2019 年 6 月 のアーカイブ

学力不振は“読み”の習練不足が原因? その1

2019 年 6 月 24 日 月曜日

 前期の講座ももうしばらくすると終了し、夏の講座へと切り替わります。これまでのお子さんの学習状況はいかがでしょうか。

 今回は学習がうまく機能せず、勉強しているにもかかわらず成績がふるわない状態が続いている4・5年生のお子さんのご家庭に、夏休みからの底上げのポイントの一つと思われることをご提案してみようと思います。思い当たる節のあるご家庭の参考にしていただければ幸いです。

 会員の子どもたちのマナビーテストの成績をチェックすると、5年生では400点満点で200点を割り、教科平均にして50点未満の成績のお子さんが一定数おられます。なかには総合150点未満のお子さんもいくらかみられ、とても残念な思いに駆られます。4年生についても、算・国合計200点満点で100点を切っているお子さんがまま見られます。この状態が続くと、お子さんは自信を失ったりやる気を喪失してしまったりする危険性が少なくありません。

 勉強はある程度しているのに成績が上がらない。それどころか親の期待とは程遠い状況が続き、「いったいどうしたものか」「何が原因なのか」と、ため息をついておられる保護者もなかにはおられるのではないでしょうか。

 原因はいろいろあるでしょう。しかし、「勉強している割に成果があがらない」という点で思い当たる節もあります。たとえば、筆者がかつて国語の指導現場にいて痛感したのは、「小学生の読みの習熟度、特に黙読のスピードや精度の個人差は、大人が思っているよりもはるかに大きい」ということです。これが学習成果に少なからぬ影響を及ぼすのです。黙読の態勢が整うと、子どもの読書活動は一気に活性化し、みるみるうちに読みの能力はスキルアップしていきます。それはだいたい3年生の頃ですが、この流れを築き損ねると、いつまでも読みのしっかりとした読みの態勢が築けないと、学習活動全般に支障を来してしまいます。4年生、5年生になると、この読みの力の差が学力の個人差となって如実に表れてくるのです。

 読みが達者になったお子さんは、勉強したらしただけ成果をあげることができるいっぽう、読むのに時間がかかる子は、文字面から言葉を抽出して意味に変換する能力が磨かれておらず、単に時間がかかるだけでなく、脳内に取り込む情報の量も正確度も大きく劣ります。必然的に「勉強している割に成果が得られない」ということになってしまいます。

 まず、文章を読んで意味内容を理解するときに、読み手の脳の中でどのような働きが生じているのかを簡単に見てみましょう。文字面を目で追っていきながら、伝達されている事柄の意味を理解していくときに、二つの大きな情報処理の流れがあります。

トップダウン処理とボトムアップ処理

1.トップダウン処理
 文章中に特定の言葉が出てくると、誰でも読み手はその言葉に関する知識を頭にめぐらせて理解の手立てにしていきます。たとえば、「先週の土曜日に、家族全員で宮島へ行きました。大きな鳥居やたくさんの鹿を見られて楽しかったです」という記述があったとき、宮島に行った経験に基づく知識があれば、赤い大鳥居や沿岸部の道路を行き来する多くのシカの様子を容易に想像することができます。このような情報処理のしかたをトップダウンと言います。

2.ボトムアップ処理
 活字の流れを追っていきながら、単語の区切り目を識別したり、言葉と言葉の繋がりの関係を分析したりしながら文全体の表すところを理解します。また、文と文の接続のしかた、段落相互の関係に基づき、全体としての著述内容を読み解きます。このように、既有の体験やそれに基づく知識に頼らず、文字とその連なりから得られる情報をもとに、文章内容を理解する情報処理のしかたをボトムアップと言います。

