心」「心の安定」「共感」などを司る脳内物質で、健康な生活に欠かせないものである。セロトニンが十分な状態にあると、心が安らぎ癒された感情に満たされる。欠乏した状態にあると、朝に弱い、イライラする、カッとしやすい、ものごとの切り替えができない、などの症状を呈する。
対策→セロトニンが適切に働く状態をつくる

③「ノルアドレナリンが高い」
 緊張状態になるとノルアドレナリンが分泌され、集中力、判断力、記憶力などが研ぎ澄まされた状態になる。したがって、ノルアドレナリンは自分のもてる力を最大限に発揮するために欠かせない脳内物質である。ただし、分泌量が増えすぎると緊張状態を引き起こし、さらには不安に襲われるようになる。
対策→ノルアドレナリンの分泌を適度に押さえる

 「アドレナリンとノルアドレナリンはどう違うの?」と思われたでしょうか。組成は非常に似ているものの、前者は体全体の働きに影響し、後者は主に頭の働きに影響するという違いがあるようです。緊張の理由は上記のとおりですが、対処の方法がわからなければ緊張は克服できません。そこで、前出の樺山氏の著作で紹介されていた対処法から、中学受験生が採り入れて効果のありそうなものをいくつか挙げてみようと思います。

① 副交感神経を優位にする方法
 もっとも簡単な方法は「深呼吸」です。ですが、大半の人がうまく活用できていません。一気に息を吸い、一気に吐いてしまうからです。これでは呼吸が浅くなり、却って緊張を強めてしまいます。5秒かけて鼻から息を深く吸い、10秒かけてゆっくり口から吐き、さらに5秒かけて肺にある空気をすべて出し切るのです。緊張しやすい人は、もともと呼吸が浅い人だそうで、上記のような深い呼吸を一定期間練習するとよいそうです。いざ本番のときに深呼吸を何度か繰り返すと、気持ちがそれに集中し、緊張していることも忘れる効果があります。

② セロトニンを適切に働かせる方法
 セロトニンを欠乏状態にしないためには、睡眠時間をたっぷりと取る必要があります。今からは、”早寝早起き”を心がけましょう。睡眠が足りないとイライラが増し、緊張が高まったり、注意散漫になったりしがちです。また、入試会場には少し早めに着くようにしましょう。到着直後に緊張が一気に増しますが、おかあさんと笑顔で話をしたりする時間的余裕があると、緊張が程よく緩和されてちょうどよい緊張状態になります。笑顔を取り戻せばパフォーマンス発揮間違いなし!

③ ノルアドレナリンの分泌を適度に押さえる方法
 扁桃体は、安全と危険、快と不快を、思考が働くよりもはるかに早く判断し、ノルアドレナリンの分泌をコントロールする脳部位です。過度の緊張に襲われると、ノルアドレナリンの分泌量は一気に増加します。これに対処する方法の一つは、お子さんがすでに行っておられます。模試を受けていることです。過度の緊張を未然に防ぐには、疑似体験をしておくことが有効ですが、お子さんは模試を通してすでに何回も入試の疑似体験をしておられます。これが過度の緊張を緩和するうえで有効なのです。「そっくり」を経験しておくという意味では、過去問を多めにやっておくことも有効でしょう。もう一つ、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と、つぶやくことも緊張緩和に寄与します。

 どうでしょう。簡単におさらいをしておきましょう。

1.「緊張は、本番での実力発揮につながる」ことを知っている
2.正しい深呼吸を本番前に繰り返す
3.早寝早起きを励行する
4.入試の疑似体験をしておく →お子さんは体験済み

 以上が入試本番で緊張に襲われないための対策です。すでにお子さんは半分を体得済みですから心強いですね。これらのことをおとうさんおかあさんから伝えてあげてください。あとは、入試までの残された期間の入試対策学習を、焦らず、欲張らず、集中して行ってください。

 なお、本来は入試会場に指導担当者が出向き、お子さんがたを見つけて声をかけて緊張を解きほぐしたりするのですが、昨年来のコロナ禍においては、入試での塾関係者の応援自粛の依頼がいくつもの学校から出されています。誠に不本意ではありますが、ご了承いただきますようお願いいたします。

全受験生のみなさん、悔いなきラストスパートを!

※今回の記事の大半は、「いい緊張は能力を2倍にする」樺沢紫苑/著 文響社 の著述を参考にして書きました。

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