2022 年 11 月 のアーカイブ

年長対象「冬の体験授業会」のご案内 12/10・17

2022 年 11 月 24 日 木曜日

 もうすぐ師走ですね。1年が経つのはほんとうに早いものです。現在、各学年とも冬期講座の募集をしていますが、今回は年長児を対象とする「冬の体験授業会」のご案内をしようと思います。弊社の三篠校(12/17)と広島校(12/10)で実施する、1日だけの催しです。

 年長児というと、来春小学校に入学する子どもたちです。「何と気の早いこと!」と驚き、あきれられたかたもおられるかもしれませんね。なぜ年長児を対象とした催しを実施するのかについては理由があります。それは、これから児童期に足を踏み入れる子どもたちに、できるだけ早くから才能の芽吹きに向けた刺激を与えたい学習領域があるからです。子どもたち自身にその自覚は必要ありません。体験授業会への参加を通じて、保護者の方々に「どんな領域の才能を、どのような学習や体験によって開発可能か」をお伝えするのが主な目的の一つです。また、子どもたちには考えること、工夫すること、発見することの楽しさを実感する体験を提供したいと考えています。

 この「冬の体験授業会」は、弊社が設置している「玉井式国語的算数教室」(小学1~3年生対象)の導入的な体験をしていただく内容となっています。今回は、時計と立体を学習しますが、まだ就学前の段階であることを考慮した内容ですのでご安心ください。どのお子さんも楽しく学習できるでしょう。なお、この講座は中学受験指導部門(4~6年生対象)がカリキュラムも教材もすべてオリジナルで展開しているのに対し、京都在住の教育クリエイターである玉井満代先生が創設された、低学年児童向けの才能開発講座を導入したものです。玉井式についての詳しい情報は、ホームページでお伝えしています。さらに詳しい情報を得たいかたは、案内書等をお取りよせのうえお確かめください。また、この体験授業会の参加要項は、ホームページにございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 玉井式を弊社が導入しているのは、言葉(話し言葉・書き言葉)をもとに状況をイメージする力や、図形の空間把握能力、イメージ操作能力などに優れた効果を発揮する講座だからです。これらは、中学受験での志望校合格だけでなく、さらに先の学力形成にも欠かせない能力です。

 言語に関わる能力(結晶性知能)は、児童期前半までの生活や学習で素養が磨かれます。中学受験レベルの学習で求められる抽象的な思考のステージへと子どもたちがうまく移行していけるかどうかも、この段階までにおおよそ決まります。子どもたちは、小学校入学からのおよそ3年間で、文字の字形と発音の関係を学び、簡単な文の読み書きができるようになり、さらには黙読ができるようになり、自分で本を読んでストーリー展開を楽しめるようになります。一人ひとりのリテラシー能力の上昇カーブがどのようであるかは、そのプロセスで決まっていきます。 

 また、算数の学習で明暗を分けがちな図形単元や速さの単元で求められる感覚的素養(流動性知能)の発達は、幼児期から9歳ごろまでの遊びや学習が深く関わっています。冬の体験授業会においては、保護者対象の説明会を子どもたちの授業と並行して実施し、このことについて具体的にわかり易くお伝えしたいと考えています。いわゆる理系頭脳に長けた人間になれるかどうかは、この流動性知能の発達と密接に関わっています。こうした方面の能力が磨かれつつあるかどうかの判断は簡単ではないため、結局何もしないまま高学年に至る児童が少なくありません。中学受験対策の学習で、図形単元の学習が始まると、それが得意な子どもとそうでない子どもとが色分けされますが、その時点ですでに能力として決着がついており、あとから伸ばすのは難しいという問題があります。弊社が玉井式を導入しているのは、子どもたちに算数・数学で求められる素養を、適切な年齢期に適切な学習をすることで磨いてほしいと考えたからです。