 このように、文章を読み進めて著述内容を理解していくとき、脳の中では新たな言葉が登場するたびに自分の既有の知識と照合したり、言葉と言葉、文と文、段落と段落の繋がりや関係を分析したりする作業が延々繰り返されているわけです。そして、話の展開や内容的に重要と思われることを記憶に残しながら、不要な情報は次々に消去していきます。それが文章を読むということです。なお、こういう情報処理を担うのがワーキングメモリという脳機能で、この活動レベルが高いことも知的能力の一つの指標です。ワーキングメモリは、読書以外も様々な活動をする際にも働いています。たとえば、料理をしながら洗濯物を取り入れるタイミングを見計らったり、算数の筆算で位取りをしたり、日にちと曜日の関係を対応させたりする際にも、ワーキングメモリはめまぐるしく働いています。

 少し脱線しました。トップダウン処理とボトムアップ処理の話に戻ります。子どもはどちらの情報処理においても一定年齢に達するまでは難渋するものです。というのも、小学生の子どもの既有知識は、大人とは比較にならないほど少なく、生活体験や読書経験の乏しい子どもはトップダウン処理の能力が十分に機能してくれません。また、字面を目で追っていきながら、言葉やそのつながりから得られる情報を分析処理するボトムアップ処理の能力も個々で随分差があり、それを可能にするための習練が不十分な子どもは苦手とします。

 筆者が着目しているのは、後者のボトムアップ処理です。文字から得られる情報を分析理解するうえで必須の技能は"読み″の力、特に黙読力です。この黙読力が不十分だと、前述のように時間当たりの情報処理能力が劣るため、同じ文章を読んでも脳にストックされる情報に著しい差が生じてしまいます。勉強しても成果が得られにくいお子さんは、この黙読力の不足によるところが大きいのではないでしょうか。

 では、黙読力を今から高めるにはどうしたらよいのでしょうか。それは音読です。音読というのは、文字の一つひとつの読みを実際に発音して照合する作業です。「ひ」を「hi」と発音し、次の「ま」を「ma」と発音し、さらに「わ」を「wa」、「り」を「ri」と発音していくことで「ひまわり」という言葉を抽出する。それを経験すると、次の機会には一目で「ひまわり」と認識できるようになります。こういった習練を繰り返しているうちに、やさしい文章なら文字列を目で追いかけながら声を出し、言葉の切れ目にアクセントを置きながら声に出して読めるようになります。そうして、ある段階から声に出して発音しなくても、字面を目で追っていきながら言葉に対応する音をスムーズにイメージできるようになります。これが黙読です。

 研究者の書物によると、黙読は普通2年生前半までに可能になりますが、黙読の助走としての音読が不十分だと、前述のように読みのスピードや精度が不足し、結果として読んでも理解が十分にできません。音読という、読みの土台形成に必須の習練をちゃんとやったお子さんは、「読みたい」という欲求を自然と高め、読書活動に勤しむようになります。そうして、3年生頃には黙読が安定軌道に乗り、スムーズな黙読のできるお子さんはまずます読書を通じて語彙や思考力を発達させていきます。小学4~5年生は、語彙の増加率や増加数で生涯最高の数値を記録します(これを「語彙の爆発」と言います)が、その結果かなり難しい抽象的な内容の文章も読んで理解できるようになっていきます。これが学習において大いに効力を発揮するのです。

 ところが、大概の保護者は「音読なんて幼稚なもの」「音読なんかしなくても、ちゃんと文章は読めている」と思いがちです。しかしながら、文字の字形と読みの照合という基礎があってこそ、黙読は可能になるのであり、それを十分に経ていないのに黙読へ移ってしまうと、前述のようにスピードも精度も劣り、読むのに時間がかかるだけでなく、理解もできていないといった状況からなかなか抜け出せません。読みを支える脳の働きを知り、今からできる対策(音読練習)をすることこそ、回り道のようで実は最も早く効果を引き出せる確かな方法だと筆者は確信しています。

 長くなりましたので、今回はここでひとまずここで終わり、続きは次回お伝えしようと思います。よろしくお願いします。

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カテゴリー: 勉強の仕方, 子どもの発達, 家庭での教育

夏休みには、小さくて大きな成長作戦を!!

