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2018年度の作品

No.3 『 夕焼けに染まった空 』  
             学院中・修道中・広島なぎさ中/Uくん

 一月二十二日、月曜日、午後一時。学校では昼休みが始まった。ぼくは校庭に出て、ドッジボールをしていた。
 五分後くらいだろうか。あと約一時間で学院の結果が出る。そう思ったとたん、いろんなことを思い出した。
 六年生になっても、勉強には熱が入らず、マナビ―テストの順位はいつも三ケタだった。ノートのとり方も雑で、ほんとに受験生なのか?と思うほどだった。
 ぼくは、兄が学院にいるので、ぼくも、という流れで、受験をすると決めた。
 しかし、六年生前期の後半のあたりから、学院の魅力にひかれていった。
 そして夏がきた。母と協力し、ノートのとり方を変えていった。と中で、「受験なんかやめてやる!」
と何回も言ったが、決してあきらめることはなかった。己斐校の先生や母の説得があった。そして、その感情は、徐々に闘争心へと変わっていった。
 後期からは本格的に勉強をするようになった。
 そして、十二月三日、最後の模擬試験。今までは学院の判定はC→A→C→A。流れだと次はC?と一瞬思ったが、すぐに消えた。
 大丈夫。今までのぼくとはもう違う。必死で勉強してきたんだ。負けるはずがない。
 そう言い聞かせ、最後の模試に挑んだ。
 結果は、B。Aが出なかった。しかし、ぼくの闘争心には石油が注ぎこまれた。必死に必死に勉強し、ついにはテストで三十位台をとった。
 年は明け、受験シーズンが始まった。
 一月十七日。なぎさ中学校、受験日。
 一月二十日、修道中学校、受験日。
 どちらも結構自信があり、「合格」という形で終わった。
 そして昨日。学院。問題は難しく、すべてのマスをうめることができないと思った時、己斐校の先生方や兄のアドバイスを思い出し、うめられるものはすべてうめた。
 自分の力は出しきった。もう悔いは無かった。
 痛!そうだ。ドッジボールの試合中だったことを思い出した。友達にボールを当てられた。僕は外野へ行った。
 そうじも終わり、もうすぐ二時になる。ぼくの家は学校から見える。学校にいても合否がわかるよう、母は合格していたら玄関に色紙をはることになっている。
 二時のチャイムが聞こえた。さすがにすぐにははれないだろうと、三分程度待った。
 そして、窓を見た。あれ?あの辺りだけ色が違う?
それはつまり、「合格」を意味するものだった。
 家に帰り、すぐに家族で学院に行った。「合格」と書いた紙をもらった時の喜びは、忘れないのだろう。
 学院の帰り道、空は夕焼けでオレンジ色に染まり、アスファルトに反射した光は眩しかった。とてもきれいな景色だった。
 これから受験する人に一言。一番大事なのは、受験の「結果」ではなく、そこまでどのような努力をしたか、どのように試験を受けたか。これが一番大事です。転んでも立ち上がって走れる人が、最後にこの「景色」を見ることができるでしょう。「合否」関係無しに。
 この景色を見られるように支えてくれた己斐校の先生方と仲間に心から感謝します。家庭学習研究社で学べた幸運にありがとうございました。

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