 以前もお伝えしたことがあるかと思いますが、言語系の知能(結晶性知能)は、思考によってものごとを解決していくあらゆる場面で必要とされる知能です。いっぽう、図形や速さなどの単元で威力を発揮する感覚的素養(流動性知能)は、言語を介さない、一瞬の反応や識別が求められる神経系の知能です。これらの素養の身につけかたは、男女それぞれに違う面があります。そのことについて、簡単にご説明しておきましょう。

 

1.言語性知能(結晶性知能)

 どちらかというと、女子のほうの発達カーブが早く、一般に男子よりも思考の高度化も早めに進みます。抽象的思考は4年生ぐらいから発達していきますが、中学受験をめざす子どもたちにとっては、その段階に早めに漕ぎつけることが必須の要件となります。12歳の段階で、かなりの長文を2つ試験の制限時間内に読み通して問題に答えなければなりません。読むのが遅く、理解も浅ければ、とても太刀打ちできません。男子にとっての課題は、活字の連なりを目で追っていきながら、現実場面のように具体的にイメージしていく力を低~中学年までに養っていくことです。2年生頃から活発化する読書は、この力を養ううえで大きな力となります。玉井式では、長文を読んで描かれている状況をイメージし、物語に組み込まれた算数課題に答える形式の学習で、この言語性知能を磨くユニークな手法をとっています。

2.神経系知能(流動性知能)

 一般にこの種の能力は男子に分があり、女子は苦手なケースが多いとされています。しかしながら、それは幼児期の遊びの種類が男子と女子では大きく異なることに起因している面があります。男子は動くもの、形あるものに興味を惹かれ、いじったり、組み立てたり、壊したりを延々繰り返すことで、知らず知らずのうちにそういった方面の知能が磨かれるようです。いっぽうの女子は、自由に遊ばせると、男子が好むようなものに興味を示しません。静かで動きがなく、色彩豊かなものに惹かれる傾向があります。着せ替え人形遊び、塗り絵などがそれにあたるでしょう。描画においても、男子は車やロボットなどを好んで描きますが、女子は動きのない綺麗なものを好んで描きます。その結果、知らず知らずのうちに流動性知能の発達に男女差が生まれる面もあるようです。

 

 1と2の発達において男女差があるのは、ここでご紹介した理由だけではありませんが、主な理由の一つではあります。また、男子でも言語性知能がきわめて高い例がありますし、そのいっぽう、算数の感覚的素養が問われる課題をきわめて苦手にする例も結構あります。女子についても、国語を苦手にする子どもが一定数いるいっぽう、算数の感覚的素養においてすばらしい能力を発揮する子どももいます。

 玉井式の講座は、男子の読解力不足、女子の感覚的素養の不足が中学受験でのブレーキにならないよう、低学年児童期に必要な体験を提供するために12年ほど前に導入したものです。現在の高学年部門の成績優秀者に、一定数玉井式の出身者がおられますが、もっと成果をあげてその数を増やしたいと考えています。刺激を当てるのは、頭脳の柔らかい年齢期が望ましいのは事実です。通学等の問題もありますが、年長児にそのよさを知っていただき、小学校入学の段階でご縁をいただけたらという考えもあり、今回の体験授業会を企画いたしました。

 近年は、日本でも理数系に強い女性が求められています。また、世の中の変化がすすみ、「女子に学問(特に数学)は不要」などといった偏見も少なくなっています。「伸びるものは伸ばしてやりたい」という風潮が進んでいますから、チャンスさえ与えれば大いに能力を飛躍させる女子児童も多いことでしょう。学問に対して真面目なのは男子より女子ですから、大学受験でも最近は女子のほうが成績的に優勢です。おまけに理数系に長けた女子が増えれば、男子は追いやられかねません。その意味において、男子の場合はリテラシーの確かな基盤形成として、低~中学年児童期の学習が今後大いにクローズアップされることでしょう。男子にせよ、女子にせよ、お子さんをおもちの保護者にとっては「しっかりとした人間性と能力を携えた人間に成長してほしい」という期待をおもちであろうと思います。それを具現するにあたっては、男子と女子の能力開発における課題を理解し、適切な経験をわが子にさせることが大切だと思います。

