やるべきことを、やらずにはいられない子どもにするには?

2021 年 4 月 5 日

 前回は、「学びの自立」こそ中学受験を志す子どもたちに求められるいちばんの課題であるということをお伝えしました。今回はその続きを書いてみようと思います。

 受験生とは言ってもまだ小学生ですから、はじめから自分ですべてを賄いながら受験生活を送れる子どもは皆無です。本人任せにすると、たいがいはやるべきことがおざなりになってしまうのが現実です。たとえば、忙しくてしばらく目を離していたら、わが子がいい加減な勉強をくり返していることに気づき、慌てた経験のある保護者はおられませんか? 放っておくと、大概はそうなってしまうのが小学生です。そこで、継続的に子どもの勉強を見守り、声をかけたり、取り組みの手助けをしたりすることも必要になってきます。

 ただし、こうした大人のサポートは、ともすれば過剰な介入になったり、大人に依存する勉強を染みつかせたりする危険性をはらんでいます。しかしながら、子どもの自律的な学びの姿勢をスポイルする受験対策で受かったとしても、子どもは中学時進学後に壁に突き当たってしまうことについては前回お伝えしたとおりです。

 そこで保護者にみなさまにお考えいただきたいのは、「わが子が自ら学ぼうという積極性の伴った受験勉強を実現するにはどうしたらよいか」ということです。もう少し具体的に言えば、「まだ目標の達成を目指して学ぶには幼い段階にある小学生に、いかにして自ら進んで勉強する姿勢を植えつけるか」ということになるでしょう。

 ここでまず心に留めていただきたいのは、児童期の子どもは基本的に親の庇護のもとで生活しており、親の価値観に従って行動しているということです。自分の考えにこだわりをもち、親に反発しているかのように見える子どもでも、心の奥底では親に依存し、親に愛されたい、親にほめられたい、親の言うような人間になりたいという気持ちを強くもっているものです。この現実を踏まえたうえで、子どもの受験勉強に適切な関わりかたをすることが求められるのではないでしょうか。

 たとえば、子どもの自立勉強を実現する原動力は何かを踏まえた親の関わりといった観点から考えられる重要ポイントを三つほどあげてみましょう。では早速一つめから。

 まずはごく基本的なことになりますが、「生活上、自分のことは自分でする」ということができていないと、勉強の自立もあり得ないということがあげられます。

 お子さんの現状を振り返ってみてください。身の回りのことについてどれだけ自立しておられるでしょうか。たとえば、親に起こしてもらわないと起床できないといったようなことはありませんか? これでは自立勉強の姿勢を培うのは難しいのではないでしょうか。

 自立は生活の全ての側面と根底でつながっています。何でも自分でできることを自分でするのは当たり前であるという意識を子どもにもたせ、実行することを奨励してあげてください。中学受験は小学生にとって特別なことではありますが、さりとて特別扱いが必要だということではないはずです。それが甘えを助長することにつながりかねません。

 むしろ、手伝いをするのは家族の一員として当然のことであり、習い事やスポーツとの両立は一人前の人間になるうえで必須のことなのだという意識をもたせ、甘えを許さない姿勢で親は臨むべきではないでしょうか。そして、子どもがそれをちゃんとやり遂げようとする姿勢を喜びほめるのです。そうすることで、子どもは親が何を自分に望んでいるのか、どういう価値観をもっているのかを理解し、親の意向に沿おうとするでしょうし、また自分から率先して物事に取り組むことに対して誇りをもつようになるのだと思います。

 つぎは、自分がすべきことをやり遂げようとする姿勢を育むための働きかけをとりあげてみました。

 おたくでは、学習計画に基づいて勉強に取り組む生活ができあがっていますか? とは言え、多くのご家庭の悩みは「時間になっても勉強を始めない」ということだと思います。なぜなら、勉強は楽ではないし、他の楽しみと比べる魅力的とは言い難いからです。ですから、やらない子どもに「早く勉強しなさい!」という命令は逆効果であり、そこは親もひと工夫が求められるところです。

 まずはお子さんに計画的な取り組みの重要性を丁寧に説明してあげてください。たとえば、計画性が身につくと勉強を始めるときの重たい決意が不要になります。何から手をつけたらよいかで迷うこともなくなります。計画に沿った勉強をある程度続けていると、やがてやるのが当たり前になり、勉強にリズムが生まれてきます。そうなると、勉強の面白味もわかってきます。当然成果や手応えも得られるようになり、ついには「やらずにはいられない」という高いレベルに到達するのです。「誰でもそうなれるんだ」と励ましてやりましょう。

 ポイントは、お子さんに「自ら取り組む」ことの気持ちよさを味わわせることです。いつまでもテレビを観ていたら、「あれ? 勉強の時間が来たみたいだね」と、叱らずにお子さんを促すのです。誰だって、よいことは「自分からしている」と思いたいもの。そういう子どものプライドに配慮する声かけが有効なんですね。そして、やり終えたのをさりげなく見届け、「よくやっているね」「感心だね」などとほめてやるのです。親に言われてするのとは格段に違う心地よさが勉強の実行力を後押ししてくれることでしょう。ここまで配慮するのは大変ですが、うまくいけば子どもの自立に向けて大変な収穫を得ることになります。

 三つめは、学習に取り組む姿勢のみならず、生きるうえでの姿勢を育む意味においても、非常に重要な親の働きかけであろうと思います。

 テストの成績を親からほめられるのは、どの子どもにとってもうれしいものです。ただし、親の評価が「成績が悪いと叱られる」ということとセットになっている場合、子どもの健全な成長を促す方法とは言えないかもしれません。というのは、「親は成績さえよければ嬉しいんだ」などのように、間違った観念を植えつけることにもなりかねません。ズルをしてもよい成績をとろうとするようになるかもしれません。

 いっぽう、成績も気になるところではありますが、子どもへの評価の基準を、「どれだけ努力していたか」に置くことをお勧めしたいと思います。これなら子どもは親にほめられる喜びをはるかに多く味わえるのではないでしょうか。成績はある程度上がると、そうは上がらなくなるものです。するとほめるチャンスはぐっと減ります。しかし、努力を見てほめるのなら、いくらでもほめてやることができるでしょう。成績でほめるよりも、結局はこのほうが子どもを伸ばすことになり、さらには陰ひなたのない健全な人間に成長させることにもなるでしょう。成績を見てほめられるよりも子どもは努力をほめられることを喜びますし、親のそういう姿勢は子どもの信頼や尊敬にもつながるに相違ありません。

 

 以上の三つは、親にとって負担や忍耐を強いるかもしれません。しかしながら、子どもの自立を促すだけでなく、高い次元の学問領域に到達するうえで欠かせない学びの姿勢を育んでくれることにもなります。また、子どもを健全な人間へと成長させることになりますし、親子間の強固な信頼関係を築いてくれることにもなるでしょう。

 中学受験は、当面の志望校合格を視野に入れてするものですが、言うまでもなく根底には子どもの将来の歩みに対する親の夢があります。その夢が実現するかどうかは、実は受験の結果で決まるのではなく、「受験をめざした生活を通して、人間としてどう成長したか」ではないでしょうか(さらに言えば、学びの自立をある程度実現した子どもは、大概行きたい学校の一つには受かるものです)。無論、学力形成面でのお手伝いは学習塾が精一杯応援させていただきます。保護者におかれては、お子さんの自立に向けた支援というスタンスで一貫した見守りとサポートをお願いいたします。

 

 ともに協力して、お子さんが学力面でも人間的な面においても大きく成長する受験生活を実現したいものです。ご理解ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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