2019 年 6 月 17 日 月曜日

 まだ夏休み到来までに1カ月余りあり、少し早いかもしれませんが、夏休みを活かしてお子さんの成長を引き出すためのちょっとした提案をしてみようと思います。現在今回の記事が何らかのヒントになり、夏休みをお子さんの成長に向けたアイデアがまとまったなら、ぜひ実行に移してみてください。

 とは言え、ご提案するのは特別なことではありませんし、わざわざ筆者がお伝えするまでもなく、すでにお子さんに十分備わっていることかもしれません。それは何かというと、「計画性」「粘り強さ」「実行力」など、受験勉強を円滑に進めるために欠かせない諸要素を強化しようという提案です。

 受験勉強は志望校合格をめざしてするものですが、「どういう取り組みで受かるか」という視点に基づいて勉強すれば、子どもの生きる力を育むといった意味においても、少なからぬ収穫が得られるものです。その意味において、上記の三つを養いながらの受験生活を実現すれば、今後の人生の歩みに計り知れない可能性が広がっていくのではないでしょうか。そこでこの夏休みの到来にあたり、次のような目標を親子で話し合ったうえで掲げてみてはいかがでしょうか(一つだけでも構いません)。

 子ども、特に男の子を意識して意気込みや気概を刺激する言い回しにしてみました。いかがでしょうか。ほんとうに当たり前のことですが、実はこれがなかなかできないことだということも、保護者の方々はよくご存じだと思います。また、計画性や試行錯誤する力、実行力を携えていることは、今日の社会を生き抜くうえで必須のことですから、受験生活を通じて養えれば今後の学習に威力を発揮するのみならず、社会に出てから自分を通用させるうえで大きな強みになることでしょう。お子さんに喜ぶような言い回しを工夫し、標語のように掲げてみてはいかがでしょうか。

 勉強はできるのに、自分で状況を判断し自ら対処することができない。苦難を自らの努力で乗り越えるバイタリティが不足している。……これは、難関大学に在籍する学生に多く見られる近年の特徴だそうです。特に、大都市圏の高偏差値で知られる中高一貫校の出身者に多いと言われます。これでは何をすべきかをあらかじめ明確になっていることならできても、予期せぬ事象に遭遇したり複雑な難題にぶつかったりしたとき、周囲から頼りにされる人間には到底なれないことでしょう。

 夏の講座が始まる前に、ぜひ親子で話し合いの場を設け、親が何を期待しているのかを伝えてあげていただきたいですね。夏休みの講座への参加にあたっては、どのご家庭にも「学習計画表」を作成していただくことになっています。それにからめて、「勉強は、自分のためにするものだ。じゃ、どういうふうに取り組んだらいいと思う?」と問いかけ、お子さんの反応を引き出しながら、今のお子さんが克服すべきテーマは何かを絞り込んでいくよう導いてあげてください。

 そのプロセスにおいては、おとうさんやおかあさんの職場の人間模様などを織り交ぜ、できる人はどういう姿勢をもった人か、他者から信頼されて頼られる人はどんな人物かを言って聞かせ、夏休みの学習にどう取り組むかで、そういう人間に近づけるかどうかが決まるのだということを伝えれば、お子さんは親の期待をしっかり理解されると思います。無論、夏休みになってからのわが子の取り組みの様子を見守ったり、定期的に報告させたりしながら、承認や励ましの言葉をかけることも忘れないでいただきたいですね。

 

 ずいぶん前のことですが、6年生になるときに受験を思い立ち、親に頼んで塾通いを始めた男の子がいました。たまたま筆者の担当クラスにいたのですが、子どもながらあっぱれというべき素晴らしい取り組みをしていました。

 初めての塾通いですから慣れるまでが大変だったろうと思います。しかし、筆者のアドバイスや声かけを真正面から受け止め、必死でくらいつくかのように勉強をやり抜き、とうとう最難関私学に合格しました。初めは「受験をしてみたい」という程度の気持ちだったのでしょうが、塾に通って勉強するにつれて「みんなに追いつきたい」に変わり、次には「自分の納得の行く勉強をしたい。もっとできるようになりたい」になり、ついには「やるべきことをやらないと自分が許せない」といったように、どんどん意識が向上していきました。成績面の不安をおかあさんが口にされたとき、「僕は、そんなことのために勉強してるんじゃない!」と一喝したほどの気概溢れる少年でした(このエピソードは本人から聞いて知ったのですが、驚きました)。ここまでくれば、彼はどこに行っても通用する人間に相違なく、もはや志望校合格のほうはおまけに過ぎないとすら感じたほどです。