 この度実施する、玉井式の年長「冬期体験授業会」に参加してみませんか? お子さんには目新しい場所での学習体験がよい刺激になるでしょう。保護者には、低学年期に求められる学習について、もう少し詳しい情報をお届けいたします。ぜひ参加くださいますよう、ご案内申し上げます。

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児童期までは、子どもを励ますのを忘れずに!

2022 年 11 月 21 日 月曜日

 朝方は随分寒さを覚えるようになりました。再びコロナウィルスの感染者が増加しつつあるようです。みなさま、十分お気をつけください。今回は、おもに小学校低~中学年をおもちの保護者に向けた内容となっていますが、高学年のお子さんの子育てにも言えることだと思いますので、よろしければ目を通してみてください。

 児童期までの子どもは、親の意向を気にします。そして、親のOKサインを見て安心し、落ち着いてものごとに取り組めるようになります。そこで保護者に留意していただきたいのは、「わが子を上手に励ますことを忘れない!」ということです。児童期のうちに、多少困難なことでも勇気を出して実行し、そして最後までやり通す姿勢をもたせるには、親が繰り返し子どもを励ましてやることが必要です。みなさんは、常日頃わが子を励ますことを念頭に置き、お子さんに接しておられますか?

 ただし、難しいのは「どういう言葉で、どのように励ますか」です。そこで今回は、わが子への励ましかたの原則について、多少例をあげながらお伝えしてみようと思います。

 

 同じ励ましを意図した声かけでも、言葉一つで子どもが受け止める印象は随分変わります。つぎの二つのうち、どちらが子どもを勇気づけるでしょうか。

A.見掛け倒しの簡単な問題よ。こんなの、あなただってできる
  でしょ!
B.なかなか難しそうな問題だね。よくがんばっているね!

 おそらく、Aの声かけだって子どもに自信をもたせようというつもりで出たものだと思います。しかし、これだと「あなたはこんなのもできないの!?」と揺さぶられているように感じるお子さんもいるでしょう。子どものネガティブな感情に刺激を与えてしまいます。いっぽう、Bの声かけだと、子どもは自分の前向きな取り組みを認めてもらっている気がして、意欲を高めるのではないでしょうか。子どもの側の気持ちを汲み取った励ましの言葉を投げかけてやりたいものですね。

 

 子どもがうまくやれないで難渋しているときは、その部分をクリアできるよう少しばかり手伝ってやり、「よし、ここまでちゃんとやれたね。もうだいじょうぶよ!」などと明るく励ましてやりましょう。また、1と同じで「難しいことにチャレンジしているね」と、子どもの気持ちに沿った言葉かけをすると、より効果があるでしょう。子どもにとって、既習内容が少しでも発展的な形で問われると、実際よりも難しく感じるものです。助走部分でサポートをしてやり、「あとは自分でできそうかな?」と、優しく背中を押してやると、子どもは励まされた気分になるし、もっとやってみようという意気込みも得ることができるでしょう。

 

 たとえば学習の計画を立てるとき、低~中学年のうちは自分で適切な判断ができないことが多く、つい親の考えを優先して割り振りを決めてしまいたくなるものです。しかし、「学校の算数の宿題、夕食の前にしたほうがよいと思う? それとも夕食のあとにしたほうよいと思う?」と、子どもに考えさせるようにしたいものです。ついでに、「どっちが気持ちいいかな?」など、少しばかり考えの道筋に方向性を与えると、多くの場合、子どもは親の望んだほうを選択する傾向があります。特に日本の子どもはおかあさんの意向に強く影響されるのが特徴です。さりとて、親の関わりは、あくまで子どもの自立促進のためです。そこで、「先に面倒なことを済ませたほうが気持ちいいよね!」と同調し、「あなたなら、この計画をちゃんと実行できそうね!」と子どもを信頼した声かけをしてやりましょう。子どもは励まされた気持ちになってがんばれるでしょう。

