2020 年 1 月 のアーカイブ

中学受験を振り返り、つぎの学びのステージへ!

2020 年 1 月 27 日 月曜日

 年明けとともにやってきた広島県内の中学受験シーズンですが、先週土曜日(1月25日)に実施された附属東雲、県立広島、県立三次の入試をもってあらかた終了しました。ただし2月に入ってからも何校かの入試が予定されています。これらの中学校の入試に臨む受験生もおられるでしょう。最後まで気を抜かず、ベストを尽くされますように。

 受験シーズンが来るたびに思うことがあります。入試に向けた準備期間は長く厳しいものですが、いざ本番が訪れると、「一瞬のことだった」と感じるほどあっけなく終わってしまいます。この一瞬のために長期間にわたって大変な勉強を積み重ねるのが受験生活なのですね。受験生のみなさんにおかれては、志望校、本命校の入試でもてる力を発揮できたでしょうか?

 本番では、自分でも驚くほど落ち着いた心理状態で臨めるお子さんもいるものです。「この子にこんな度胸があったとは!」と驚かれた保護者もおられるのではないでしょうか。いっぽう、「この調子なら大丈夫」と思っていたのに、試験直前に至って予期せぬ緊張に我を忘れてしまうお子さんもいます。「うっかり癖」が極端に出てしまうお子さんもいます。わずか12歳前後の小学生の受験ですから、心身のコンディションも含め、様々なファクターに翻弄されてしまうのでしょう。一回勝負の受験というものの怖さを思わずにはいられません。一人でも多くの受験生が笑顔のうちに入試を終えられていることを念じるばかりです。

 なお、弊社会員受験生の入試結果については、これから集計確認の上HPやチラシ誌面で公表する予定です。それまで今しばらくお待ちいただきますようお願い申し上げます。現在掌握している主要中学校の入試結果は、ほぼ例年と同じくらいです。目につくほどの変化はありません。

 前述のように、中学入試の結果は実力通りにならないこともあります(そういうことのほうが多いかもしれません)。しかしながら、子どもたちが努力を積み重ねて培った学力に嘘はありません。また、中学受験に至る過程で養った学びの姿勢も、今後に向けて大いに生かされると思います。むしろ、中学受験をお子さんが経験されたことの意義は、こちらのほうが大きいかもしれません。重要なのは、どこの中学に進学するかよりも、先々の学びの手立てを身につけているかどうかなのですから。

 試しに、次のような項目において、どの程度お子さんが身につけたかを、ちょっと振り返ってみてください。

1.「学習計画を立て、それに基づいて家庭勉強をする姿勢」

 計画に基づく家庭学習は、中学校入学後も変わることなく要請されるものです。いや、ますます重要になっていきます。お子さんは、この姿勢をどの程度身につけられたでしょうか。中学校に入ってからでは一朝一夕に身につけられない、受験のプロセスで身につけた貴重な財産です。

2.「授業前にテキストに目を通し、見通しを立てて授業に
   臨む姿勢」

 予習は、学校での授業成果を高めるうえで大いに効力を発揮します。予習段階でわからなかったことを授業で解決しようという姿勢が、授業効果を大いに高めるからです。

3.「授業後におさらい(復習)をする習慣」

 授業後に家庭でおさらいをする習慣のある生徒は、理解に向けた努力を継続的に行っているため、本物の学力を身につけています。復習が足りない生徒は、場当たり的なテスト対策をくり返すため、力がつきません。中学からの6年のスパンで圧倒的な違いが生じてしまいます。

4.「提出物の期限をにらみ、計画的に片づけていく姿勢」

 中学校では、授業で学んだことを定着させるために相当量の宿題が課されますが、これをため込んで難渋する生徒が少なくありません。いっぽう、受験のプロセスで、提出課題の期限をにらみながら計画的にやりこなす姿勢を身につけている生徒は、この問題で苦労することがありません。

5.「定期試験に備えた準備を、見通しを立てながら行う姿勢」

 中学受験のプロセスにおいては、多くのテストを経験します。その準備の過程も重要な受験対策だったわけですが、そのことが中学進学後も大いに生かされるでしょう。試験の日程が発表されたら、それに合わせて準備をしっかりと行う。当たり前のことですが、この姿勢が強力な力になります。

