今年も受験シーズンがやってきました!

2023 年 1 月 6 日

 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 2023年が始まったばかりですが、昨日(1月5日)は、早速広島城北中学校の推薦入試が行われました。そして今日(1月6日)は山陽女学園中等部の入試(入学試験A)が行われています。以後、毎日いずれかの中学校の入試が予定されています。有力私立一貫校の入試は、1月21日(土)に修道・広島女学院、22日(日)に広島学院・ノートルダム清心で実施されることになっています。さらにその翌日(23日)は共学志向の受験生の憧れである広島大学附属の入試が行われますので、このあたりが受験シーズンのピークとなります。

 近年は公立一貫校も人気を得ています。1月15日(日)には市立広島中等教育学校、1月28日(土)には県立広島中学校の入学者選抜が実施されます。これらの中学校を第一志望にしている受験生も少なくないでしょう。

 第一志望校の入試は、これまでの努力の成果を結集して勝負をかけるときです。その日に体力と知力のバランスが最高となるよう調整していきましょう。

 ところで、厳寒期の入試においては気象状況も気になるところです。昨年の12月後半に、全国各地でかなりの大雪が降りまました。たしか12月23日だったかと思いますが、広島市北部の国道の路面に終日雪が残っていたのを久しぶりに見ました。この日の朝、いつも通り家を出たものの雪道の渋滞がひどく、勤務先への到着は3時間近く経った頃でした。これが受験生の入試日だったら大変なことになったことでしょう。年が明けてから雪は降っていませんが、これからが降雪の多い時期です。保護者におかれては気象状況をしっかり把握し、入試当日に慌てることのないようご注意ください。

 また、無理して夜中まで起きての勉強は心身のコンディションを崩す原因になりがちです。体調を崩すだけでなく、精神的にも不安定になりがちです。どなたも試験などで経験がおありかと思いますが、「あれもこれも」と手をつけていると、焦りや混乱に見舞われて実力を発揮できなくなります。

 もう一つ。受験につきものの「緊張」について。おおよそ、試験で緊張しない人などいません。大人だって緊張します。まして、12歳の小学生の受験です。「緊張に襲われたらどうしよう」と、親子共々不安な思いをされているご家庭もあるかもしれません。そこで、本番の緊張を乗り越えるためのアドバイスをさせていただこうと思います。

 

入試で緊張を乗り越えるための心得

1.緊張は受験生の敵ではなく、むしろパフォーマンス発揮に
  役立つ味方なのだと
考える。

 人間が緊張するのは、危機意識が働いたときです。すると脳のセンサーが鋭敏になり、最もよく働く状態になります。みなさんも経験がおありと思いますが、ある程度緊張がないと集中力や気合は働いてくれません。有名なスポーツ選手の言葉もそれを裏づけています。

・テニスの世界ランキング選手になった錦織選手
 「毎試合、緊張しますけれど、それは決して悪いことではないと思うし、その緊張も力に変えられるようになったら強いですよね」
・サッカーの英国プレミアリーグで活躍した岡崎選手
 「全ての試合で緊張します。重要な試合に限らず、日々の試合も全て、緊張して当然。逆に緊張しないとまずいと思います」
・アメリカのメジャーリーグで活躍したイチロー選手
 「緊張しない人はダメだと思う」(緊張は本気で集中している証拠だからということでしょう)

 緊張を恐れて逃れようとする人ほど緊張に押しつぶされて失敗しがちです。緊張を味方にできる人が実力を発揮できるんですね。「緊張は必要なことだ」と、お子さんに伝えてあげてください。

 

2.「緊張はパフォーマンス発揮に役立つ」と知っているだけ
  で、試験の成績は上がる!

 つぎのような実験の結果があります。ハーバード大学で、60人の学生を二つのグループに分けて数学の試験を行いました。片方のグループには、「緊張はパフォーマンスを高める」という説明をし、もう片方には何の説明もしませんでした。さて、結果はどうなったでしょう。

 説明しなかったグループの平均点は705点でしたが、説明をしていたグループの平均点は770点でした。つまり、「緊張はパフォーマンスを上げる」ということを知っているだけで、緊張によるマイナスの影響を取り除き、逆にパフォーマンスを上げる効果を引き出すのです。お子さんに、「緊張は実力発揮に役立つ」ということを念押ししてあげてください。

3.過度の緊張を押さえるよい方法は深呼吸です。

 それでもいざ本番になると、ドキドキがひどくなることもあります。そのときは深呼吸がお勧めです。「そんなことは知っている」と思われたでしょうか。ところが、大半の人が一気に息を吸い、一気に吐いてしまうために深呼吸による効果を得ていません。これでは呼吸が浅くなり、却って緊張を強めてしまいます。5秒かけて鼻から息を深く吸い、10秒かけてゆっくり口から吐き、さらに5秒かけて肺にある空気をすべて出し切るのです。

 なぜ深呼吸が有効なのでしょうか。交感神経が優位にあると緊張が高まり、副交感神経が優位にあるとリラックスモードになります。深呼吸は、副交感神経の働きを促進し、過度の緊張をリラックスさせてくれる効果があるからです。本番のときに深呼吸を何度か繰り返しましょう。そのときに、「自分はやれる」と心の中でつぶやくと、よりリラックスできます。

 そのほか、十分ご承知かと思いますが、老婆心ながらのアドバイスも付け加えておきます。まず試験中の服装ですが、多少寒く感じるくらいの服装が実力発揮には有効です。服装は、移動時はあったかく、試験中はやや薄着ができるよう、二段構えにしましょう。また、入試当日の朝は軽めの食事がよいとされています。それは、太古の昔から飢えが人間の危機意識を呼び起こす大きな要素だったからでしょう。脳は危険回避のために集中力を高めます。そういう状況をうまくつくることも、パフォーマンス発揮に有効なんですね。逆に、脂っこいものをたっぷり摂取したり、温かすぎる服装をしたりすると、脳の働きが緩慢になり、もてる力を発揮できなくなります。

 それから、試験会場への到着は最低でも30分早めがお勧めです。着いた直後にいったん緊張が高まりますが、おかあさんと一緒にいたり、友達と話をしたりしているうちに緊張は程よい状態になっていきます(塾関係者の応援がOKの中学校では、塾の先生の励ましも効果的でしょう)。時間ギリギリの入試会場到着、まして遅刻は絶対に避けましょう。ときおり、遅刻して取り乱している親子を見かけます。せっかくの努力が台無しにならないためにも、早めの入試会場到着を!

 中学入試は再挑戦の利かない1度きりの挑戦です。最終準備期間に至った今、最善のコンディションづくりに向けたサポートが保護者としての役割でしょう。悔いの残らぬ入試挑戦にしてあげてください。

受験生のみなさんの健闘をお祈りいたします。

※後半の緊張対策の記事は、「いい緊張は能力を2倍にする」樺沢紫苑/著 文響社 の著述を参考(一部引用)にして書きました。

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