暑い夏の学習で成果をあげるために

2023 年 7 月 25 日

 夏休みの講座が始まりました。盛夏に突入し、このところますます暑さ厳しい日が続いています。家の中や教室は冷房が効いていますが、戸外を移動するたびに体をむしばむような蒸し暑さに耐えなければなりません。このくり返しがダメージとなり、何をするにつけても気合が入らずダラダラ時間をやり過ごすことになりがちです。食事や睡眠などもコンディションに大きく影響します。体調管理に気を配りつつ、上手に夏を乗り切りたいですね。

 暑い夏は何につけ惰性に流され易いものです。勉強も然り。だらだら漫然と取り組むのではなく、勉強と他のこととの切り替えをテンポよく行い、短時間に集中してやりきる勉強のほうが時間や量に任せた勉強よりもはるかに成果があがります。お子さんの1日の行動予定を見通し、メリハリをつけながら効率よく取り組む勉強が実現するようサポートしてあげてください。合言葉はリズムと集中。暑い夏の受験勉強は欲張ったらダメです。

 かくいう筆者ですが、かつて指導現場に立っていた頃には、夏期講座の授業は正直申し上げて辛いものでした。広報関係の仕事をメインにしていたので、中区袋町にある本部事務局で企画や執筆の仕事をしながら、その合間に校舎へ移動して国語の授業に出ていました。広報の仕事が忙しいときなど、授業を億劫に思うこともあり、夏の蒸し暑さと相まって「ああ、今日の授業は勘弁してもらえないかな」、と内心ぼやきながら校舎に向かうこともありました。無論、いざ授業となると責任がありますから、無理にでも元気を振り絞って教室に入りました。

 ところが、こういうときに限って、指導担当者冥利に尽きるような楽しく充実した授業になるのです。というのも、子どもたちがまるで筆者のコンディションに気づいていたかのように元気づけてくれるのです。いつもは子ども特有の悪ふざけをして、いらだたしい思いをさせられた(いったい何回怒鳴ったことやら)男の子が、どういうことかこんな日に限って熱心に耳を傾け発言してくれ、授業を展開するプロセスを助けてくれたのです。そんなことが何度もありました。

 ずいぶん昔の話ですが、三篠校の空調が壊れてしまい、2日半ほど冷房のない状態での授業を余儀なくされたことがあります。正直、このときほど「授業がなければ…」と切望したことはありません。空調が壊れた翌日、まだ朝8時過ぎだというのに講師控室は蒸し風呂のようでした。いよいよ授業開始というとき、かなり高齢の国語の女性講師(すばらしい授業技術を携えておられました)が、「もう私、今日は水着で授業に出ようかしら!?」と明るく素っ頓狂な声をあげ、周囲を涼しい雰囲気にしてくださったことを思い出します。

 こんな事態ですから、その日ばかりはさすがに子どもたちも、のぼせかえるような蒸し暑さに音を上げるに違いないと思いつつ教室に向かいました。ところがあにはからんや、子どもたちは元気いっぱいの笑顔で授業の開始を待ってくれていたのです。子どもたちのエネルギーにこのときほど驚かされ、ありがたく思ったことはありませんでした。子どもって、何か変わったことがあるとそれを面白がり、状況がどうあれそれを楽しもうとするのでしょう。

 今、お子さんの生活ぶり勉強ぶりに不満を抱いている保護者はおられませんか? でも、それはおかあさんおとうさんの気持ちや行動が鏡のように映し出された結果かもしれませんよ。親が何事も楽しむかのように雰囲気を盛り上げれば子どもも同調し、何をするにも前向きにがんばろうとするのではないでしょうか。おかあさんおとうさんには家族の行動の旗振り役という役割も意識していただければ幸いです。何をするにも条件のよくない夏こそ、そういった配慮が必要なんだと思います。

 そこで保護者の方々に留意していただきたいことをいくつかお伝えしようと思います。親が率先して前向きに行動する雰囲気を家庭内でつくり、お子さんの勉強の取り組みの背中を押してあげてください。

 

夏休み中の勉強を活性化するために

1.家族全員で早寝早起きを励行し、活力とメリハリの伴った生活を心がける。(朝一番の「おはよう!」の挨拶を元気よく交わしましょう)

2.てきぱきと行動の切り替えを行い、短時間で集中力の伴った勉強を心がける。

3.叱って行動を促すのではなく、「あっ、時間になってるよ!」と声かけする。(子どものプライドを尊重。叱られてやるのは嫌なもの)

4.子どもがやるべきことをやったら大いに喜びほめる。

5.家族そろい、明るい雰囲気で一日の振り返りをする。

 

 どうでしょう。何事も気持ちのもちようでずいぶん変わるものです。「あなたががんばっているから、おかあさんも元気が湧いきたるよ!」とお子さんに伝え、おかあさん自身も何事につけても楽しそうにふるまう。そうすれば家庭内も否応なく前向きな雰囲気に包まれることでしょう。そう、家族って全員が家庭内の雰囲気を築くためのキーパーソンなんですね。

 条件の悪いときにこそ、やりかたをいろいろ考えて成果につなげる。このことを子ども時代に経験したなら、これも得難い財産になるでしょう。悪条件を言い訳にしてやるべきことをやらず、易きに流れる人間。悪条件もものかは、少しも辛そうな顔をせずにやるべきことに取り組む人間。どちらに近いタイプに育つかは、子ども時代の生活や経験が大いに関与することでしょう。この記事をきっかけに、暑い夏をどう過ごすかについて親子で話し合い、一工夫してみませんか?

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カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴

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