 以上のことは、これまでも再三お伝えしてきたことなので簡略に書きました。どうでしょう? 親の満足レベルには届いていなくても、お子さんにはある程度身についていると思います。だいぶ昔、筆者の息子も中学受験を経験しましたが、「計画性」や「戦略性」に乏しいわが子の勉強ぶりを嘆いたものでした(アドバイスを試みると、激しく抵抗しました)。それでも、中学受験を経験したことは以後の長い学習生活において役立ったように思います(本人がそう言っています)。上記の5つをお子さんと一緒に点検してみてください。収穫と今後の課題も見えてくることでしょう。

 さて、勉強というと「集中して考え続けることだ」と思いがちです。実際、集中力は大変重要なものです。算数の難問に取り組んでいるときなど、既習の知識を様々に適用しながら解決の突破口を見出そうと必死に思考を巡らします。このくり返しによって脳が鍛えられるのですね。しかしながら、こういう思考だけでは問題解決に至らないことも多々あります。同じ視点からの思考に偏りがちで、全体を俯瞰していないからです。いっぽう、脳をリラックスさせ、ゆったりとした気持ちで問題をとらえ直すと、突如突破口が天啓のようにひらめき、問題が一気に解決することがあります。

 このように、脳は対象に気持ちを集中させているときと、休憩しているかのようにリラックスした安静の状態にあるときとがあります。前者は集中モード、後者は拡散モードなどと呼ばれています。人間はこの二つのモードを状況に応じて切り替えながら学んだり生活したりしています。

 これまでの受験勉強において、おそらくお子さんは意識の上では集中モードに基づく学習をされていたと思います。しかしながら、本人はそれと気づかず、ぼんやりと一休みしたり、トイレ休憩をしたり、ジュースを飲んだりしているときに、ふと解きかたの糸口が見つかった経験をされたことがあるのではないかと思います。実は、中学・高校と学習が高度化するにつれ、上記の集中モードと拡散モードとの使い分けが重要な働きをするようになります。両方を上手に稼働させてこそ、学習は円滑にはかどるのです。この二つの思考モードについて書かれた書物の一部をご紹介してみましょう。

 集中モード思考は数学や科学の学習に欠かせない。合理的・逐次的・分析的方法を使って問題を解くときには、この思考が直接関わってくる。集中モードは、額の真後ろに位置する脳の前頭前野皮質の集中力と関係がある。何かに注意を向けると、いきなりフラッシュをたかれたように集中モードがオンになる。

 数学や科学の学習では、拡散モード思考も絶対に必要になる。気を緩め、心をさまよわせるときの拡散モード思考のおかげで、手こずっていた問題の解き方をふと思いつくし、拡散モード思考は「大局的」見地とも関係がある。要は、リラックスすれば、さまざまな脳領域がつながるため、洞察力が増すのである。集中モードと違って拡散モードは特定の脳領域と強く連携しているわけではなく、この思考モードは文字どおり脳全体に「拡散した」状態ととらえることができるだろう。また、拡散モードの状態にあるときに問題の解法がひらめいた場合、集中モード時の「予備的」思考が基になっていることが多い。

 思考に二つのモードがあるのは、生き物が生存していくうえで必要だからです。たとえば、鳥が穀物の種子をついばんでいるときは、視点を小さな種子に集中させる必要があります。しかし、上空には猛禽類などがいて、獲物となる動物をねらっている可能性があります。そこで安全のために周囲の全体を見渡すことも必要になります。こうして、目の前の一点に注意を集中させるモードと、全体を俯瞰するモードとを交互に切り替えるようになったのだと言われています。

 中学校入学後の勉強は、始めは小学校時代の焼き直しでそう難しくありません。しかしながら、多くの私学では中2までに中学校課程を修了し、高校課程の学習へと進んでいきます。この流れにうまく乗るには、前述のような「学習の構えや姿勢」をしっかりと実践に移すとともに、様々な観点から問題をとらえ直す柔軟な思考が求められるようになります。

