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2021年度の作品

No.5 『 どん底からの大逆転劇 』
        清心中・女学院中・安田女子中・AICJ中/Mさん

 今の私が一年前の自分に言葉をかけるとしたら、どんな言葉を選ぶだろう……。「自信を持って」、「勉強をする時間を増やそう」でもない。「意味のある勉強をしよう」だと思う。
 私が塾に通い始めたのは、みんなよりも遅い5年生の冬。初めは何もかも分からず先生に自分が納得いくまで質問した。それでも点数は一向に上がらない。だんだん勉強が楽しくなくなってきた。私の姉は、私が行きたい学校に行っている。勉強はたまに教えてもらっていたが、とても厳しく、泣きながら聞いていた。そんな中、お母さんは「お姉ちゃんはこうだったよ」とか、「テストで何位だったよ。」とか言った。
「なんでお姉ちゃんと比べられるの?」「私これでも頑張っているのに」
 言葉に表すことはなかったが、いつも思っていた。気持ちに耐えられないときは、一人でいつも泣いていた。もうどこにも受からないのかな。気持ちはどんどん不安になっていき、テストの点数もなかなか上がらなくなった。ダラダラと勉強することが増えていき、苦手な勉強から逃げていた。テスト復習は2回以上はしたが、なんとなくやっていてプリントも早く片付ける気持ちの方が強かった。今思うと意味のない勉強ばかりしていたと思う。
 そんな自分を救ってくれたのは、周りの人たちだった。友達が分からない問題は教えてくれたし、前にお母さんが言った言葉も、私にやる気を起こさせるためだと分かった。苦しくても諦めずに自分を信じて頑張った。復習はしっかりとやったし、今日はこれを必ずやるというスケジュールも自分でたてた。意味のある勉強をしたのだ。すると少しずつ点数も上がってきたし、勉強も楽しくなってきた。
 1月。追い込みシーズンに突入した。自分で「苦手ノート」というものを作り、苦手だったところも克服した。今まで支えてくれた親友と「絶対に一緒の学校に行こうね。」という大きな約束をした。
 そして試験当日。今まで厳しかった姉二人も「頑張ってね!」と応援してくれた。ぶつかり合うことも多かったお母さんも「あなたなら出来る!」と言ってくれた。学校につくと不思議に緊張はほぐれていた。
 しかし、事件が起こってしまった。国語の記述の直しをしている時に、試験終了の合図が鳴ってしまったのだ。引きずらないと自分で決めていたけど、心の整理はできなかった。そして全ての試験を終えた時、私はあまりしゃべらなかった。絶対に受かってないと思っていたからだ。翌日の合格発表。結果は……「追加合格者候補」と書かれていた。分かっていたけどやっぱり悔しくてその日はずっと泣いた。(もっと頑張れたかもしれない)(補欠合格は難しいだろうな)と絶望的な気持ちだった。それと同時に親友と交わした約束が守れないかもしれない。という申し訳ない気持ちもあった。こんな気持ちが一週間も続くのか……。心がボロボロになりそうだった。そんな時助けてくれたのは、やっぱり二人の親友だった。
「一年でこんなに頑張ってきたんだから、絶対に合格できるよ!」
この言葉で元気になれた。そしてその日の午後三時。学校から電話がかかってきた。
……繰り上げ合格!!
「やったあ~」
 私はこの時本当に、諦めずに意味のある勉強をしていてよかったなと思った。
 私の一年の中学受験はいろんな人に支えられ出来たものであり、まさにどん底からの大逆転劇である。

 
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