 

 親は、とかく子どものダメな部分にばかり目が向きがちです。字が汚くて乱雑、最後までやり通さない、ミスが多い、決めた時間が守れない……。小学生には、特に男子のお子さんにはこういったことがつきものですが、イライラして厳しい言葉ばかり浴びせても、逆効果を招くのがおちです。子どもには、欠点やあらがつきものですが、よく見るとよいところも必ずあるものです。ちゃんとやっているときは、絶対にそれを見逃さず、大げさなくらいほめてやりましょう。「きれいな絵が描けたね!」「この問題、よく解けたね!」「片付けてくれてありがとう。助かったよ!」などの賞賛や感謝の言葉をかけてやり、そのうえで「これができたんだから、この間のミスも気をつければ防げたよね!」など、建設的な姿勢で欠点修正に向けて励ませば、きっとお子さんは自分のいけない点にも目を向けて改めるようになると思います。

 

 親は特に意識していなくても、無意識のうちに自分の期待する方向に子どもをコントロールしようとし、そのために子どもの現実を越えた要求をしてしまいがちです。これは親心に他なりません。しかし、子どもには今の力量にあったペースというものがあります。それを越えた要求を突きつけると、子どもはまごついたり、自信を失ってしまったりするおそれがあります。今のペースをまずはよく見極め、とにかくゆっくりでもやっていることを評価してやり、少しずつの進歩を引き出すべく粘り強く励ましてやりましょう。ゆっくりタイプの子どもに他との比較は禁物です。努力を継続しているうちに、必ず急速に進歩する段階がやってきます。

 

 ゆっくりでもいいから、自分のペースでよいから、何事も最後までやり切るようわが子を励ましてやりましょう。そして、それが親のいちばんの期待なのだと伝えてやりましょう。無論、最後までやり切ったなら、それを親が一番喜んでいることを伝え、大いにほめてやりましょう。難しいことをやったのではなくても、とにかくほめるのです。そういう親をもった子どもは幸せです。ものごとを最後までやり抜く力こそ、人生を生き抜くうえで最も重要な宝物であり、中学高校生になってから身につけるのがきわめて難しい資質に他ならないからです。「最後までやり抜こうとする姿勢」は、親を絶対的に信頼し、親の望むような人間になりたいと願っている児童期だからこそ、わが子に与えてやれるものなのだということを忘れないでください。

 

 親としてはそんなつもりはないのに、わが子のことになると支配的な態度になったり、批判的になったり、果ては脅し文句のようなことを言ったりしがちです。子どもの自主性や行動力を育てるには、子どもを一人前の人間として扱うことが必要です。子どものプライドを損なうような対応は、子どものやる気や努力の芽を摘み取るだけです。

 なお、親のほうは「~してごらん」という声かけを、励ましのつもりでしたのに、子どものほうは命令や強制と受けとめることもあります。表情や声のトーンで印象も随分変わりますから。「そんなことを言ったって、これは私のキャラクターだし、地声なので…」とおっしゃるかたもあるかもしれませんね。しかしながら、大事な声かけのとき、常に子どもの目を見て言葉をかけていれば、このような気持ちのすれ違いは起こりません。互いの目を見ての話し合いは、互いの真意を受け止めるための最善の方法です。親は家にいても忙しく働いています。ですが、片手間の会話は子どもの心に響きません。大事な話は互いの目を見ながら伝え合いましょう。そういう経験を積み重ねた親子に意志の齟齬はありません。