 集中モードは中学生高校生でも30分以上は続きません。効果ある勉強は、20~30分ごとに短い休憩をとるなど、集中の伴った勉強が継続できるよう、時間を区切って振り分けることも重要でしょう。その休憩のとりかたが、脳のリラックスモードとうまく連動すれば、なおよいと思います。これについて、上記の引用文の著者は次のような具体例をあげておられます。

拡散モードが働き出す一般的な活動
・スポーツをする。
・ジョギング、散歩、水泳
・スケッチや油彩、水彩を描く
・風呂に入ったり、シャワーを浴びたりする
・クラシック音楽やジャズのように歌詞のない音楽を聴く
・楽器を扱える人はお気に入りの曲を演奏する
・瞑想やお祈り
・睡眠(究極の拡散モード状態!)

 集中モードでがんばった自分への報酬として短時間利用する。学習の再開後に発揮する集中度は、上記の例より高くなる可能性もある。

・ビデオゲームをする
・ネットサーフィンをする
・友人とおしゃべりをする
・簡単な仕事を手伝う
・肩の凝らない本を読む
・友人に携帯メールを送る
・映画や演劇を観る
・テレビを観る(テレビをつけたままうたた寝した場合を除く)

 気分転換は時間の無駄と思われがちですが、実は上手にすると学習の効率を上げたり、グレードアップに貢献したりしてくれる重要な働きをするのですね。たとえば、筆者はこのブログの原稿を書いたり、プレゼンのパワーポイントの構成を練ったり、行事の内容を検討したりするとき、しばしば職場の近くにある袋町公園に散歩に出かけます。すると数分程で大概一つや二つの新しいアイデアが浮かんできます。じっと考えているだけではこうはいきません。

 それからお子さんの中学進学にあたり、私学の先生が警鐘を鳴らしておられたことをお伝えしておきます。それは、「わが子を携帯依存症の子どもにしない」ということです。ラインの伝言が気になって片時も携帯が手放せなくなっている生徒さんも見られます。携帯のゲームに夢中のお子さんも少なくありません(ほどほどなら気晴らしになるのでしょうが)。これでは勉強に集中できないし、成果もあがりません。。

 お子さんの学びの人生は、登山にたとえるならまだ麓を通過したばかり。これからが重要です。ただし、中学受験の経験で今後の学びで求められる大切なものの基礎は築けています。これを上手に活かしながら、効果のあがる勉強を効率的に進めていける人間に成長していただきたいですね。

 お子さんが中学に進学されると、たちまち思春期が訪れ、親にとってはまたしても大変な苦労を余儀なくされる事態が訪れますが、ここが踏ん張りどころです。子どもの反発を大きな心で受け止めてあげてください。どうしたものかお悩みのときは、「子育て以上に価値のある仕事は世のなかに存在しないのだ」とご自身を励まし、がんばっていただきたいと存じます。

 なにしろ、いかなる優れた資質も親の子育てなしに花開くことはありません。また、子どもにとっても、おとうさんおかあさんはかけがえのない最高の理解者・応援者です。自分の行き場のない感情の高まりをぶつけられる存在、そしてそれを丸ごと受け止めてくれる存在は、親以外にあろうはずがありません。辛抱強く、愛情深く、お子さんの成長を見守り応援してあげてください。

 お子さん、ならびに貴家のますますの発展をお祈りしています。

※上記引用文と、拡散モードが働き出す活動の例は、「直感力を高める数学脳のつくりかた」バーバラ・オークリー/著(河出書房新社2016)によります。

 

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カテゴリー: アドバイス, 中学受験, 家庭での教育

しぼんだ子どものやる気を盛り返すには?

