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2023年度の作品

No.2 『 息子の観察記録 』
       県立広島中・学院中・修道中・城北中・国際学院中/Aさん

 息子はとにかく好奇心旺盛・明るく・負けず嫌いな性格である。ほぼ毎日のように習い事があったが、時間さえあれば公園に必ず遊びに行くほどの活発な少年。中学受験は考えてはいたが、オープンスクールは行ったこともない。難しい勉強ができる場所=塾という話をして、四年生の冬期講習に参加。とても楽しかったようで、習い事と両立できそうな家庭学に入塾を決めた。

 そして初めてのマナビーテスト、彼の勉強方法は当日にテキストをパラパラとめくるだけ。「いってきまーす!」と、元気に出発した後ろ姿を見ながら、夫が一言。「あれで高得点が取れたら天才だな……」と。結果は、天才とは程遠いものだったが、本人は余り気にしてない様子。そして、五年部から通塾を開始した。

 五年生になっても、パラパラ勉強は変わらなかった。しかし、しばらくすると、その方法では高得点は取れないと気づいた彼は、テキストとノートを広げて勉強をするようになった。

 しかし、思うように点数は伸びない。彼の目から涙がこぼれた。頑張っているのに、上手くいかない。公園に行く回数も減らして勉強したはずなのに……。

 ……よし、ではそろそろ母出動か。息子がようやく本気になったのだ。何か力になれることはないか、まずは、授業ノートのチェックから。
「……え! ナニコレ!」
思わず笑ってしまった。そこには、中途半端に丸付けがされたノートがひとつ。しかも間違えた問題には、答えすら書かれていない。一体、このノートでどうやって復習をしていたのだろうか。まさか……あの一生懸命机に向かう姿は幻だったのか……?
それからは、ノートの書き方を(間違えた問題を書き直して〇にしないことなども)教えた。予定表は、ホワイトボードと両面マグネットで手作りし、課題がどこまで進んだのかを視える化した。そうする事で、本人に進捗状況を直接聞かなくても一目瞭然なので、楽だった。彼は本気にならないと親の言葉も耳に入らないタイプなのだが、やると決めたら実行する強さは持っていた。

 勉強方法も軌道に乗り始めた五年の秋、事件が起こった。朝の課題、そろばん暗算プリントで不正発覚。答えを写していたのだった。夫は、「答えを写すならやる意味がないし、そろばんも無理に続けることはない。それに、中学受験は夢への近道になるかもしれないが、絶対ではない」と息子に言った。おー、夫もたまには良いことを言うではないか。

 夫は続ける。「将来、どんな大人になりたいのか、何か考えていることはあるのか」と。息子は泣きながら、答えた。

「ぼくはお父さんみたいになりたいんだ!」

 ……そうなの!? 初耳!! なんだこのドラマみたいな展開は。夫は、驚きと嬉しさで言葉が出ない。もう怒りなんかどこかへ飛んで行ったようだ。とにかく、彼は習い事も、塾も続けたいらしい。習い事は徐々に整理するというのは、息子の頭にはないのだ。

 結局、六年の夏まで通常運転。さすがに六年生になると、予習・復習の量が増え、時間が足りなくなった。ようやく夏以降、習い事は休会や回数を減らしていく方向に納得してくれた。

 そして一番の変化は、公園に行かなくなったことだ。(五分でも時間さえあれば公園に行っていた子が「勉強したいから公園はいかない」と言う日が来るなんて……)
六年生の秋はとにかく忙しい。模試の結果に一喜一憂し、不安になった時は、過去のGETや家庭学ブログを読んで心を落ち着かせた。中学受験で得たものはたくさんあるが、一番は彼が試行錯誤しながら自分に合う復習方法を探し、勉強する習慣がついたことだと思う。

 そして、無事に最後まで走り切ることができたのは、塾の友達や先生方のおかげです。最後にどの中学校に進学するか悩んだ時にも、先生は親身に相談にのってくださり、感謝の気持ちしかありません。二年間、大変お世話になりました。お調子者の息子を温かく見守ってくださり、本当にありがとうございました。

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