 いかがでしょう。親の励ましは、子育てのなかでも重要なもののひとつです。子どもの物事に取り組む姿勢や、行動力、ひいては生きかたにも大いに影響するからです。いつもうまく励ましてやれるとは限りませんが、上述のこと踏まえて子どもを励ましていれば、自ずと子どもは親の考えや価値観を吸収していきます。この働きかけは、子どもの児童期までが勝負です。何度も申し上げましたが、思春期になってからでは親は関与できません。今こそがんばっていただきたいですね。

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「入試直前!受験応援イベント!」12/4模試会場で開催

2022 年 11 月 13 日 日曜日

 11月19日と22日に開催予定の「秋のおかあさんセミナー」は、申し込みの受付を開始してすぐに定員に達したため、締め切りました。参加を希望されたかたで、お申し込みになれなかった保護者もおありでしょう。誠に申し訳ありません。また、たくさんの方々に興味をもっていただき、ありがとうございました。参加いただいた方々に手応えを提供できる催しとなるようがんばりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、11月の6日(日)には、6年生対象の「第4回中学入試模擬試験」を開催いたしました。入試本番も徐々に迫ってきていますので、受験生のみなさんも以前に増して気合を入れてこの試験に臨まれたことでしょう。仕上げ段階の模試ですから、模試のデータ・資料や返却された答案を入念にチェックし、教科や単元ごとに何をてこ入れすべきかをつまびらかにすることが大切です。お子さんとよく話し合い、わからない点や困った点があったなら迷わず指導担当者に相談してください。

 大人は入試までに残された日数や時間に基づいていろいろと考えます。まだ十分に準備ができていないところをチェックしているうちに、「あれもやっていない、これもまだよ」と、焦りの気持ちを言葉に出してお子さんを揺さぶってしまうこともあります。落ち着いて、冷静な態度でお子さんと話し合い、地に足の着いた仕上げ学習が実践できるようサポートしてあげてください。

 子どもというものは、親の態度に反応します。いわゆるミラーリング効果がよくも悪くも生じるものです。親は泰然自若とした姿勢を一貫してもち続け、お子さんがやるべきことをしっかりと見定めて勉強に臨めるよう配慮してあげてください。女子のお子さんは、入試の時期が迫ってくるとネガティブ論者になり、悪いほうにばかリ気持ちが傾きがちです。保護者、特におかあさんは、たとえ模試の成績が思うに任せぬ結果であっても、「だいじょうぶよ。今までがんばってきたんだから。自分を信じて、今からできること、やるべきことを最後までやり抜けばいいのよ」と、笑顔で明るくお子さんを励ましてあげていただきたいですね。そんな親の態度は必ずお子さんによい影響を及ぼします。

 さて、今回のブログ記事は、12月4日に予定されている模擬試験最終回(第5回)当日に実施する、受験応援イベントについて書いてみようと思います。ご承知かと思いますが、毎年弊社の模試試験の最終回は、男子は修道中・高、女子は広島女学院中・高を会場に実施しています。修道と広島女学院は、広島で最も認知度の高い代表的な私学です。模擬試験参加生のなかには、第一志望にしているお子さんも少なくありません。また、両校は広島随一の歴史と伝統をもつ6か年一貫教育の男子校と女子校です。入試が迫った時期に、両校の校長先生から私学という教育環境の特色について直接話が聞ける場や、励ましの言葉が聞ける場を設けたら、お子さんがたが模試を受けているときの待機時間を随分と有用なものにできるでしょう。そういった趣旨で企画した催しです。

 無論、模試の受験生は弊社会員だけではありません。すべての受験生保護者を対象とした催しにし、私学情報や受験での合格に向けたアドバイスを発信するのが筋だと考えました。よって、対象者は弊社の第5回模試試験参加生の保護者全員としたしだいです。受験生はまだ小学生ですから、お子さんの送迎をされる保護者もたくさんおられると思います。お子さんを待つ時間を有効に活用する意味でも、ぜひこの催しをご利用ください。

