2012 年 5 月 のアーカイブ

「おかあさんの勉強会」が始まりました

2012 年 5 月 28 日 月曜日

<日程>

 

 「おかあさんの勉強会」は、学習塾の新しい教育サービスのありかたを見出すための試みとして始めた催しです。対象者は、弊社4・5年部会員家庭(週3日コース)のおかあさんです。

 2010年に「おかあさん塾」という呼称でスタートしたのですが、「おかあさんに対して、学習塾が一方的に働きかける内容の催しである」と受け止められるのではないかと思い、呼称を去年から現在のものに改めました。「おかあさんの勉強会」は、おかあさんが主役で、真におかあさんのための催しとして実施するものです。

 学習塾の実施する催しは、大きく分けて二通りあるのではないかと思います。一つは、多人数相手に塾の側からお伝えしたい事柄についてお話しする、「説明会」のような形式のものです。またもう一つは、「個人面談」のような1対1で個別の相談に応じる形式のものです。

 前者は、塾の方針やスケジュール、指導内容などを効率よくお伝えするのに有効な形式です。また後者は、ご家庭それぞれの学習の実状を踏まえ、個別に綿密な対応が可能です。

 ほとんどの学習塾の催しは、この二通りの形式のいずれかだと思います。かく言う弊社もそうでした。しかしながら、筆者はかねてより「おかあさんがたを勇気づける、もっと有効な催しの方法があるのではないか」と考えていました。

 求めていたのは、受験生を抱えて苦労されているおかあさん同士が連帯することで、新たな活力が沸きあがり、現状打開の方向性が見えてくるような行事です。残念ながら、説明会や個別面談では催しの枠組みによる制約があり、思いを実現する切り口は見つかりませんでした。

 そこで目をつけたのが、「ワークショップ」という参加型の催し形式です。ワークショップは、参加した人たち同士で語り合い、問題点の解消に向けて互いにアイデアを出し合い、励まし合える「参加型」のスタイルを採ります。これなら塾からの話をただ聞くだけに終わらず、また同じ立場にある人間同士だからこそ可能な、励まし合いの場をつくることができるのではないかと思いました。

 ただし、ワークショップという形式の催しで成果をあげるには、最低でも2時間は必要です。数時間や丸1日かかるのは普通であり、日頃忙しく働いておられるおかあさんがたに、それだけの時間をいただくのは無理な注文です。そこで、やや中途半端ではありますが、1回につき90分の行事にしました。まだまだ十分な成果をあげるまでには至っていませんが、1回あたり10~30名ぐらいのおかあさんがたに参加いただいています。

 この催しは、冒頭の日程表でご紹介しているように校舎単位で実施します。今春は2回実施しますが、片方だけの参加も受け付けています。

 各回のテーマですが、第1回が「家庭勉強の自立を応援しよう!」で、第2回が「学習意欲をどう引き出すか」です。受験を子どもたちの成長の場とするために、ご家庭の支援をぜひお願いしたい重要なポイントを絞った結果採り上げたテーマです。

 第1回目にテーマに掲げた「自立勉強」は、子どもたちが大人になってからも要請される学びの基本中の基本です。小学生の今のうちに自立勉強の姿勢を築いておけば、それは一生の財産を手にしたことになるでしょう。小学生の受験においては、とかく大人主導での受験生活になりがちです。教室では子どもの自立勉強の促進に向けて配慮をしていますが、より重要なのは家庭勉強を子どもたちが主体的にやりこなす姿勢を築くことです。どうやったら、子どもが自らの力で勉強を押し進めていく姿勢を培うことができるか。それをともに考えていきます。

 第2回目のテーマは、子どもたちの「学習意欲」をどうやって引き出すかがテーマです。OECDによる国際学力比較調査によると、日本の子どもたちの学習意欲は参加40カ国余りのうちで最低だったと言います。なぜこのような事態に至ったのかを簡単に検証しながら、小学生の学習意欲の特質を調べ、親がどう関われば子どもの意欲が高まるかをともに考えていきます。

 4・5年生の会員家庭のおかあさんで、この催しに興味をもたれたかたは、今からでも構いません。定員に達していなければ、まだ受付可能です。1回目、2回目だけの参加もOKです。校舎にお問い合わせください。

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カテゴリー: 行事のお知らせ

私たちの“基礎学力”育成論

2012 年 5 月 21 日 月曜日

 ほんとうの頭のよさとは、どのようなものでしょう。知識をたくさん身につけていることでしょうか。それとも、行動力・決断力があることでしょうか。要領がいいことでしょうか。記憶力に優れることでしょうか。当然のことですが、これらは、みな頭のよさの一側面でしかありません。