2020 年 1 月 17 日 金曜日

 正月明けからすぐさま始まった広島県内の中学入試ですが、今も連日のように各中学校の入試が行われています。来週には修道と広島女学院(20日)、広島学院と清心(21日)、広島大学附属(22日)、県立広島(25日)と、受験生の多くが進学目標校にしている中学校の入試が控えています。

 入試ではコンディションの調整具合がが明暗をわけがちです。受験生のみなさんにおかれては、もはや勉強そのものよりも心と体の調整を最優先させ、これまでとあまり変わった生活をせず、普段通りの生活を心がけていただきたいですね。それが本番で全力を出し切るうえで、最も有効な対策になるからです。

 保護者の方々におかれても、お子さんが普段と変わりない状態で元気よく入試会場に向かえるよう、最後まで手抜かりのないサポートをお願いいたします。特に夜更かしをしての追い込み勉強は百害あって一利なしです。寝不足では頭脳の働きもよくなりませんし、詰込みで頭が混乱した状態になるとなおさらです。これではできる問題もできなくなってしまいます。お子さんにはこれまで通りの生活を維持させるとともに、「今ある力を精いっぱい出し切ればいいんだよ」と、励ましてあげてください。

 さて、今回は次年度以後に入試を控えておられるお子さんのご家庭に向けた話題を取り上げてみました。「どうしたら、わが子のやる気を活性化できるか」ということに、悩んでおられる保護者はありませんか? 受験生活は山あり谷ありです。かつて指導の現場にいたころには、「うちの子は、全然やる気がないんです。どうしたらがんばってくれるでしょうか?」という保護者からの相談が絶えることなくあったものです。おそらく、それは今も変わらないことでしょう。

 というのも、中学受験は高校や大学への受験と異なり、子どもに本当の意味での目的意識が育っておらず、勉強にムラがあったり、他のことに気持ちが逸れてしまったりしがちです。したがって、受験勉強が軌道に乗るまでの過程において親の苦労が避けられないからです。

 残念なことに、受験生本人は「受験するからには、何とか志望校の一つにわが子を合格させてやりたい」という親の気持ちを慮ることはありません。むしろやる気のなさに苛立ち、「もっとがんばれ!」「どうしてそんなにやる気がないの?」という親の叱咤激励を疎ましく思いがちです。その結果、心配だからこその声かけなのに、「うるさいな。耳にタコができたよ!」とばかりに言い返され、途方に暮れたことはありませんか? なかには子どもの反抗に親が興奮して逆切れし、親子喧嘩に至ったご家庭もおありではないかと思います。 実際、かつて筆者自身もわが子の受験生活で同じような経験を幾度となくしたものです。

 では、この問題の対策に妙案はあるのでしょうか? 先に申しあげると、「これだ!」というものはありません。あれば、とうの昔にどのご家庭も問題を解消されていることでしょう。ただし、対策を講じないわけにはいきません。そのための前提となることは承知しておきたいものです。それはどういったことでしょうか。少なくとも言えるのは、親心に基づくアドバイスとは言え、同じことを繰り返し言うのは逆効果を招くだけだということです。「そんな都合のよいことってあるの?」と思われるでしょうか。しかしながら、親がそういう姿勢でいる限り問題は解決しません。「うちの親はくどい」と、子どもに思わせないようにすることが、子どもをよい方向に変えるうえで重要なのだと心得てください。とくに、一方的に「こうしなさい」という命令型の関わりをくり返すことは厳に戒めるべきでしょう。まさに逆効果にしかなりません。

 ある本を読んでいたら、脳科学者が「やる気」の活性化について次のようなことを述べておられました(だいたいのことをかいつまんで要約しています)。

 やる気を生みだす脳の場所は、側坐核という部位で、脳のほぼ真ん中に左右一対あります。ここの神経細胞が活動すればやる気が出ます。ただし、側坐核の神経細胞はなかなか活動してくれません。活動するのは、ある程度の刺激が来たときだけです。つまり、「刺激が与えられたらさらに活動してくれる」ということでして……やる気がない場合でも、やりはじめるしかない、ということなんですね。そのかわり、一度やりはじめるとやっているうちに側坐核が自己興奮してきて、集中力が高まって気分が乗ってくる。だから、「やる気がないなぁ」と思っても、実際にやりはじめてみるしかないのです。

 掃除をやりはじめるまでは面倒くさいのに、一度掃除にとりかかればハマってしまって、気づいたら部屋がすっかりきれいになっていた。などという経験は誰にでもあると思います。行動を開始してしまえば、側坐核がそれなりの行動をとってくれるのですから。

 人間の取り組みの様子は、好循環と悪循環に大別されるとよく言われます。勉強のやる気も、なかなか高まらない代わりに、いったん好循環の流れを引き出したなら、すばらしい取り組みが継続されるのですね。