 以下は、ごく簡単な催しの要項です。会場の混雑等も考えられますので、「申込制」としております。詳しい案内や申込方法は弊社のHPに掲載しておりますので、それを参考にしてください。なお、この催しは無料となっております。

 

 なお、お申し込みの受付は、修道編・広島女学院編ともに11月21日(月)12時開始となっております。収容人員に達し次第締め切らせていただきます。ご了承ください。

 受験本番までに残された時間は約2カ月。それは誰にも平等にあるのですから、密度の濃い、集中力の伴った学習をいかにして実践するかが成否を分けることになります。小学生が自己を燃焼させるほど勉強に打ち込める期間はせいぜい2~3ヶ月。高校や大学への受験をめざす生徒ほどには長くありません。しかし、今こそそのときがやってきました。受験生のみなさんが、今から全力を出し切って入試仕上げ学習に専念し、最高のコンディションで入試本番を迎えられますことを、心より念じています。

 上記の催し当日は、私学の先生と私どもとで受験生家庭への応援メッセージもお届けします。また、本番でどれだけパフォーマンスを発揮できるかも、入試結果を大きく左右します。本催しの最後は、実力を出し切るための有効な方法についてもお伝えする予定です。ぜひ参加ください。

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子ども時代に浸透させておきたい考えかた

2022 年 11 月 6 日 日曜日

 前回は、「秋のおかあさんセミナー」の予告記事を掲載しました。毎年夏休み前に「夏のおかあさんセミナー」という催しを実施していますが、「秋の」と冠した保護者対象のセミナーは初めての実施です。これは、お子さんの知育に関する重要事項は1回きりの催しで到底網羅できるものではないため、可能であれば別の時期にもやってみようと考えたしだいです。無料ですが、わざわざ足を運んでいただくのですから、参加者に手応えを感じていただける催しにしたいと思っています。筆者は児童期の学習と子育ては連動すべきものだと考えています。学力形成と人間的成長をどうバランスさせるべきか。このことに興味をおもちの保護者はぜひご参加ください。

 さて、今回は児童期がものの考えかたや価値観の定まる時期であることを踏まえ、親がわが子にどのような視点に基づいて関わるべきかをお伝えしようと思います。弊社の教室に通って勉強している子どもたちは、ほぼ全員が中学受験をめざしています。つまり弊社はいわゆる「進学塾」の看板を掲げる学習塾ですが、この種の学習塾では必ず定期的にテストを実施します。学力の現状を把握するとともに、一定の範囲で学んだ事柄がどの程度身についたかを検証する必要があるからです。

 当然ながらテスト後に「成績」が提示されます。子どもの現在地を把握するための「順位」も知らされます。100点満点での得点のみが指標なら、全員が高得点を挙げていればもれなくハッピーになれますが、これでは合格への見通しは得られません。そこで相対的評価基準が必要になります。順位はそのためにお知らせする資料です。ただし、100人テストを受けたら1番から100番まで存在します。したがって、励みにもなればショックを受けることにもなります。弊社では2週間に1回の割合でテストが行われるので、その度に喜んだりがっかりしたりするお子さんもおられることでしょう。

 もしもあなたのお子さんが、思わぬ悪い点数や順位を取ってきたら、どのように対応されるでしょうか。現に、そういう経験を何度もされている保護者もおられるでしょう。成績や順位を突きつけられる経験は、中学受験後も数多く繰り返されます。よくないテスト結果をどう受け止めるかは、子どもたちの人生の歩みにも少なからぬ影響を及ぼしますから、大人が十分に配慮する必要があるでしょう。