 「なかなかわが子の取り組みに進展が見られない」「いったい、やる気があるんだか…」などと気を揉んでおられる保護者はありませんか? 上記エピソードの少年も、6年生の夏休みの段階ではまだテストで全体平均点すらとれない状態でした。「計画性」と「試行錯誤を厭わない粘り強い取り組み」、そしてやり切る「実行力」、この三つを磨いていけば、子どもは見違えるように変われますし、そのレベルをあげて行けば将来は前途洋洋です。

 子どもの成長は環境次第の面が多々あります。親がどのような期待を差し出してわが子の成長を応援するか。学習塾がどのような学習指導によって合格へと導くか。そうした諸々のことが学力のみならず子どもの取り組みや人間形成に大きな影響を及ぼします。一緒に子どもの成長を応援しましょう。

 今回掲げた夏休みの目標例は、ごく当たり前のことばかりです。しかし、この当たり前のことがしっかりできることこそ、よい人生を歩める人間になるための必須事項だと思います。三つのうちの一つだけでも結構ですから、この夏休みの達成目標にしてみませんか? うまくできなくても叱るのを我慢し、親の願いを愛情深く伝えてやりましょう。目の前の小さな目標を達成することから、子どもたちの大いなる成長は可能になっていきます。


 この夏休みを、わが子の特別な成長の舞台にしましょう!

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カテゴリー: アドバイス, 子育てについて, 家庭での教育

低学年部門「夏期講座説明会」のご案内

2019 年 6 月 7 日 金曜日

 夏休みの講座の募集活動が始まりました。毎年、弊社の低学年部門の夏休み講座には「中学受験を考えているので、夏休みの講座だけちょっと子どもを通わせてみよう」「受験のための塾に少しずつ子どもを慣れさせておこう」など、お試し的に弊社の教室にお子さんを通わせてくださる保護者が相当数おられます。

 そこで、このたび弊社では「夏期講座説明会」を実施し、お子さんの中学受験を視野に入れておられる保護者の方々に必要な情報をお届けすることにいたしました。この「夏期講座説明会」においては、二つの内容を柱に据えてお話しします。一つは、弊社の低学年部門の指導方針や夏の講座の指導内容について。もう一つは、低学年児童期の生活や学習で最も大切にすべきことは何かということについて。

 弊社は中学受験専門塾ですから、児童期前半のお子さんの学習指導にあたっても基本的に中学受験を念頭に置いています。しかし、「少しでも早く受験に直結した内容の学習を子どもにさせよう」と考えているわけではありません。むしろ、早くから難易度の高い学習を子どもにさせるのは好ましくないと考えています。弊社が最も心を砕いているのは、「高学年になってから、快適に受験対策の学習が行える子どもになっておくにはどうしたらよいか」ということ、つまり「いかにして伸びしろの豊かな子どもを育てるか」ということです。

 というのも、ほんとうに頭のよい子どもに育てるには、知識を大量に注入したり、学習の先取りに傾注したりするやりかたよりも、頭を使って考えることに強い志向性をもった子どもにすること、学習の手段としての文字や数字という記号に強い子どもにすること、自らの行動を律する主体性を携えた子どもにすることなどのほうが遥かに重要なことだと考えるからです。また、ある種の学習領域で求められる感覚的素養には発達臨界期があるのをご存知でしょうか。刺激を与えたらその分だけ成長が見込める時期のことを言いますが、これを踏まえた学習や遊びを体験しておくかどうかも大変重要なことです。歯を食いしばってやる勉強だけでは頭脳開花につながりません。

 「夏期講座説明会」の後半では、「学力はどの子も伸ばせる」というタイトルを掲げて、上記のことがらを保護者の方々になるべくわかり易くご説明しようと思っています(時間の関係で多少急ぎ足になることをご了承ください)。以下は、説明会でお伝えする予定の内容を簡単にピックアップしたものです。