 ただし、受験勉強は掃除のようにはいかないかもしれません。子どもの「がんばってみよう」という気持ちを引き出し、気を入れて勉強に取り組み始めるような流れを、どうやったら築けるのでしょうか。少なくとも、机に向かって一応のことをやろうという姿勢は引き出さねばなりません。難しいことですが、それが問題です。このことを考えていると、ふと頭に浮かんだことがありました。

 私は普段あまりテレビを見ないのですが、最近たまたまテレビを見ていて感動した話がありました。それは、ブータンに招かれて農業の技術指導をしていた日本の男性が、若い国王から「農業もままならないへき地の人たちに、収穫のあがる農業のやりかたを教えてほしい」と依頼され、大変な苦労を経てこの難業に成功した経緯を取材した番組でした。

 なぜ難業かというと、村は奥深い山岳地にあり、農業には向かない立地条件にありました。そこで暮らす人たちは焼き畑農業で食物を得ていたのですが、ごくわずかな耕作地しかありませんでした。しかも大半が急斜面にありました。そんな場所で焼き畑農業をすると、次の年には燃やした木々の灰が肥料になりますが、効果は1年限り。土地はすぐにやせ、ろくに作物が実らなくなります。この悪循環がひたすら続いていたのです。「まず、焼き畑をやめなければ」と考えた日本人は、焼き畑農業の欠点を指摘し、水を引いて米作りをするよう提案しました。しかし、やり慣れた方法しか知らない村の人たちはまったく応じてくれませんでした。

 肝心の村人が受け入れてくれなければ何もできません。困った挙句思いついた方法は、解決策を押しつけるのではなく、村人たちに「どういうことに困っているのですか?」「何を改善したいですか?」という問題提起をし、彼らに生活の貧しさの根源がどこにあるのかを考えさせることでした。村人の意識改革から着手したのですね。それによって、「自分たちの問題だから、自分たちで何とかしなければ」という主体的な姿勢が生まれ、少しずつ村人の理解や協力が得られるようになりました。やがて岩がごつごつした斜面に人の手が加えられていき、何年もかけて竹をつないで川から水を引き、やがて棚田が稲の緑で潤う場所へと変わっていきました(工事を始めてからが、また大変な苦労でした)。

 この話は、受験生のお子さんへの対応においても参考になると思います。親の考えや方針をただ押しつけるのでは、子どもの奮起は引き出せません。「今の勉強に問題があるとすればどんなこと?」「決めた時間に机に向かえないのはなぜなのかな?」「復習がいやだというけど、塾がなぜ復習しなさいと言っていんだと思う?」……など、子どもの状況に応じて働きかけかたを工夫し、やる気が出ない理由を、がんばれない理由を、子ども自身に考えさせてみてはどうでしょうか。。

 そうして、親の命令でしぶしぶやる勉強から、自分自身でその必要性を自覚しての受験勉強に変えていくのです。今まで何がいけなかったのかについて、実はほとんどの子どもに相応の自覚はあるものです。親がうるさいからということを口実に、勉強から逃げるという悪循環に陥ってはいませんか? この状態から抜け出し、まずは自分からする勉強へと足を踏み出す。それに成功すれば取り組みに「積極性」が生まれていきます。好循環への流れが少しずつ形成されていくのではないでしょうか。

 話が長くなってしまいました。ここまでの話を簡単に要約してみます。また、ここまでで書ききれなかったことも若干付加しておきます。

☆子どもがやる気を取り戻し、積極的に学ぶ受験生へと導く流れ
1.「ちゃんと勉強しなさい」という押しつけをやめる。
2.やる気を出すには、とにかくやり始めることが大前提である。
3.「なぜやる気になれないのか、がんばれないのか」について、 子ども自身に考えさせる。
4.一緒に、「どういう勉強をすべきか」を親子で話し合う。
5.子どもの取り組みに自発性が芽生えたら、それを何よりも喜んでやる。
6.決めたことをやらないと気が済まない状態に漕ぎつける。この域に達したらもう大丈夫。

 中学受験において、親の苦労はつきものです。まだしつけの途中にある、完成の域には程遠い小学生の受験なのですから。同じ苦労をするなら、子どもの将来に向けた下地づくりになる苦労にしませんか? それなら苦労のし甲斐があるし、親も報われようというものです。今回の記事が、そのことについて考えていただくきっかけになったとしたら、それだけでもうれしいです。

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カテゴリー: アドバイス, 勉強について, 家庭での教育

2020「新年度説明会」「入会ガイダンス」にぜひ!

