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2021年度の作品

No.3 『 中学受験を終えて 』
    清心中・女学院中・安田女子中・近大附東広島中/Kさん

「あいつなら、受かるよ」
 兄が母に言ったこの言葉が私の支えになりました。
 私は小学一年生から家庭学習研究社に通っています。私が塾に通い始めたのは「兄が行っていたから」という理由でした。
 四年生になり、人数が一気に増えました。成績を競い合う友達ができたことで、勉強に対して向き合う態度を変えました。しかし、「友達と比べ、私は理解するのがおそいのではないか」と、思いはじめました。算数や理科で、先生の話を聞いて周りは納得していましたが、私には全く分からないということが何度もあるのです。何度も何度も説明してもらったら分かるのですが、私にはそれが悔しかったです。そして、その頃から、マナビーテストの時に体調をくずすようになりました。テスト前におなかが痛くなるのです。母は、
「マナビーテストはテスト飛行と同じだから点数は気にしなくていい。大事なのは、どうして間違えてしまったのかを知ることだからね。」
と言ってくれました。この言葉を思い出すと、おなかの痛みは少し減りましたが、まだ完全に取りきれた訳ではありませんでした。そのことを兄に言うと、
「おれより頑張ってるから大丈夫だ」
と言ってくれました。私は兄の「大丈夫」を聞くと、不安で張りつめた気持ちが落ち着くようでした。
 しかし、六年生になってすぐのころ、兄とケンカをしてしまいました。たいてい、いつものケンカは自然とおさまり、1か月で元にもどるので、何もせず過ごしていました。ところが、1か月がすぎても、2か月がたっても仲良くなれる気配すらなく、顔を合わせることすら気まずくなりました。兄の「大丈夫」の言葉を聞けなくなってしまい、ケンカをしてしまった事を後悔しました。
 そして、そのまま入試直前演習がはじまりました。しかし、ここで大きな問題が起こりました。思うように点がとれないのです。今まで模試でA判定をとれていた第一志望の学校の問題が合格ラインに届かないのです。特に勉強をしなかった訳ではなかったので、何がいけないのか、どうしたらよいのか分からず、でもあと少ししか時間がなくて、不安でしかたなかったです。塾から帰った後泣いたこともあります。
 そんな時、母が兄と話したことを聞かせてくれました。兄は、私と話さなくなった後、よく母と私の話をしていたそうです。兄はメンタルが弱い私を心配しており、
「あいつ、もっと自信持てばいいのに。あいつは受かるよ。」
と言っていたそうです。兄が私のことをそんな風に思ってくれていたことが、とてもうれしかったし、今までの不安が晴れていきました。兄の言う通り、何をすればよいのか考えて不安になるより、自分はだれよりも長く塾に通っていて今まで頑張った、と思い自信をつけることにしました。そこからは不安になることもなく落ち着いて過ごせました。
 受験当日も、いつもの平常心で臨むことができました。そして合格発表、車の中にいた私に母が、
「受かってるよ!」
とうれしそうに言いました。うれしすぎて、涙が出そうでした。兄に電話で報告すると、
「これからもがんばれよ」
の一言を返してくれました。一年生からがんばってきて、急に力がぬけるようでした。兄にはとても感謝しています。6年間支え続けてくれた両親や、一緒にがんばり続けてくれた友達たち、いつも面白い授業をしてくださった先生にも感謝しています。ありがとうございました。
 これからも兄の言った通り、がんばりたいです。

 
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