✿「夏期講座説明会」でお話しする予定のテーマ ✿

 勉強に主体性があり、自立している子どもはどんな育ちかたをしているのでしょうか。特別なことはありません。普段の生活の繰り返しにおいて育てるべきものがちゃんと育っているかどうかです。一緒に項目チェックをしながら、わが子の成長の方向性を確認していただきます。

 「読み・書き・計算」は学習活動の最も基本となる要素です。英語では、「Reading・Writing・Arithmetic」の綴りにそれぞれRが含まれることから、スリーアールズなどと呼ばれています。このうちの「読み」の能力は、学力の差をもたらす最も大きな要因となっています。実は、個々の読みの能力差が大きく開くのは3年生頃です(「書く力」も「計算力」も3年生頃です)。なぜそうなるのか、どうすれば読みに堪能な子になれるのかをご説明します。

 「図形」や「速さ」など、算数のある種の単元においては感覚的素養が求められ、学習を快適に進められるかどうかを決定づけます。また、これらの単元に強いと「センスがある」「有能だ」とほめられ、子どもの自己有能感を刺激します。こうした方面の学習に必要な資質は、いつごろまでに、どうやって形成されるのでしょうか。実は、低学年部門の学習指導で最も力を入れているのがこの分野です。

 低学年児童期の子どもの学習意欲に最も大きな作用を果たすのは何でしょうか?多くの人は、「好奇心だろう」「向上心だろう」などと答えます。しかし、児童期前半までの子どもには当てはまりません。実は「親」が大きな影響力をもっているのです。子どもにとって絶対的な存在は親だからです。では、親がどのように働きかければ、子どもの意欲は増すのでしょうか。表題のとおり、キーワードは「信頼関係」です。一緒に考えましょう。


 興味をもっていただくため、多少思わせぶりな書きかたをしたかもしれません。詳しくお知りになりたいかたはぜひお越しください。データによる裏付けの資料もスライドで多数ご覧いただけます。以下は、説明会の実施要項です。

 小学校低学年は、子どもの学力が顕在化する前の、いわば潜伏期にあたる時期です。子どもたち個々の学力差はまだそれほど見えてこないのですが、実はこの時期に資質開花に向けた流れが形成されていますし、今学んでいる一見易しい内容の学習の積み重ねや繰り返しを通して学力の大切な基盤を築いています。

 勉強は人生を通して常に必要とされるものですが、勉強を好きになり得意になれるかどうかは低学年児童期におおよそ決まります。そしてこの時期は、親の影響が非常に強い時期にあたります。もう何年かして思春期に達すると、親の影響力は限りなくゼロに近づいてしまいます。だからこそ、今のうちに親はわが子に何をしてやるべきかを考え、適切にわが子に関わるべきでしょう。子どもたちの学力は無論のこと、学ぶことに対する受け止めかたや姿勢についても、今なら親は強い影響力を発揮することができます。親の情熱と力で、子どもを適正で望ましい方向へ導いてやりたいものですね。

  夏休みは学校への通学がないため、これまで築いてきた生活習慣が乱れやすい時期です。しかし、そのいっぽうで「毎日を計画的に過ごそう」という意図を子どもにもたせ、時間や行動を管理することで得られる充実感や達成感を味わわせてやれば、またとない成長の場にもすることができるでしょう。弊社の夏の講座への通学も含め、夏休みを有効に過ごすための計画をお子さんと立ててみてはどうでしょうか。今回ご案内した説明会への参加をきっかけにして、お子さんの望ましい成長に向けた具体的プランを描いてみませんか?