2020 年 1 月 7 日 火曜日

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 年々少しずつ実施時期が早まっている広島の中学入試ですが、本日(1月7日)の時点で私学の入試は始まっています。昨日はAICJ中学校(入試Ⅰ)、本日は広島城北中学校、広島国際学院中学校(入試①)などの入試が行われています。このあと、五月雨式に各中学校の入試が続きますが、特に20日(月)~25日(土)のおよそ1週間は、広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院などの主要私学、広島大学附属や県立広島などの国・公立の主要校の入試がたてつづけに行われる予定となっています。

 受験生のみなさんにとっては、今からのおよそ3週間が正念場です。塾の先生からのアドバイスを踏まえ、学力の最終チェックは無論のこと、コンディションの管理も怠りないようにしてください。入試の合間を縫っての塾通いも、平常心を失わずに受験に臨むうえで重要な役割を果たします。家にこもって、やり残したことを詰め込もうとすると、却って不安に揺さぶられたり、頭が疲れて窒息状態に陥ったりしかねません。自分に備わっていない力を発揮するのは難しいですが、体調や精神面をうまくコントロールすれば、誰でももてる力をすべて発揮することは可能です。そう、「実力を100%発揮する!」ということをめざしましょう。その意味において一番大切なのは、“普段通り”を維持することです。

 かつてこのブログでご紹介したことがありますが、本命校の入試に臨もうとしているお子さんに、「大丈夫。普段通りの力を出せばいいんだよ!」と声をかけたら、「先生、普段通りの力じゃここは受からないよ!」と返されて絶句したことがありました。思えば、彼はそう返答できるだけの落ち着きを保っていたのですね。見事その中学校に合格しました。

 以上のことを踏まえ、保護者におかれては、お子さんの心身のコンディションの安定に配慮していただき、ベストの状態で入試会場に足を運べるようサポートをお願いいたします。泣いても笑ってもあともうしばらくで受験生活は終わります。悔いの残らぬ受験になるよう、精いっぱいお子さんを応援してあげてください。

 さて、正月が明けるとすぐさまやってくるのが次年度に向けた募集活動です。弊社は小学生のお子さんをお預かりする「中学受験の専門塾」です。受験対策のための学習指導は4~6年生を対象に行っていますが、1~3年生には受験を前提とした学力の土台形成のための指導も行っています。前者を「中学受験部門」、後者を「低学年部門」と呼んでいます。1月には、それぞれの部門について保護者のみなさまにご説明する機会を設けています。興味をおもちになったかたは、ぜひご参加ください。

 

①低学年部門 「新年度説明会」のご案内

 弊社の低学年部門講座は、オリジナル講座の「ジュニアスクール」と、外部より導入している「玉井式国語的算数教室」の2種類があります。

 いずれも家庭学習研究社が運営しているので、共通の学力観に基づいて指導にあたっています。ただし、低学年児童期に身につけておきたい学力や学びの態勢を、どのような着眼に基づき、どのような手法で育成するかという点において、明確な違いがあります。また、ジュニアスクールは3年生のみが対象で、広島市内の4校舎で指導にあたっているのに対し、玉井式のほうは1~3年生対象で弊社の全校舎に設置しているという違いがあります。

 本催しにおいては、2つの講座のそれぞれについて、指導の仕組みや学習の内容、教材等をわかり易くご説明いたします。両方に通学可能なご家庭におかれては、それぞれの講座の特色をお確かめいただき、保護者のお考えやお子さんのタイプにあった講座をお選びいただけたなら幸いです。