 認知科学の入門書を何冊か繙(ひもと)いてみると、だいたい次のようなことが書いてあります。「新しい局面に直面したとき、柔軟に対応し、最も適切な解決法を見出す能力を携えていること」――これを、私たちの関わる中学受験対策の勉強に照らして考えてみましょう。

 ご承知のように、中学入試で出題されるのは、算数、国語、理科、社会の4教科です。これらの教科の学習範囲は、小学生にとって相当に広いものです。もし、入試で満点を取ろうとしたら、あるいはどのような問題も経験済みの事柄にしておこうと思ったら、おそらく膨大な時間や労力の投入を余儀なくされるでしょう。

 そこで大切になるのは、既習の内容をもう一度頭の作業台に乗せ、様々な角度から検証して必要な情報を抽出したり、ある結論に漕ぎつけたりする力を養うことです。そうすれば、無闇と知識を詰め込んだり、たくさんの問題に当たったりしなくても、大概の問題に対処することができるでしょう。これこそ、身につけるべきほんとうの学力ではないでしょうか。

 そもそも入試というものは、“知っているか、覚えているか”を試すものではなく、“既習内容を真に理解しているかどうか”を問うのが本来の目的です。私立一貫校の入試問題に目を通してみると、知識の量や深さを問うだけでなく、その運用力や知識を活用した思考力を問おうとしている問題も多数あります。よい入試問題ほど、暗記のみで対処できないような工夫が凝らされているものです。このような問題に対しては、学んだことを活かせるかどうかが勝負の決め手になります。

 一見、まだやったことのない問題、見たことのない問題への挑戦。それが、中学入試です。しかし、小学校の履修範囲からの出題という大枠・原則があるのも、中学入試です。ですから、よく考えれば必ず解答に漕ぎつけるための突破口は見出せるのです。それが中学受験勉強の面白さではないでしょうか。その面白さに気づくところまで導くのが私たちの仕事です。

 実際、算数の難しい課題の突破口を見つけようと、表や図を描きながら熱中して考えている子どもの様子を見ていると、「子どもの頭がよくなる学習とは、こういうものなんだな」と思わずにはいられません。そういう学習をしているときの子どもの表情は、それは素晴らしいものです。

 では、どうすればそういった学習のできる子どもになれるのでしょうか。弊社では、4年生から6年生の4月末までを「基礎力養成期」と位置づけています。この基礎学力養成期で、既習内容を活用して問題解決をはかる姿勢を築いていきます。したがって、学習課題のレベルの設定には細心の注意を払い、基本的なことをしっかり子どもに理解させること、そして、その基本事項を活用して問題解決をはかる楽しさを子どもに繰り返し味わわせるよう配慮しています。

 頭のよい子どものなかには、途中の大切な思考のプロセスを飛び越え、一気に答えを引き出そうとする傾向のある子どもがいます。基礎内容を学んでいるときにはそれで通用するのですが、入試問題になるとそうはいかなくなります。答えを引き出すまでに、何段階もの思考のステップが必要となるため、一気に答えを引き出すことができなくなります。そうなると壁にぶつかってしまいます。

 ですから、弊社ではどのお子さんにも、基礎を学ぶ段階ではセオリーに則った解決法を丁寧に教え、図や表などを用いて理詰めで答えを引き出すことを徹底させるよう指導しています。

 このような学習を通して身につけた学力は応用が利きます。また、理詰めで解決することの楽しさや喜びを知ったお子さんは、自律的な学びの姿勢を備えています。それが、やがて非常に大きな意味をもつようになります。

 既に何度か書きましたが、今日の社会は実力社会です。目の前の解決すべき問題点の本質を見抜き、突破口を切り開くためにあらゆる知恵を絞り、様々な角度から検証しながら最善の解決方法を見つけだしていく能力が問われます。そういう能力のおおもとは、子ども時代の学びかたを通して身につくものです。その意味において、中学受験をどのような学習によって乗り越えたかは、後々の人生に影響を及ぼさないはずがありません。人間形成のさなかにある受験だからです。

 学習塾は、子どもにとっての学びの環境です。そこでどういう学びかたを身につけるかで子どもの成長の流れは随分変わっていきます。家庭学習研究社で学べば、その学びかたは子どもにとって当たり前のことになっていきます。その当たり前の勉強法が、世間で立派に通用するものであるよう配慮する。それは、前途ある小学生をお預かりする学習塾の、当然の務めであろうと思っています。

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カテゴリー: 家庭学習研究社の特徴

受験で忘れられがちな大切なもの

2012 年 5 月 14 日 月曜日

 進学塾で仕事をしていると、子どもの自主性を重んじることがいかに難しいかを実感させられるものです。特に、弊社のような小学生相手の学習塾は、待つということの重要性をしっかりと認識して指導にあたる必要があります。