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カテゴリー: お知らせ, ジュニアスクール, 小学1~3年生向け, 玉井式, 行事のお知らせ

自律的な学びへ誘(いざな)う学習指導

2019 年 6 月 3 日 月曜日

 今回は、先週お届けした話題の続きです。弊社の夏の講座からお子さんが中学受験対策の勉強を始めるご家庭にとって、「夏の講座以降、どういうステップを経て受験生活を軌道に乗せていくのか」ということは大きな関心事であり、そのことに期待と不安の入り混じった思いを抱いておられる保護者は少なくないのではないかと拝察します。

 前回は、外発的動機づけによって受験勉強を始めた(親や周囲の勧めで塾通いを始めた)子どもが、自らの知的欲求に基づいて学ぶ(内発的動機づけに基づいて学ぶ)ようになるまでのプロセスを簡単にご説明しました。これがうまくいけば、中学受験での合格はもとより、先々の更なる知的成長が見通せるようになるからです(受かることだけを目当てにした受験勉強には様々な弊害があります)。

 ただし、前回は基本的な流れと親の関わりを主にご説明しただけで、学習塾の指導に絡めての説明はしませんでした。今回は、家庭学習研究社がどのような学習指導によって子どもたちの自律的学習を支援するのかについてお伝えしようと思います。

 塾に通い始めた頃の子どものほとんどは、まだ中学受験がどういうものかを詳しくは知らず、受験のための勉強を子どもが受け入れたとしても、どんな内容の勉強をするのかについてまでは到底理解していません。また、そもそも勉強とはどのようなものか、どんな価値をもつものなのか、などについては考えたこともなく、親の勧めに応じてなんとなく興味をもって(あるいは友達に誘われたり、身内の影響で漠然と受験に興味をもったりして)塾に通い始めるのが普通でしょう。

 したがって、まだ勉強に向き合う姿勢もろくにできていない段階から、レベルの高い勉強をいきなり押しつけても、子どもはたちまち塾通いも受験勉強も嫌がるようになってしまいかねません。受験生らしい勉強ができるようになるまでには、かなりの時間が必要ですし、紆余曲折を経ながら少しずつ子どもの勉強は進歩していくものだとご理解いただくようお願いいたします。したがって弊社では、「無理のないステップを踏みながら徐々に受験生らしい勉強ができる状態へと導いていく」ということを学習指導の基本方針にしています。

 受験勉強にしっかりと取り組める子ども(内発的動機づけに基づいて自律的に学ぶ子ども)にしていくため、弊社は次のような点に重きを置いた学習指導を実践しています。

①学習を習慣づける
 
受験勉強をやりこなせるようになるには、一定水準の学習意欲が伴っていなければなりません。しかし、学習意欲は親や学習塾がいくら求めても簡単には高まりません。最も確実に子どもの学習意欲を高める方法として、大学の研究者は「学習の習慣づけ」を薦めておられます。一定のスパンで継続的に学んでいると、少しずつ勉強の面白さがわかってくるし、解けたときのうれしさを知ることになります。そうした体験が学習に向かう意欲を高めてくれるのです。

 弊社では、夏の講座の開講前に「学習計画表」を配布し、モデルプランを参考にしながら全員に講座期間中の家庭学習計画を作成していただきます。また、授業と家庭学習を反復させながら学力を高めていく弊社の学習システムは、子どもたちの望ましい学習習慣の形成を意図したものです。さらには、テキストも授業と家庭学習との組み合わせで単元の学習を完結させるよう編集されており、学習の習慣づけを定着させながら自学自習の姿勢を磨いていくことを意図しています。

②勉強のやりかた・進めかたを習得する
 
小学生の一人勉強が難しいのは、「どうやって勉強したらよいかわからない」からです。年齢的に無理もありません。いくら意欲があっても、勉強の取り組み方法を知らなければすぐに挫折してしまいます。計算や漢字など、ただ機械的に処理する勉強ならまだしも、自ら考えて解に漕ぎつけることを要求される課題を克服するには、よい取り組みかたを身につける必要があります。これが難しいのです。

 前述のように、弊社のテキストは授業と家庭学習を連動させながら学力が身につくよう編集されています。授業は、その回の単元の最も大切な内容の習得を意図していますが、もう一つ、「家庭でどのように勉強を進めて行けばよいか」を指導する場とも位置づけています。授業を通して、テキストの学習方法を体得させるとともに、ノートのまとめかたや家庭学習のやりかたなどを繰り返し教えていきます。つまり、授業は「基本を習得する場」であり、「学びかたを学ぶ場」なのです。