 ところで、テストで常に高得点・高順位を得ているお子さんを見ると、子どもに限らず親さえも「うらやましい」と思ってしまうものです。しかしながら、成績がよい理由を、「あの子は才能があるからだ。頭がいいからだ」で片づけてしまうと、何の参考にもなりません。「なぜ、あんなによい成績がとれるのだろう」という視点から、わが子に反映できる適切な方法を見出すのが親の役割ではないでしょうか。

 弊社は、このことについて塾という立場から研究を続けています。結論を申し上げると、通常の学問レベルでの「優秀」と言われる成績は、誰でも努力しだいであげることは可能です。では、何をしたらよいのでしょうか。ズバリ申し上げると、「学習活動に適した子どもに育てる」ということです。表面的には天賦の才に見えることも、実は生活や勉強を通して得られたものが殆どなのです。ですから、「どんな生活をし、どんな勉強をしたらよいのか」をしっかりと押さえさえすれば、たいていのお子さんは学力の高い人間になれるのです。

 弊社の低学年部門は、この学習適応性を築くということをめざしています。それは、リテラシーの世界に参入して間もない、また、感覚的素養がまだ固まっていない低学年児童期にこそ可能だからです。もう一つ、低学年期の学力形成の大きな影響を及ぼすのが、「親の関わり」です。何事も親に頼っている年齢の子どもだからこそ、親の出方や対応が重要なんですね。下記にご案内している「新年度説明会」にぜひお越しください。講座の説明だけでなく、今述べたことについてもなるべく詳しくご説明いたします。お気軽にお越しください。

②中学受験部門 「入会ガイダンス」のご案内

 弊社の中学受験指導カリキュラムは、小学4年生を出発点として編まれています。ただし、それは「4年生から始めないと不利だから」「5年生以降から準備をしたのでは間に合わない」というわけではありません。平均的受験生が、基礎基本を身につけたうえで、無理なく受験対策を完成させるには、4年生から出発する(算数・国語の2教科)のが妥当だと考えるからです。

 入試で最も得点差が生じやすいのは算数ですが、それは学校の教科書の内容と入試問題のそれとに、かなり大きな難易度ギャップがあり、それを埋め合わせるための期間が必要となります。そこで弊社では、4年部のスタートから少しずつ算数の進度をあげていき、6年生の春の時点で教科書の範囲をひととおり終了することにしています。そして、そこから教科書レベルと入試レベルとのギャップの穴埋めを計画的に進めていきます。

 他教科も、基本的には同様の考えに基づきますが、理科・社会は算数ほど長い期間を必要としないため、5年部から受験対策の指導を始めています。また国語は、読解力や思考力、記述力などは単元でくくれないので短期間で集中的に対策を講じることができず、長期にわたって継続的な鍛錬や指導をすることが求められます。そこで、算数と国語の2教科の指導を4年部から開始し、5年部から理科と社会を加えていくという流れにしています。

 本ガイダンスでは、こうした弊社の受験対策における基本的な考えをお伝えするとともに、「中学受験対策の学習と生活で大切にすべきは何か」ということを保護者にお伝えしてまいります。というのも、中学受験はしつけの終わっていない年齢の子どもの受験であり、子どもに無配慮で過重な勉強を強いると、この時期に育てるべきものが疎かになったり、勉強に対する誤った観念が染みついたりする恐れが多分にあるからです。そのことに鑑みるなら、受験生は子ども自身であるけれども、半分は親の受験でもあるということが言えるでしょう。親は毎日の子育てという観点を忘れず、子どもが日々の勉強を通して望ましい成長を遂げるよう見守り応援する必要があるのです。

 子どもには将来に大きな可能性が残されています。中学受験は、その可能性をさらに広げるための挑戦なのです。このような考えや視点を保護者と共有し、受験を通じて子どもたちの望ましい成長を支援していくことが中学受験専門塾である弊社の基本的な方針です。

 本催しは校舎ごとに実施し、その校舎の責任者が保護者に直接上述のような内容も含めて詳しくご説明する予定です。お子さんが通学する、その校舎の責任者の話を直接お聞きになれば、受験勉強が始まってからの生活の状況もより具体的にイメージできるのではないでしょうか。ぜひお気軽にお越しください。

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カテゴリー: お知らせ, 行事のお知らせ