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2019年度の作品

No.3 『 初めての挫折を経験して 』  
             清心中・女学院中・AICJ中/Hさん

 一月二十四日、午後四時。私はぼう然とその場に立っていました。この日は第一志望である広島大学附属中学校の合格発表日。女学院の試験が終わり、丁度良い時間帯だったため、直接見に行くことにしました。近くの駐車場に車をとめると、楽しみでたまらなかった私は、校門まで走って行きました。
 そしてたどり着いた先には、私の番号が……無い!
「え……」
正直、この試験は自信がありました。ですから、私にとって、この結果は予想外でした。しばらく自分の中で受け入れることができませんでした。
「なんで周りの人達は受かって、自分だけ受からなかったの?」
「もっとちゃんと勉強しておけば良かった。」
次から次へと押し寄せてくる後悔の涙。でももう、「後悔先に立たず」でした。
 翌日は清心の試験日。教室係の二人のお姉さんが、面接までの時間にお話をしてくださったおかげで、とてもリラックスして受けることができました。
 清心の試験が終わり、偶然、友達と出会ったので、近くのカフェに行って女学院の合格発表を見ました。
「もし受からなかったらどうしよう。」
そう思いながら見た結果は……
 合格!
「良かったー!」
「合格」という称号を手に入れ、やっと不安からぬけ出せたのでした。
 そのまた次の日は清心の合格発表でした。これは少し自信がありました。そして目に飛び込んできた文字は……
「合格おめでとうございます」
「良かった……」
難関の中学校に受かり、とても安心しました。
 それから三日後の一月二十九日。この日は広大附属の補欠合格が決まる日です。というのも、実は二十六日に補欠合格候補者の通知をもらっていたのです。
 午後五時。補欠で合格した人に連絡が来る時間です。しかし、いつまで経っても連絡が来ることはありませんでした。少し立ち直っていたとはいえ、辛い現実を押し付けられ、とてもショックでした。
「二年間がんばってきたのに……」
第一志望校が不合格という形に終わってしまい、この二年間は無駄だったのではないかと思ってしまうことさえありました。そんな私を救ってくれた母の言葉があります。
「昨日、清心の入学手続きに行ったの。清心の坂はきつくて、休みながら歩いてたの。すると、いつの間にか黒猫が現れたの。疲れて立ち止まるとその猫も立ち止まってこっちをふり返って、また私が歩き出すと猫も歩き出すの。まるで道案内をしてくれているみたいだった。その瞬間に、ああ、この学校にご縁があるんだなって感じたんだ。」
慰めはいらないと思っていた私ですが、この言葉だけは心の深くに突き刺さりました。
 母は「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を好んでいました。今はちょっとだけこの言葉の意味が分かったような気がします。
 これから長い人生の旅路が待っていると思います。そして、その中にはたくさんの失敗や挫折が待ち受けているかもしれません。でもその失敗をバネに、もっと自分を高めていきたいと思います。
 最後に、家庭学習研究社五日市校の先生方をはじめとする私の受験を応援してくださった方に感謝します。ありがとうございました。

 

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