③勉強の面白さを体感し、積極的な学習姿勢を育む
 子どもは正直です。つまらない授業を我慢して聞いてはくれません。また、子どもの好奇心や「知りたい」という欲求を満足させてくれない授業では、そもそも内発的動機づけに基づく学習を実現させることなど不可能です。さりとて、「子どもを退屈させないで指導しよう」と、演習を繰り返す方法では子どもの学びの主体性が育たず、自律的学習姿勢がいつまでも育ちません。

 そこで求められるのは、原理原則を理解するプロセスが退屈な時間にならないような授業の実践です。それには、しっかりとした授業設計、子どもの興味を惹く上手な導入、子どもの思考を促す問いかけ、みんなで一緒に考えながら妥当な結論へと近づいていく場面の演出など、子どもに楽しさや充実感を与えられるような授業にするための様々な工夫が求められます。弊社では、こうした考えに基づき、どの校舎のどの教室においても、子どもたちの学びが能動的に発展していくことを念頭に置いた授業を実践しています。

④学習成果を客観的に知る
 
子どもたちの勉強を活性化するための学習塾の方策の一つに、「具体的な指針や励みを提供する」ということがあります。そこで弊社では、一定のスパンで定期的にテストを実施しています。このテストは、「単元の学習事項がどれぐらい身についているかを検証する」といった意味合いに留まらず、「受験という共通の目標をもった大勢の仲間と実力を競い合うのだ!」と、より積極的な気持ちに基づいて子どもたちに参加していただくことを期待して実施するものです。

 無論、テストでのデータはよいに越したことはありませんが、毎回の結果をみて自らの取り組みを振り返り、勉強の在りかたを改善していくことがより重要なことです。以前より進歩している自分を実感できれば、それが自信や励みになり、明日からの勉強をより意欲的で前向きなものにしてくれるでしょう。このテストデータが精緻なものであるかどうかが学習塾にとって大変重要なことですが、設問ごとの正答率や得点分布を示すヒストグラムなどは、広島の中学を受験する児童の集団である弊社だからこそ参考にしていただける資料であろうと自負しています。
 

 どなたもご存知のように、勉強はレベルが上がれば上がるほど辛く厳しい要素が増していくものです。まして受験勉強ですから、楽しいばかりの勉強なんてありえません。しかしながら、初めから「受験は大変なもの」という認識に立って子どもを追い込むような指導をすると、子どもは勉強から得られる手応えや、ものを知るということの醍醐味を味わうチャンスを逸してしまいます。それでは受験までの長い道のりを乗り越えることはできませんし、勉強に対する負の観念が染みついてしまいかねません。

 弊社では、勉強のもつよさに触れる体験を子どもたちに提供しながら、その醍醐味を味わうことを志向する姿勢を少しずつ引き出してまいります。決して楽ではない勉強を、「楽しい!」と言ってがんばるようになるには、そうしたプロセスがどうしても必要です。そうやって築きあげた自律的学びの姿勢は、子どもたちの受験での成功だけに留まらず、先々まで続く学びの人生の歩みを実り多いものにしてくれるでしょう。知的なものを求めてやまない人間にわが子を育てませんか? 今なら十分に間に合います。

 同じことの繰り返しになりますが、小学生時代の勉強の如何によって、人間個々の学びに向き合う姿勢は全く違ったものになります。できるなら、学ぶこと自体に価値を感じる人間に育てたいものですね。以上のような弊社の考えに賛同してくださる方々には、ぜひ夏休みの講座からお子さんを預からせていただきたく思います。弊社の夏休みの講座は、小学1年生から6年生までを対象としています。ご請求(本部事務局または各校舎)いただいたご家庭には、案内や申込書類一式を折り返しお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、次回は低学年部門の指導趣旨と夏休みの講座についてご説明するつもりです。また、6月14日(金)には低学年部門の「説明会」を実施予定ですが、この催しについてもご案内しようと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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