 では、「自分が招いた結果」について、子どもの頃に浸透させておきたい考えかたとはどういうものでしょうか。よくない結果が続くと、大概の人間は「自分には能力がない」という悲観論者になりがちです。それは果たして妥当な考えかたでしょうか。問題は、やるべきことを準備していなかったからかもしれません。たとえばテストに出される問題は、きちんとした手順を踏んで学んでいればクリアできる水準のものです(すべての問題は無理としても)。重要なのは、テストに臨むまでのプロセスを振り返ることではないでしょうか。つねに最善を尽くすことではないでしょうか。心理学者による多くの実験で、「人間は手応えを得られないことが続くと、学習性無力観に陥る」という結論が導き出されています。しかし、そういう流れに抗い、自分を立て直す強さをもつべきでしょう。実際にそれを実践して、人生の目標を達成した人は多数います。

 アメリカの心理学者アンジェラ・ダックワースは、自分にとってよくない状況を「どうにもならない」という固定思考でとらえると悪循環に陥ってしまうが、「いずれ何とかなるさ」という成長思考でととらえると、新しい試練が訪れても臆せずに立ち向かえるようになるため、更なる強さが培われると述べています。

 それを裏づける根拠があります。脳の発達に関する研究で、ミドルティーンやハイティーンの年齢の子どもでも、知能のスコアが向上することが確認されています。たとえば、数学の学力が伸びた生徒は、脳の中でも数学に関連する領域が強化されており、英語の学力が伸びた生徒は、言語に関する脳の領域が強化されていたと言います。また、新しい課題を克服しようとがんばっていると、脳はそれに応じて変化することも確認されています。さらに、脳は完全に「固定」してしまうことは一瞬もなく、生きている限り、神経細胞は互いに新しい結合を増やし、既存の結合を強化する能力をもっていると言います。つまり、人間の脳は常に進歩発展する可能性をもっているのです。こうした所与の能力を信じ、「やればいずれ何とかなる」という前向きで建設的な考えを子どもに授けてやりたいものですね。

 親は子どもが散々なテスト成績をもらったとき、つい「これはいったいどういうことなの!?」と怒鳴ったり問い詰めたりしたくなるものです。しかし、それが続くと子どもは意欲を根底から失ってしまったり、「自分はダメな人間だ」と自己卑下をしたりする人間になりかねません。「あれ?今回はやらかしてしまったね。うーん、残念だね。どうしてこうなったんだと思う?」などとフォローしたならどうでしょう。子どもはそんな親の対応に落ち着きを取り戻し、自分なりの振り返りをする心理的余裕をもつことができるでしょう。また、「つぎはがんばるからね!」と奮起するかもしれません。

 親は「きっとできる」という信念をもち、どんなときにもわが子の立ち直りを信じて励ましてやりましょう。いきなり変わることはできなくても、少しずつ向上することは間違いありません。そんな親のもとにいる子どもは幸せではないでしょうか。どんなときにも自分の味方であり、自分を信じている人がいる。しかもそれが自分の親なのですから!

 何度もお伝えした記憶がありますが、児童期は人生の原風景を築く時期です。「悲観論者になるか、楽観論者になるか」、「すぐにあきらめる人間になるか、粘り強く最後までやり遂げようとする人間になるか」も、児童期までの親子の関係性が少なからず影響するでしょう。親と一緒の時間は、他の誰と一緒にいる時間よりも長いのですから。逆境にへこたれない、強い人間にわが子を育てたいものですね。

 7月1日に実施した「夏のおかあさんセミナー」の結びとして、前出の心理学者の「大人になって成功や失敗をしたとき、その原因を自分の才能に結びつけるか、それとも努力に結びつけるかは、子どもの頃の『ほめられかた』で決まる確率が高い」という言葉を紹介しました。どうほめるかは、わが子の人間形成にとって少なからぬ影響を及ぼします。「秋のおかあさんセミナー」はそのことをテーマに掲げました。

 失敗を能力のせいにせず、自分の努力に帰する人間になることが、当面の中学入試突破につながるだけでなく、前向きな人生を送れる人間になるための重要なポイントでもあります。わが子が自分の可能性を信じる努力の人となるよう、ほめかたについて一緒に研究してまいりましょう。

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