 受験生は、まだ幼さの残る小学生の子どもです。そんな子どもが、1年2年後に受験を迎えるのですから、気持ちはノンビリというわけにはいきません。それどころか、早く勉強にめどをつけさせてやりたいという願いから、ややもすると指示や命令で子どもを動かしたくなります。

 これは、受験勉強だけのことではありません。家庭においても同じことが起こりがちです。子どもが自発的に何かをやり出すのを黙って見守ることができず、つい口出しをしたり、手を貸したりするおかあさんはいらっしゃいませんか。親もまた、同じ苦しみと闘いながらの子育てを余儀なくされるものです。しかしながら、その苦しみなしに立派な人間は育ちません。

 今日の子どもの傾向として、「行動の主体性がなく、何ごとにつけ淡泊で、執着心をもって何かをやり遂げようとする姿勢が足りない」という指摘が多いのは、こうした大人の過剰な干渉によるものではないかと思われます。

 無論、大抵の大人は子どもに自発性や意欲的な態度をもってもらいたいと願っています。ところが、何ごとにつけても結果を早く求めがちな今日においては、ゆっくりじっくり子どもの成長を見守るということが難しくなっています。

 しかしながら、このような時代だからこそ、子どもたちに必要なものは何かをしっかりと見据え、必要な対応をすることが大人に求められているのだと思います。

 21世紀は高度知識社会であると言われます。このような社会を生き抜くために何が必要かというと、常に新しい知識を吸収して自分のものにし、時代の変化に対応していく能力です。そのような能力は、受け身の学習で育った人間には期待できません。新奇なものに興味関心を寄せ、自ら知ろうと行動する能動性なくしては、時代に流れについていくことなど期待できるはずがありません。

 私たち進学塾には、「子どもたちを合格に導く」という第一の使命があります。ただし、「どのような方法を用いても、子どもが合格すれば私たちの使命を果たせたのだ」とは思っていません。もしも合格のみを頭に置いて指導したなら、前述のような手取り足取りの学習指導に陥る危険性が極めて高くなることでしょう。

 そうなると、子どもの自主性など全く考慮の余地はなくなります。学びの主体性や推進力をもたない子どもは、中学校に入ってから、どうやって自らの勉強の舵取りをするのでしょうか。

 では、子どもが学びの自主性や主体性を身につけるにはどうしたらよいのでしょう。それを一口で説明するのは困難ですが、簡単に言えば次のようなことになるでしょう。

 毎回に授業において、私たちはいずれの教科の指導においても、子どもに「勉強って、面白い!」というプラスのイメージを浸透させるよう心がけます。勉強に対してよいイメージをもてば、自分から進んで勉強に取り組もうという気持ちが湧いてくるからです。まずは、「学習意欲」というわけです。
 また、勉強を自分で推進していくには、「学習方法」が子どもにわかっている必要があります。そこで、4・5年生には授業を通して「授業はどのように受けるべきものか」「家庭では何をどう学んだらよいか」を指導していきます。

 さらには、勉強をやらなければと思っても、テレビやゲームなどの誘惑に負けてしまう子どもがいます。この問題は、勉強を「習慣づけ」することで乗り切ることができます。いつも決まった時間に勉強することを習慣づけると、体が勝手に動くかのように机に向かえるようになります。こうなるために、「学習計画」を立てることを指導するのはもちろんのこと、授業日と家庭勉強の日を交互に組むなど、家庭勉強の習慣づけがうまく行くようなシステム上の配慮も行っています。

 他にも必要なことはいろいろありますが、柱になることを簡単にお伝えしてみました。いずれにせよ、子どもたちが自発的に学ぶ姿勢を身につけるには、多くの試行錯誤と時間が必要です。指導する私たちにも子どもを動かす情熱が求められます。さらには、ご家庭の支援が不可欠です。大変手間のかかるプロセスが避けられませんが、うまく軌道に乗ったなら、「自ら学ぶ力」を備えた人間に子どもは成長することができます。

 高度化の進んだ社会では、学んだ知識や技能はどんどん古びていきます。しかし、新しい知識や技能を自らのものにしていく術を身につけている人間は、全く心配要りません。必要なことを自分で算段して絶えず自らに取り込んでいくことができるからです。

 このような人間になる最大のチャンス。それが中学受験をめざした学習生活です。保護者におかれては、このような弊社の考えをご理解いただき、お子さんが自立した学習者になれるよう、忍耐強く応援していただきたいと存じます。お子さんが受験のプロセスで、自ら学ぶ人間に一歩近づけたなら、それこそが一番の収穫であろうと思います。何よりもそれを実感されるのは、中学進学後のお子さん自身です。

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カテゴリー: 子育てについて, 家庭学習研究社の特徴