学力格差を生みだす家庭環境のファクターとは?

6月 29th, 2020

 前回は、長期間の学校休校によって学力格差が広がることへの懸念についてふれました。学校があるときは、子どもを否が応でも勉強に向かわせる力が働きますが、学校がないとなると勉強から離れてしまう子どもが出てくる恐れが生じるからです。

 学校の休校中、多くの家庭では「わが子の勉強をどうするか」が、悩ましい問題になったのではないかと拝察します。こういうとき、問題を最小限に食い止められる家庭と、それができずに苦心惨憺する(あるいは適切な手が打てない)家庭とでは何がどう違うのでしょうか。このようなことを考えているうちに、「子どもの学びの基盤を築く家庭とはどのようなものか」について、参考になりそうな情報を探してみようと思い立ちました。

 そこで今回は、筆者の目に留まった調査資料をご紹介し、若干筆者の考察したことをお伝えしてみます。まずは、次の資料をご覧ください。この資料は、ベネッセ教育研究所の「教育格差の発生・解消に関する研究報告書〔2007年~2008年〕によります。

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 上記資料は、小学校5年生児童2952名と、保護者2744名を対象とした調査の結果をもとに作成されました。どういう内容かというと、算数と国語のテストを上記対象者の子ども全員に実施し、学力(正答率)を上から順にA~Dの4段階に分けました。そして、それぞれの層の保護者に実施したアンケートの回答を仕分けて、家庭環境と子どもの学力の関係を分析したものです。

 上記資料では、算数・国語ともに正答率で8ポイント以上差が見られたのは7項目で、数字に網掛けが施されています。これら7つの項目を、算国の平均ポイント差の大きい順に並べてみましょう。

1. 家には本(マンガや雑誌を除く)がたくさんある      国…24.6 算…14.9
2. 子どもが英語や外国の文化にふれるよう意識している  国…17.5 算…13.8
3. 子どもが小さい頃、絵本の読み聞かせをした        国…17.9 算…11.7
4. 博物館や美術館へ連れて行く             国…15.9 算…13.7
5. ニュースや新聞記事について子どもと話す       国…10.8 算…9.5
6. 毎朝子どもに朝食を食べさせている          国…10.4 算…9.2
7. テレビゲームで遊ぶ時間は限定している        国…8.1  算…9.3

 結果については、みなさんが驚かれるようなものはなかったのではないでしょうか。本を通じて知らない世界にふれたり新規の知識を得たりする経験は、大人であれ子どもであれ、掛け値なしに楽しいものです。そういう経験を幼いころからたっぷりとしている子どもは、学ぶことへの高い志向性が育まれますから、どの教科の学習成績もよくなるのは疑いのないところでしょう。加えて子どもの場合、絵本の読み聞かせや読書は活字との接触機会を増やし、読みの能力を磨く体験にもなります。このことが学力形成にも大いに貢献するのは当然の成り行きでしょう。

 特に、絵本の読み聞かせ体験の豊富な子どもは、自分で読む読書へと移行しととき、結末を早く知ろうと飛ばし読みをしたり、話の展開のみに興味をもつ読みかたに走ったりしません。本に描かれている世界を心から堪能し、より多くのメッセージを受けとることができます。それは、活字で表現されている情報を、すべて耳を通して受けとり、自分なりのイメージを描いて楽しむ経験をしているからでしょう。つまり、読み聞かせはほんとうの読書ができる人間に成長させてくれる、親(大人)からのすばらしい贈り物なのですね。

 なお、朝食を毎日食べているかどうかと学力との関係ですが、脳のエネルギー補給の面から朝食は欠かせないものであるということだけでなく、朝食を採るプロセスで生じる親子間のコミュニケーションが、子どもの心の安定や学習意欲に好影響を及ぼすこということもあるのではないでしょうか。

 ここで、もう一つ資料をご紹介します。家での勉強時間、テレビ視聴時間、テレビゲーム、インターネットの利用と学力との関係を調べたものです。上記と同じ一連の調査によるものです。

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 これもまた、大方の予想通りの結果が示されているのではないでしょうか。家での勉強時間が多い子どもほど学力は高く、勉強時間が少ないほど学力は低いという結果がわかりますね。テレビ視聴やゲームの時間が長ければ、当然勉強の時間は削られます。子どもに与えられた時間は一定ですから、遊びの時間と勉強の時間のバランスが崩れないよう、幼いころからの生活において親(大人)が配慮しているかどうかが問われるでしょう。

 普段から、勉強の時間、遊びの時間、生活面で必要な時間、親子団らんの時間など、家庭にいる時間帯での行動の仕切りやけじめ、切り替えなどについて、子どもが自分で判断する姿勢や行動の管理能力を育てていれば、今回の学校休校期間においても、比較的子ども自身も対応力を発揮できたことでしょう。

 今からでも決して遅くありません。自分の行動について、自分で取り仕切れる子どもに成長できるよう、毎日の生活でしっかりとお子さんをサポートしてあげてください。長い目で見れば、子ども自身の人生に多大なプラスの影響をもたらす子ことになるでしょう。

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