夏休みを充実させるための合い言葉

5月 22nd, 2014

 前回は、夏の講座について書きました。これから中学受験対策の学習を始めるご家庭にとっても、すでにお子さんが弊社の教室に通っているご家庭にとっても、年間を通じて一番長い休暇である夏休みは学習のリズムをつかみ、学びの態勢を軌道に乗せる絶好のチャンスです。

 ただし、以前書いたかと思いますが、休みの期間が長ければその分逆の危険性も増して来ます。生活の乱れや遊び癖がつくなどの理由で、これまで少しずつ努力を重ねて築いてきた学習の習慣が台無しになってしまうことも多々あります。

 ある年のこと、夏休み前まで元気よく楽しそうに塾に通っていたお子さんが、9月からの通常講座開始前になって「塾に行くのは嫌だ!」と突然言い始めたことがあります。困り果てたおかあさんは、お子さんを連れて相談に来られました。どうやら、夏休み中に学校の友達と遊んでいるうちに(夏休みの講座はお休みされていました)、「何で自分だけ勉強しなければならないのか」という思いが強くなったようでした。

 「先生、塾でがんばるよう励ましてやってください」とおっしゃるおかあさんのわきで、ふてくされたように泣きべそをかいている彼の様子は、以前の彼とはまるで別人のように見えました。「夏休みの前と後では、同じ子どもがこんなにも変わってしまうか」と、驚きを禁じ得ませんでした。

 勉強はやっているうちにその面白味もわかるようになり、習慣として身についていくものです。しかし、遊びの楽しさ、特に友だち同士の遊びの吸引力ははるかに強いインパクトがあります。塾通いをしながらの受験生活中も、友だちと適度につき合い、うまく勉強面と遊びの振り分けをしてきたお子さんなら、ここまでの事態には至らなかったであろうと思います。ほんのちょっとした親の油断、お子さんの気の緩みから、思わぬ展開になってしまった事例と言えるでしょう。

 夏休みまでにはまだだいぶ時間がありますが、夏休みがやってくる前に保護者のかたに意識しておいていただきたいことがあります。それは「“けじめ”のある生活を送る」ということです。このことを、夏休みを充実させるための親子共通の“合い言葉”にしてはどうでしょうか。

 1日のスケジュールがほぼきっちり決まっている通常の時期と比べ、時間の使いかたに余裕のある夏休みは、子どもを大きく成長させるチャンスです。しかしながら、そのいっぽうでは何となくダラダラと過ごしたり、遊びにかまけたりする危険性があります。そのことを踏まえ、夏休みという長期休暇を上手に活かすには、「“けじめ”のある生活を送る」ことが求められます。

 “けじめ”ある生活を送るには、見通しをもって行動するための基準が必要です。そのことを念頭に置き、夏期講座の日程を確認し、夏休み中の行事の予定が立った段階で、早めに夏休みの行動計画を親子で相談して立てることをお勧めします。

 すでに何度か書いたことがあると思いますが、計画が実行に移せるかどうかの分かれ目の一つが「子どもが自分で立てた計画かどうか」ということです。子どもに、「自分で考えて決めたことだ」という意識があれば、当然行動面での自主性や実行力が伴ってきます。

 20140522aスケジュールを決めるにあたっては、まだ親から見て判断力が心もとないタイプのお子さんの場合、「これは、何時から何時までにすればいいと思う?」などと親が相談するスタイルでもちかけ、子どもの気持ちや意志を聞き、それから話し合って決めるようにするとよいと思います。それなら、お子さんも「自分で決めた計画だ」と思えるでしょう。かなりしっかりとしているお子さんなら、一応全部お子さんに決めさせ、それを親が見て感想や意見を出すという形式でもよいでしょう。

 勉強は、子どもにとって楽なものではありませんが、親が見守ってくれ、ちゃんとやり遂げている様子を見逃さずにほめてくれるなら、張り切ってがんばれるし、夏休みを通して計画を実行することも可能です。「けじめをつける」とは、「行動を切り替え、実行に移す」ということです。この流れをお子さんが自分でコントロールできるようになれば、生活面の全てに好影響がもたらされるのは間違いありません。お子さんは大変な成長を遂げたと言えるでしょう。

 蛇足で恐縮ですが、“けじめ”という言葉が頭に浮かんだとき、「この言葉には該当する漢字が思い当たらないが、もともとの意味は何だろう」と思いました。そこで、ちょっと調べてみたのですが、諸説いろいろで決定的な判断は下せないようです。辞書的意味では、「言動における節度」といったことになるようで、筆者が頭に置いていた意味でよいようです。用例として、「けじめを付ける」とありました。

 最後に、ちょっと面白い著述を見つけたのでご紹介します。

・・・・・・「けじめ(けぢめ)」は、伊勢物語や源氏物語にも見られる言葉で、はっきりした区別、季節などの変化の境目、隔てなど意味していた。したがって、「けじめを付ける」も、「はっきり目に見える形で責任を取る」という点が要であり、「私のなかではけじめを付けています」というのは、けじめを付けたうちには入らないのである。

 なお、「けじめ(けぢめ)」という)語源については、囲碁の用語「結(けち:駄目を押すの駄目と同じ意味)」からとも、漢語「掲焉(けちえん):くっきり際だつという意味からとも、分目(わかちめ)からともいわれ、けじめが付いていないようである。

 これによると、けじめという言葉のおおもとには「自らの責任において行動する」という意味合いがあるようで、「けじめのある生活を送る」ということは、まさに子どもが自分自身の判断と責任のもとでで節度をもった生活を送るということなんですね。

 この夏、お子さんが“けじめ”のある学習生活を送り、おおいなる成長を遂げられますように!

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